2009/12/28

国際機関へ拠出金を考える

熱帯林の持続可能な管理のために貢献している「国際熱帯木材機関」(ITTO)という国際機関がある。日本など先進国8ヶ国はITTOがつくる基金に2012年までの3年間で約53億円を拠出することにした。
このエントリでは、①ITTOの説明、及び ②日本政府が国際機関への拠出額について紹介します。


【 ニュース 】
東京新聞より [1]

地球温暖化の一因とされる熱帯林の破壊を食い止めようと、日米欧の8カ国は年明けから、東南アジアや南米、アフリカで行われる違法伐採対策や監視技術向上事業を資金面で共同支援する。

途上国の森林保全対策は温暖化対策の次期枠組み交渉でも主要議題となっており、先進国の取り組みが重要との認識で8カ国が一致。国際熱帯木材機関(ITTO、本部横浜市)が新設した基金へ計約11億円を拠出してスタートし、支援総額は2012年までの約3年間で計53億円程度とする計画だ。

資金提供の対象は、熱帯林を抱える国や地方政府、非政府組織が行う事業。具体的には(1)衛星を使った森林伐採の監視力向上(2)生活のための過剰伐採を抑制する住民支援(3)違法伐採された木材を国際市場から排除する取り組み―などを想定している。

参加8カ国は日本、米国、英国、ノルウェー、オランダ、スイス、スウェーデン、フィンランド。日本は基金へ1億円弱を拠出する。

ITTOは、熱帯林の持続可能な管理に途上国と先進国が協力して取り組むための国際機関。(共同)


【 解説 】

「国際熱帯木材機関」(ITTO:International Tropical Timber Organization)とは、
(1)「1983年国際熱帯木材協定」に基づき1986年に設立され、横浜に本部を有する国際機関である。
(2) 熱帯林の持続可能な経営を促進し、合法的な伐採が行われた森林からの熱帯木材の国際貿易を発展させるため、木材生産国と木材消費国との間の国際協力を促進。
(4) 加盟国は、生産国33か国、消費国27か国の計60か国及び欧州共同体である。全世界の熱帯林の約80%、熱帯木材貿易総量の約90%をカバーしている。[2]

2006年時点での職員数は、32名(17ヶ国)。その約半数が日本人。[3]


【 コメント 】

記事には、「日本は基金へ1億円弱を拠出する」とあるが、平成19年度のITTOへの拠出金は5.5億円あるので、これ以外の拠出金があると考えられる。

平成19年度に、日本政府は2,425億円を国際機関へ拠出している[4]。 内訳は図のとおりで、200以上の支出項目がある。読者の皆さん、ご自身で「事業仕訳」をしてみて下さい。それにしても判断材料となる説明資料が少ないので、透明性に問題がある。

















 COP15においてコペンハーゲン協定(コペンハーゲン合意)において先進国は巨額の資金を負担することになったが、本件のような拠出金はカウントされるのだろうか?(本件は過去のエントリー「COP15 コペンハーゲン協定」において問題提起した。)


【 参考資料 】

[1] 「8カ国が熱帯林保全へ共同支援 温暖化対策で日米欧」 (東京新聞, 2009/12/27) 
[2] 外務省の説明 国際熱帯木材機関(ITTO)
[3] ITTO上級調査研究補佐官 青木千里氏による説明
[4] 国際機関への拠出金(平成19年度)

その他

・国際熱帯木材機関(ITTO) のHP
・国際熱帯木材機関(ITTO)2008年年次報告書
・エマヌエル・ゼ・メカ ( Emmanuel Ze Meka ) ITTO事務局長演説(横浜市会インターネット中継,2007/12/20) (約30分、日本語通訳付き)












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2009/12/26

アフリカに関する日本・中国・韓国の政策協議

「第2回アフリカに関する日中韓政策協議」が開催されたと韓国の新聞が報道しました。日本の報道は、①1年前の会議については、日経新聞と毎日新聞が小さな記事で伝えただけでした。②今回の会議については、12月25日現在、著者が調べた限りまだ報道されていないようです。

外務省のホームページに概要が掲載されていますので [1]、このエントリーでは補足情報を書いておきます。

【 ニュース 】

2009年12月22日、日本、中国、韓国は、「第2回アフリカに関する日中韓政策協議」を開催した。韓国の聯合通信社の記事を引用する。[2]

【ソウル22日聯合ニュース】外交通商部は22日、中国・北京で21日に「第2回アフリカに関する韓日中政策協議」を開いたと明らかにした。
協議には同部の金辰洙(キム・ジンス)アフリカ中東局長、中国外交部(外務省)の張明アフリカ司長、日本外務省の秋元義孝アフリカ審議官が首席代表として出席。韓国・アフリカフォーラム(KAF)、中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)、日本政府が国連などと共催するアフリカ開発会議(TICAD)など、3カ国の対アフリカ協力メカニズムについて進展状況を点検し、効率的な運営案を話し合った。また、3カ国間の「戦略的パートナー関係」に立脚しアフリカ政策を調整することで合意した。
アフリカに関する韓日中政策協議は2007年の韓日中首脳会議での合意に基づくもので、2008年12月に日本の東京で初の協議が行われた。第3回協議は来年に韓国で開催予定だ。


【 解説 】

1.各国のアフリカとの取り組み

(1) 日本は、1993年から5年毎に、1993年から「アフリカ開発会議、TICAD:Tokyo International Conference on African Development)を開催している。[3]
1993年:TICAD I@東京
1998年:TICAD II@東京
2003年:TICAD III@東京
2008年:TICAD IV@横浜

(2) 中国は、2000年から3年毎に、「中国・アフリカ協力フォーラム」(FOCAC:Forum on China-Africa Cooperation)を開催している。アフリカ48国の元首が北京に集まったのは、2006年の第3回FOCACの時である。
2000年:第1回FOCAC@北京
2003年:第2回FOCAC@エチオピア アディス・アベベ [4]
2006年:第3回FOCAC@北京 [5]
2009年:第4回FOCAC@エジプト シャルム・シェイク [6]

(3) 韓国は、2006年から3年毎に、「韓国・アフリカフォーラム」(KAF:Korea-Africa Forum)を開催している。過去のエントリー「韓国のアフリカ政策」を参照。
2006年:第1回KAF@ソウル
2009年:第2回KAF@ソウル

2.「アフリカに関する日中韓政策協議」の実施の経緯 

2007年11月:3カ国首脳会合で政策協議を実施することで合意した。[7]
2008年12月:第1回アフリカに関する日中韓政策協議(@東京)[1]
2009年12月:第2回アフリカに関する日中韓政策協議(@北京)[1]

(参考)2007年までの日本、中国、韓国の首脳会議は、ASEAN+3として開催されてきた。2008年12月、麻生総理(当時)は、温家宝国務院総理、李明博大統領を福岡に招き、初の単独開催となる日中韓首脳会議を実現させた[8]。その時にいくつかの合意書が調印されているが、「日中韓行動計画」があり、以下についても確認された[9]。
①アフリカにおける平和と開発支援のため、三ヶ国はアフリカに関する政策及び経験の共有について協議を強化する。
②三ヶ国は、東京にて開催されたアフリカに関する三国政策対話を引き続き持ち回りで開催する。










写真をクリックで拡大


【 コメント 】

日本、中国、韓国は、アフリカに対し資源を求めているという点では競合関係にあり、また援助の目的が違うので、なかなか協調することは容易ではないであろう。日本が重視しているのは、「アフリカにおける経済成長の加速化と貧困削減、良い統治・民主化の促進、紛争の防止や平和構築」(外務省[1-①])であるが、中国は資源確保を重視している。

しかし、お互い情報を交換することで、自国の行動の判断材料にすることができるし、そのうえで、相手国に対し主張べきことがあれば、主張すればよい。年1度であっても継続する意義があると思う。

日中韓首脳会議をASEAN+3ではなく、単独で開催することにこぎつけたことは、麻生太郎 前首相の実績の1つとして評価すべきであると考える。


【 参考資料 】

[1] ①第1回アフリカに関する日中韓政策協議 (2008/12/12、@東京)
     ②第2回アフリカに関する日中韓政策協議(2009/12/21、@北京)
[2] 「アフリカに関する韓日中政策協議、中国で開催」(聯合通信社, 2009/12/22)
[3] 外務省説明資料 TICAD(アフリカ開発会議)
[4] 「中国アフリカ協力フォーラム閣僚会議が開幕」(人民日報、2003/12/16)
[5] 「『中国アフリカ協力フォーラム』北京サミット宣言要旨」(人民日報、2006/11/6)
[6] 「中国・アフリカ協力フォーラム第4回閣僚会議が閉会」(人民日報、2009/11/10)
     「『中国アフリカ協力フォーラム第4回閣僚級会合』で今後3年間での100億ドルの低利融資を約束した温家宝・中国首相」(中東・エネルギーフォーラム, 2009/11/13)
[7] 外交青書2008
[8]「第1回日中韓サミット」@福岡、2008/12/13 の説明
「わかる! 国際情勢」(日中韓首脳会議~三国間協力の推進)2009年1月14日
[9] 日中韓行動計画(概要)(2008/12/13)


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2009/12/23

COP15 コペンハーゲン協定

COP15(12月7~18日@コペンハーゲン)が終わりました。私は以前「Climate Justice (気候正義)」のエントリーにおいて、「合意形成は非常に困難であると考える。」と書きましたが、やはり京都議定書のような拘束力がある条約は採択されませんでした。しかし、米国、中国、インド、ブラジルなど26ヶ国が「コペンハーゲン協定」(Copenhagen Accord)という協定に合意し、閉会式において他の国が「留意」(take note)しました。協定書には、先進国は発展途上国に資金援助ことが盛り込まれましたので、日本人一人あたりでいくらの負担になるのか試算してみました。


【 ニュース 】

コペンハーゲン協定(第8条)の要約は次のとおり。[1]
・先進国は、2010年~2012年にかけてUS$30 billion(3年間で2,700億円)を負担する。その金額は、緩和策(mitigation)と適応策(adaptation)のために使われるが、その内、適応策のために配分される金額は、気候変動に最も脆弱な発展途上国(最貧国、島嶼国、アフリカなど)に優先的に使われる。
・さらに、先進国は、2020年まで年間USD 100 billion (毎年9兆円)を負担する。
・「コペンハーゲン緑・気候基金」(Copenhagen Green Climate Fund)を通じて、使われる。












【 解説 】

・協定の原文の冒頭に「The Conference of the Parties, Takes note of the Copenhagen Accord of 18 December 2009」に書かれており、take noteというのは留意という意味であり、承認した訳ではない。各国は議会で議論することになる。

・報道によると、先進国による援助は次の3つの段階に分かれる[2]。
①2010~2012年:3年間で30,000百万ドル
②2013~2015年:毎年50,000百万ドル
③2016~2020年:毎年100,000百万ドル 
(総額:680,000百万ドル)(下図参照)

・合意書には、どの国が、いくら負担するのか書かれていないが、日本人一人あたりの負担金を試算してみた。前提は、
①京都議定書附属書Ⅰ国(先進国)が負担し、
②GDP比率で分担(日本は11.3%)し、
④為替レートは90円/ドルとした。

結果は、日本の負担金は、赤ん坊から老人まで、約54,000円/人になった。総額では、日本の負担金総額は6兆9000億円になる。(下図クリックで拡大)












・協定は、法的拘束力がないので、スーダンの大統領補佐官 Nafi Ali Nafi氏が、先進国の約束を拘束力をもたせるために、書面に署名するようにせまったが、受け入れられなかった[3]。

・当初アフリカ諸国は、毎年400,000百万ドルを要求していたが、減額に応じた。アフリカ諸国の交渉を任されているエチオピアのMeles Zenawi首相は、この金額は公平であると発言している[4]。

・コロンビア大学のジェフリー・サックス教授とは次のように発言している[5]。
①この協定には法的拘束力がない。同様に、先進国がこれまで開発援助をコミットしてきたが、多くのケースは口約束であった。
②オバマ大統領は、米国民に対し発展途上国を援助する責任があると説明したことがないことから判断すると、彼には政治的決意がない。
④クリントン国務長官が、先進国が毎年100,000百万ドルを支出することを発言したところ、米国議員やメディアは反対した。


【 コメント 】

COP15が完全な失敗だったのか、失敗でなかったのか? 個人の認識の違いであろう。コップ(COP?!)の中にある水を見て、「半分しか入っていない」と考えるのか、それとも「半分も入っている」と考えるのかである。いわゆる「half full or half empty」の問題だ。

日本政府と産業界はこの資金の使い方について、早急に戦略をたてるべきである。
①発展途上国にとって、気候変動がどのような悪影響を及ぼしているのかを把握する。
②適応策として、どのようなプロジェクトが必要なのかをリストアップして、優先順位をつける。
③「ひも付き」にするかどうかを判断する。「コペンハーゲン緑・気候基金」が資金の流れを管理するはずだが、もし日本が分担金の請求書を受け取り、そのまま送金するならば、それはあまりにも馬鹿馬鹿しい。金額が大きく、日本の財政に余裕がないことを考えれば、背に腹は変えられないので、「ひも付」にするのもやむを得ないのではないか。「災い転じて福となす」戦略を考えるべきである。もちろん、透明性確保し、日本企業間の入札が必要なことは言うまでもない。

菅直人副総理は2009年11月に、次のように発言されている[6]。
「外需を内需に結びつけることが重要だ。幹線道路網をつくろうとしているインドのように、経済成長している新興国はインフラ整備を必要としている。相手国に政府として経済援助をしたうえで、事業は日本の企業が受注する。そうすれば収益として国内に戻ってくる。そういう内需拡大もある。単に製品を輸出するだけではなく、日本が最も得意とするインフラ整備、まちづくりで外国を手伝うこともできるのではないか。今後策定する成長戦略にはこうした分野も入る可能性がある」

中国やインドなどは自らを発展途上国として位置付けているので、資金負担しないと思われる。そうであるならば、日本がアフリカ諸国などで行うプロジェクトに口をはさんで欲しくないし、援助に係る事業にも参加する資格はないものと私は考える。

気候変動に関する全てのプロジェクトが対象になるはずなので、植林、太陽光発電、風力発電、水不足対策など全て含まれる。そのため、これまでJICAが無償援助として実施していたものは、有償にできるのではないだろうか。


【 資料 】

[1] コペンハーゲン協定(Copenhagen Accord)
[2] 資金援助の年別金額
①「Africa sought real climate funds in Copenhagen」(Sudan Tribune, 2009/12/19)
②「Copenhagen talks: Update on the positions」(Space Daily, 2009/12/16)
[3] 「African Leaders Renew Call for Binding Climate Deal」(Journal of Turkish Weekly, 2009/12/21)
[4] 「Copenhagen: Africa picks up the tab」(The East African, 2009/12/21)
[5] 「Obama as Climate Change Villain (by Jeffrey D. Sachs)」(Journal of Turkish Weekly, 2009/12/21)
[6] 「デフレ日本、どう打開 菅副総理に聞く」(朝日新聞, 2009/11/23) (ネットでは見られない。)

その他
COP15のホームページ 
気候変動枠組条約(UNFCCC)のホームページ 
「山本敏晴の日記」(2009/12/20) ★ お勧め


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2009/12/15

カダフィ大佐と明治大学学生とのサテライト対話集会

2009年12月15日、リビアのリーダーのカダフィ大佐は、明治大学の学生と国際回線を結んだ「サテライト対話集会」において、約1時間にわたり、日本について語った。約500~600人の集会の模様は、リビア国営放送で生放送された。

このエントリーでは、記事録を紹介しますが、テープ起こししたものではなく、その場でのメモを校正しました。一部聞き取れなかった部分がありますし、間違ってメモしていた可能性もありますが、速報ベースということで、ご了解下さい。 以下、同時通訳者の日本語をできる限り再現しています。











 写真をクリックすると拡大


=== カダフィ大佐の講義 ===

アフリカ諸国は苦しみの中に生きている。環境破壊も苦しみの一つ。空気も河も汚れている。外国の会社はアフリカのことを「生贄」(いけにえ)であると思っている。外国は、「アフリカの石油を守りたい」と言いながら、同時に軍隊を送っている。

中国は、スムーズに入って来ているが、アフリカの人々を追い出そうとしている。中国やインドはアフリカに移民することを考えている。

日本は、アフリカに移民することも、選挙に口を出すことも考えていない。中国とも米国とも違う。アフリカ大陸にソフトに入ることができる。

私は、日本人と話すことを避けていた。話すと、日本人を困らせることがわかっていたので、会話自体を避けていた。ジャーナリストにもあまり会わなかった。日本を友人だと思っているので、話さなかった。しかし、本日はこのような形でサテライトでの講義に招待されたので話す。

日本は世界レベルでの「パワー」になれるが、問題が1つある。日本は、自由意志を持っている国とは考えられない。第二次世界大戦の時に、原爆を投下され、苦しめられた。米国の言いなりになる国になった。5万人の米兵が駐屯している。数年前まで日本は米国の植民地のような存在だった。ドイツも共通点がある。

このことは、日本のような偉大な国家にとっては屈辱である。軍隊を持つ権利があるのに持っていない。実際に軍隊が存在していても「軍隊」と言わず「自衛隊」と呼んでいる。それは耐えられない屈辱だ。日本は米国とも中国とも競争できるはず。偉大な国民だと思う。

不思議なことに、原爆を落とした米国の影響が続いている。それなのに、なぜ米国と友人になり得るのか。親、祖父母が殺されているのに、なぜ友人になれるのか、不思議だ。

米国との関係は押しつけられたものだ。近隣諸国と同盟することが普通なのだが、距離が離れている日本と米国が同盟関係になるのは、不思議である。

最近、「日本は独立すべきだ」という本が出版されていると聞く。(※聞き取れず。)米国は直ちに撤退すべきである。私は軍縮を応援する。(※聞き取れず。)

米国は日本に原爆を投下した。日本も核兵器を持つべきだ。技術を持っていても、またどれだけ想像力があっても、役にたてていない。日本は資源を輸入しているが、想像力を持っている文明だ。しかし、米国から独立した自由な意志を持たないと役にたたない。国連における日本の態度は、米国と同じである。日本には独自の立場や意見があるはずなのに、米国に追従している。国連で米国がどこかと対立する立場をとると、日本もそれに従う。その結果、日本も対立的な立場をとってしまう。資源がない日本の利益を考えると、日本がなぜ米国を応援するかがわからない。日本は日本の利益を捨ててまで米国に追従していると思う。

これから世界は、地域的に統合する。欧州、アフリカ、中東、ロシア、中国、東南アジア、オセアニア、北米、南米という大きな地域連合になる。ただし、日本は孤立している。朝鮮半島の方向性もはっきりしない。日本は中国にもロシアにも所属しない。日本の「場所」がどこにあるべきかを考えてほしい。日本は米国の言いなりにならないでほしい。


(※以下、Q&A。明治大学の学生が質問し、カダフィ大佐が答えた。)

Q:アフリカには天然資源があるのに、貧困国が多い。資源が有効に使われない理由は?
A:今のアフリカは最悪。(歴史を振り返ると)奴隷時代、植民地時代、外国企業による支配---このように変化していった。現在、環境は悪くなっている。日本がアフリカに貢献するのは、日本が米国から独立した時だ。

Q:オバマはアフガンに増兵したが、賛成するか?
A:オバマは、2011年に米兵を撤退させることを決めた。増兵しても意味がない。結局増員するから。言い分は撤退の1つのステップとして人数を増やす。だれかの助言だろす。安全に撤退でするためには、攻撃することが必要。戦略的なこと。オバマは白人の大統領とは違う。イラクとの戦争は間違いだったと発言している。

オバマが日本に対し、「原爆を落としたのは間違った」と謝罪することを期待している。(※以下不明)

Q:『緑の書』を読んだが、教育について補足説明してほしい。(※質問を聞き取れず。)
A:(※カダフィは、「緑の書」の教育の章をそのまま数分間朗読した。)
カリキュラムを押しつけることは反対だ。若者は自由な選択肢が与えられるべきで、完全な自由があるべきだ。

Q:小池百合子議員がアラビア語でコメント。(※アラビア語の部分は理解でなかったが、流暢に話していた。発言の最後に、日本語で、「日本に来て頂きたい」と発言されたと説明していた。)
A:小池さんの役割を高く評価している。日本に招待されたら、喜んで訪問したい。

Q:パレスチナとイスラエルの問題は解決していない。なぜ解決できないのか。
A:イスラエルは、米国に保護されている。国際的な法律で考えると違法に建国された国。最初から承認すべきでなかった。イスラエルは米国の1つの州になっている。米国はイスラエルを干渉する時もあるが、イスラエルは米国をコントロールしている。(※部分的に聞き取れず。)

イスラエルには大量破壊兵器があるのに、米国は調べようとしない。日本は、被爆国として、軍縮をまとめるべき。イスラエルとパレスチナは、1つの国をつくって、多民族、多宗教国家となり、選挙をすべき。イスラエルとパレスチナを合わせた造語「イスラチーナ」という本を出版したが[1]、答えはそこに書いてある。


※1分間で数十万円の費用がかかるというサテライト対話集会を閉会するにあたり、司会をされていた明治大学軍縮平和研究所所長の福田邦夫教授が、「研究所にカダフィ・チェアをつくりたいので協力をお願いしたい」と依頼した。カダフィ大佐は、うっすらと笑みをうかべ、 「ご提案ありがとう。その提案を応援する。大学の友達だと思って下さい。喜んで教員の一人になります。」と発言し、右手で胸を何度も押さえ、満足げな様子だった。


=== コメント ===

私はカダフィ大佐を見るのは初めてだったが、次の印象を受けた。
・話す時、ほとんど口を開けない。腹話術師のような話し方だった。
・非常に低い声。彼のような低い声を聞いたのは初めてである。
・ほとんど笑顔を見せない。

カダフィ大佐は、日本は米国の属国である、と考えていたと推測される。しかし、誰か知らないが、この対話を企画してくれたおかげで、彼は日本に注目したようだ。企画した人、good job! この機会を逃さずに、彼を日本に招待すべきである。小池百合子議員のさらなるご尽力に期待したい。

今後リビア人留学生が明治大学で学ぶ可能性があるが、日本の文化、日本人の考え方、日本と諸外国との関係などを、正しく学んで帰国してもらいたい。

追加のコメント(2009年12月17日, 23時35分記入)

このイベントに関与された方から以下の情報を頂きました。(読者からのコメント欄参照。)

・本イベントの企画発起人および組織最高責任者は福田邦夫教授。
・組織は明治大学軍縮平和研究所、同大学商学部福田ゼミおよび同大学商学研究科福田研究室(約30名)。
・小池議員はこのイベントの組織には関与されていない。

なお、参加人数は約730名とのこと。


=== 参考資料 ===

[1] 同時通訳は 「イスラチーナ」と発言していたが、ISRATINE という。これは、カダフィ大佐は、『A Proposal by Muammaral-QadhafiI,  ISRATINE  The White Book』 という本を出している。原文はネットで公開されている。


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2009/12/13

韓国のアフリカ政策

韓国の対アフリカ外交に関する3つのニュースを紹介します。今後、アフリカにおける韓国の援助・貿易・投資が増え、プレゼンスが高まると考えられます。


■ ニュース ■

1.2009年11月24日、「韓国・アフリカフォーラム」が開催された。アフリカの15ヶ国から首脳・大臣が参加し、韓国は次のことを約束した。[1]
①アフリカに対するODA:2012年に2倍(2008年比)にする。
②アフリカから研修生(industrial trainees):2009年から2012年の間に5,000人を招く。
③アフリカへの海外ボランティア:2012年までに1,000人以上派遣する。







出典:「Korea-Africa Forum」 (東亜日報 英語版、2009/11/24)


2.2009年11月25日、韓国は経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)への加盟が認められた[2]。これは、国際社会が韓国を「援助を受ける国」から「援助をする国」として公式に認たことを意味する。

3.2009年12月上旬、韓国の政府改革委員会と外交通商部は、以下の改革案をまとめた。[3]
①大使、公使の職(世界で129ポスト)の70%を職業外交官から、また、30%を民間人から登用する。
②現地採用の上級研究員を、2010年から2012年にかけて50人採用する。応募資格は、博士号あるいは弁護士資格を持つもの。
③74の在外公館において、2010年から2011年にかけて、専門職行政官を108人採用する。応募資格は、修士号レベルの資格を持つもの。[4]


■ 解説 ■

1.「韓国・アフリカフォーラム」について
2006年11月(第1回)と2009年11月(第2回=今回)に開催されており、次回は2012年を予定されている。韓国はこれまで手薄だった国・地域においては、二国間の外交に加えて、当該地域と「フォーラム」という形で関係を深めようとしている。「アフリカフォーラム」以外に、「中央アジアフォーラム」、「中南米フォーラム」が開催されている。[5]

2.OECD/DACについて
経済協力開発機構 開発援助委員会に加盟しているのは、2009年12月現在23ヶ国である。BRICs諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国)は加盟していない[6]。韓国の援助額はこれから伸びると期待されている。朝鮮日報(日本語版)を引用する。[7]

<引用始め>
韓国が昨年、国際社会に支援したODA額は8億ドルで、主要先進国の中でも最下位圏に属する。米国260億ドル、ドイツ140億ドル、イギリス110億ドル、日本93億ドルなどはもちろん、韓国より経済規模が小さいオランダの70億ドル、スイスの20億ドル、アイルランドの13億ドル、フィンランドの11億ドルよりも少ない。
国民総所得(GNI)に対するODAの支出割合は0.09%で、主要国の中で最も低い水準だ。国民一人当たりのODA貢献額も、16ドルに過ぎない。DAC加入国の平均は134ドルだ。外交通商部の当局者は、「(DACに)加入するまでになったのは評価されるべきことだが、正直言って、国連事務総長を輩出し、主要20カ国・地域(G20)首脳会議を主催する国としては、国際社会の期待に達していないのが現実」と話す。
<引用終わり>


3.外交官の改革
韓国の新聞(日本語版)は以下の問題を指摘している。朝鮮日報を引用する[8]。
①韓国の外交官人事の仕組みの根底には、専門性の強化という考え方が非常に希薄だ。
②アフリカで勤務することになると、現地ではただひたすらその地から抜け出すことばかりを考えるという。


■ コメント ■

1.農業に進出
日本と同様に、韓国も「資源外交」を重視している。2008年にはアフリカ諸国へ赴任する外交官が増員されたようだ[9]。韓国の場合、石油・鉱物資源だけでなく、農業も求めるはずである。既に、マダガスカル(だだし契約が破棄された。)とタンザニアで取得している[10]。だだし、アフリカに農地を求めているのは韓国だけでなく、中国、中東諸国、アフリカの一部の国も含まれる。これが新植民地主義あるいは「land grab」なのかどうかはここでは論じないが、豊潤な土地を持ちながら食料を輸入している国にとっては、韓国の農業技術が魅力的であると思われる。韓国農業では「セマウル運動」をアフリカに適用する予定である[11]。

2.韓国の経済発展モデルの検証が必要
私はこのエントリーを書くことで、開発経済学の重要性を改めて認識した。韓国が発展した理由の検証は、アフリカ諸国の発展に不可欠だと考える。

3.外交官の改革
日本では、2008年6月に三井物産OBの松山良一氏がボツワナの初代大使として、また2009年6月には丸紅OBの杉浦勉氏もブルキナファソの初代大使として赴任した。総合商社OBの大使は杉浦氏で8人目となり、うち5人が2006年以降に任命されている[12]。ただし、日本は、韓国のように民間出身者の比率を設定していない。

4.アフリカにおける韓国企業の動向
韓国企業(STX)は、ガーナにおいて今後6年間で20万戸の住宅を建築することを決めた。費用は10,000百万ドル(9,000億円)。9万戸は政府が所有し、残りは売却される。[13]


■ 参考資料 ■

※朝鮮日報はメンバーでないと読めません。

[1]「社説:韓国型アフリカ外交に期待する」 (中央日報、2009/11/25)
[2]OECD Development Assistance Committee (DAC) welcomes Korean membership
[3] 「High Diplomatic Posts to Open for Civilians」(The Seoul Times,2009/12/8)
[4]「外交部、博士・弁護士の先任研究員を登用へ」(朝鮮日報 日本語版、2009/11/30)
[5]「韓国外交の成果を高める『フォーラム外交』」(朝鮮日報 日本語版、2009/12/02)
[6] DAC Members and Date of Membership
[7]「ODA:韓国の援助額・国民意識は『まだまだ』」
(朝鮮日報 (日本語) 2009/11/22)
[8]「【社説】外交官の専門性強化策からまとめよ」(朝鮮日報 日本語版、2009/11/30)
[9]「【コラム】韓国外交部の人事システムの後進性」(朝鮮日報 日本語版、2009/6/14)
[10]「韓国大宇 日本畑地総面積の6割以上の食料生産農地をマダガスカルに確保」
(農業情報研究所(WAPIC)2008/11/19)
「韓国 タンザニアで農地10万ヘクタール開発へ 半分は自国向け加工食料品生産用」(農業情報研究所(WAPIC)2009/9/25)
[11]「韓国の『セマウル運動』、アフリカ貧困国に伝授」 (WoW!Korea News,2009/07/22)
[12]「ブルキナファソ大使に丸紅OB:異色商社マンに託された資源外交」(週刊ダイヤモンド、2009/06/04)
[13] 「South Korea in $10bn Ghana homes deal」(BBC、2009/12/9)

<その他>
韓国の援助について (HP右上のEnglishをクリック)
ODA Korea
Korea International Cooperation Agency (KOICA)

セマウル運動
Wikipedia
ビデオ(日本語)16分 時間に余裕がある方は是非どうぞ。


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2009/12/05

ザンビアで校舎建設

今回のエントリーは、日本人の青年達がザンビアの小中学校において、校舎を増設し、バスケットボールのコートをつくったという、嬉しく、心温まるニュースを紹介します。

■ ニュース ■

岩手新聞(2009年11月25日)を引用します。[1]
ザンビアに校舎建設 盛岡市出身の佐藤さん

国 際支援活動をしている盛岡市出身の佐藤慧(けい)さん(26)は、アフリカのザンビア・ルアプラ州の小中学校に校舎1棟を建てた。佐藤さんが企画し、ボラ ンティアで募金集めから資材調達まで行い約半年かけ完成させた。非政府組織(NGO)の一員などとして約20カ国を駆け回った佐藤さんは「想像できない環 境で暮らす人、苦しむ人がいる。世界の広さに目を向け、個人で支援できることを考えてほしい」と呼び掛ける。

世界各国の貧困問題などに取り組むNGO「Humana People To People」の派遣で2007年にザンビアを初めて訪問。満足に教育を受けられない子どもに衝撃を受け、校舎建設を決めた。

支援したサンフィア小中学校は児童生徒約1900人に対し、40~60人を収容する教室が19。授業は1日4回に分けて行われ、1人当たり一日数時間しか授業を受けられないという。

佐藤さんは今年6月にザンビアを訪れ、カメラマンらと3人で活動を開始。インターネットを通じた募金などで集めた約210万円を基に資材を購入、労働者を雇い、11月に床面積約85平方メートル、約60人収容の校舎やバスケットボールコートなどを完成させた。

帰国後、完成した校舎で子どもたちが勉強する様子を写した写真が送られ、現地の役に立ったことを実感している。

佐藤さんが国際支援に関心を持ったのは21歳の時。旅行で訪れたインドで貧困に苦しむ姿を目の当たりにした。「実際に人と接しないと何もわからない」と、国際支援の現場に飛び込んだ。

しかし、途上国では物質的な援助を期待する傾向も強い。「援助に依存するようになれば、事業はプラスにならない。大切なのは自立した心を伝えること」と強調する。

現在は東京を拠点に活動。30日からは京都・立命館大で写真展や講演会を開く。今後は、アジアを舞台に国際交流を支援する。佐藤さんは「一人一人が変われば、安心して暮らせる世界になるはず。岩手でも海外での経験を伝えたい」と語る。

プロジェクトの問い合わせや講演依頼は、佐藤さん(090・7794・7506、メールhighlife@hotmail.co.jp)へ。

【写真=佐藤慧さんが中心となって建設した小中学校の校舎=ザンビア・ルアプラ州サンフィア】











ビデオ-1 (プロジェクトの説明)  
秀逸ビデオです。 美しく輝いている笑顔に感銘しました。


ビデオ-2 (歌)
佐藤さんがギターを演奏。4つのビデオの1つです。
他のビデオは  ココ をクリック。



■ 解説 ■

佐藤慧さんは、1982年12月生まれの27歳。世界レベルのボランティア。ザンビアには2007年11月から2008年4月にNGOの一員として、医療関係のボランティアとして滞在された経験がある。今回は組織と離れて、1人のボランティアとしてザンビアに滞在し、小中学校の校舎を増設し、バスケットボー ルコートをつくるプロジェクトを立ち上げた。資金はネットなどで寄付を呼び掛けた。その学校には、柏木勇樹さん(JICAから青年海外協力隊の体育教育で派遣)が赴任されており、彼の勧めがきっかけとなったようだ。日本からも助っ人が来てくれた。

詳しくは佐藤さんのブログ[2] をお読み下さい。

■ コメント ■

佐藤さんはザンビアに行く前の2009年5月に、「秋田・アフリカプロジェクト」というところで講演をされているが、そこに聞きに来た人たちは「終わった 後、みんなすげー目をきらきらしていました。」とのこと[3]。今後、佐藤さんは講演活動などをなさると思うが、多くの若者に「元気」を与えることだろ う。

日本人は、規律を守るべき時は守るし、団体行動をする時にバラバラにならずに行動できると思う。(他国の人もで きると思うが、日本人はよりその傾向が強いと思う。) なぜそうできるのか?日本の学校では、体育の時間に「整列」と「ラジオ体操」を学ぶが、これが理由なのかもしれない。 体育教師の柏木勇樹さんは、ザンビア子供達の人格形成に一役かったのではないだろうか。[4]

私は、新聞情報よりもネットの情報が勝ると思っていた。しかし、岩手新聞のこの記事がなければ佐藤さんのことも知ることはなかったかもしれない。地方新聞とネットが結びついた効用である。


■ 参考資料 ■

[1] 「ザンビアに校舎建設 盛岡市出身の佐藤さん」(岩手新聞、2009/11/25)
[2] 佐藤慧さんのブログ (ザンビアに学校を建ててみる)
[3] 秋田キャンパスネット
[4] 柏木さん関連の一部
「ザンビアンの前ならえ」 
「最後の授業」
「人生の課題をいただいた旅」ザンビア 柏木 勇樹隊員(H19-2/体育)のお母さん 柏木恵さん


同じテーマの最近のブログ記事
zerospec (2009/11/5)
水野清仁さんは本プロジェクトの応援団の一人。
② Nori.com ザンビアシリーズ
今井紀明さんは現地で手伝いをされた人。「ビデオ-1」の作成者。
・ 「答えなんてない だけど、やれることはある」(2009/11/24)
・ 「写真展の準備 立命館大学にて」(2009/11/29)

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2009/12/02

ナイジェリアの油汚染土壌の改良

ナイジェリアはアフリカの屈指の産油国ですが、石油の生産に伴う 土壌汚染 と 大気汚染 を解決することが緊急の課題となっています。今回のエントリーでは、土壌汚染を取り上げます。ビジネスチャンスです!


■ ニュース ■

2009年11月27日、国連環境計画(United Nations Environment Programme: UNEP)は、ナイジェリアのニジェールデルタのOgoni地域において、油汚染土壌の調査を開始すると発表した。[1]

調査費用:950万ドル(約 9億円)
費用負担者:Shell Petroleum Development Company. (ナイジェリア国営石油会社、Shell、Total、ENIのJV)
調査期間:1年間(2010年にレポート発表)
調査実施者:UNEP及びナイジェリアのRiver state知事。


■ 解説 ■

土壌汚染の原因は何か?-----ナイジェリアの石油の探鉱・生産は1950年代から本格的に始まった。古い油田は操業が中止になっているが、古い資機材からが放置されている。操業中のパイプラインは、「盗油」のため穴があけられているところがある。盗人は穴を防ぐこともなく、原油は漏れて土壌を汚染している。

被害の大きさは?-----どの程度の量の原油が土壌を汚染しているのか?-----2006年に第三者専門家の評価によると、150万トンの原油が土壌に含まれている、と推定している[2]。ちなみに、最大級の原油タンカーはおおよそ30万トンである。

<ビデオ> (地味です)
Another day, Another Oil spill by SHELL in Nigeria



■ コメント ■

日本企業には、工場跡地、ガソリンスタンドの跡地の処理で培った油汚染処理技術があるようだ[3]。この技術をナイジェリアに使えないだろうか。

これは政府による「援助」ではなく、民間会社の「ビジネス」として成立するはずである。資金を負担するのは、ナイジェリア政府、国際石油会社(メジャー)なので、資金は持っているからである。評価作業が終えた後、本格的な土壌改良が開始されるはずだが、それは途方もない巨額の事業になると想定される。


■ 参考資料 ■

[1] UNEPのプレスリリース(2009/11/27)
[2]「Niger Delta bears brunt after 50 years of oil spills」(Independent紙、2006/10/26)
[3]鹿島建設  清水建設  三井金属資源開発

大気汚染(フレア)については以下を参照。
世銀のプログラム(GGFR) 
ビデオ 

続報あり:2010/01/02、ナイジェリアの民事事件をオランダの裁判所が裁く



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2009/11/29

Climate Justice (気候正義)

2009年12月7日から18日にかけて、コペンハーゲンでCOP15が開催され、京都議定書に定められていない2013年以降の地球温暖化対策について話し合われます。このエントリーでは、アフリカ諸国のCOP15対応 と コフィー・アナン前国連事務総長のClimate Justice (気候正義)運動を紹介します。

■ ニュース ■

日経新聞[1] を引用します。
気候変動作業部会、アフリカがボイコット 発言力強化狙う?

スペインのバルセロナで開かれている気候変動枠組み条約作業部会で2日、アフリカ諸国が会議への参加をボイコットし、同日夜には一部の会合が開けない事態になった。AP通信などが伝えた。アフリカ諸国は先進国による温暖化ガス排出削減の上積みなどを求めているという。年末の合意を目指すポスト京都交渉で、先進国と途上国の溝の深さが改めて浮き彫りになった。

コンゴの代表はボイコットの理由について「アフリカ以外の交渉グループは(排出削減問題を)真剣に検討していない」などと語った。アフリカは気候変動によって最も被害を受けやすい地域とされる。

途上国は中国をリーダーとして交渉にのぞんできた。ただ交渉が進み新議定書案が具体化するのにあわせ、途上国グループの中でも利害対立が発生しつつある。アフリカ諸国は独自の主張を強めつつあり、今回のボイコットもアフリカの存在感を示し、発言力の強化を狙ったとみられる。
(パリ=古谷茂久)(07:00)


■ 解説 ■

国連気候変動バルセロナ会議(11月2日~6日)は、COP15に向けた最後の交渉機会であり、2つの作業部会(Working Group)がある。[2]
①「長期的協力の行動のための特別作業部会(AWG-LCA)」---Ad Hoc Working Group on Long-term Cooperative Action under the Convention (AWG-LCA)
この作業部会では、共有のビジョン、緩和、適応、資金、技術、キャパシティ・ビルディング(人材育成)について議論する。
②「京都議定書の下での附属書I国の更なる約束に関する特別作業部会(AWG-KP)」---Ad Hoc Working Group on Further Commitments for Annex I Parties under the Kyoto Protocol (AWG-KP)
京都議定書の附属書B には温室効果ガス削減義務を負う先進国のリストと各国の削減目標値が掲載されており、この作業部会では、この改訂について議論する。

アフリカ諸国がボイコットしたのはAWG-KPだが、彼らは、附属書Ⅰ国(先進国)が十分な削減目標を設定しない限り他の分野での議論を拒否するとの態度を示した。具体的には、1990年を基準年として2020年までに最低でも40%を削減すべきである、というものである。[3]

鳩山首相が2009年9月22日に、国連・気候変動首脳会合で発表したのは、「2020年までに1990年比25%削減」[4]であるので、アフリカ諸国は先進国に対し如何に高いハードルを主張しているかが分かる。[5]


■ コメント ■

環境問題をめぐる対立関係を大きく分類すると3つの図式(次元)になっているのではないだろうか。COP15では違った次元のものが議論されるので、合意形成は非常に困難であると考える。

①先進国 vs. 先進国
②先進国 vs. 発展途上国のうち中国・インド等
③後発開発途上国(Least developed countries) vs. その他

先進国各国は、負担をできるだけ低くすることを主張する。中国やインドも同様だがそれに加え、経済発展するために将来にわたり排出する権利を確保しながら、先進国から資金を受け取りたいと主張する。そして後発開発途上国は、経済発展とは程遠い現状にあり、「生きる」ための援助を求めている。

前国連事務総長コフィー・アナン氏は、「Climate Justice(気候正義)」という概念[6]を積極的に主張しているが、これは貧困の問題と密接に結びついている。 アナン氏は次のように発言している[7]。 「For it is a tragic irony that the countries which have done least to cause climate change are those which are suffering and will suffer most from its impact. (気候変動に最も関係していなかった国々が、いま一番苦しんでおり、今後最大の影響を受けるというのは、悲しい皮肉である。) 」

アナン氏は、音楽を通して地球温暖化対策を訴えている[8]。

<ビデオ>Beds Are Burning - TckTckTck Campaign (time4climatejustice)



■ 参考資料 ■

[1] 「気候変動作業部会、アフリカがボイコット 発言力強化狙う?」(日経新聞、2009/11/4)
[2]「国連気候変動枠組条約交渉  バルセロナ会合:議論の概要」 (外務省、2009/11/6)
(AWG-LCA) 
(AWG-KP)
国連気候変動バルセロナ会議報告(WWF、2009/11/19)

[3] ボイコットに関する報道
「African nations resume talks in Barcelona」(COP15のHP、2009/11/4)
「Rich countries call on African bloc to keep climate talks on track」(Guardian、2009/11/4)
「Rich-poor divide obstructing negotiations」(COP15のHP、2009/11/5)

[4]「鳩山国連演説『25%削減』の舞台裏」 (日経ビジネス、2009/11/24&25)★お勧めの記事です。

[5]Countries' negotiating positions (各国の交渉スタンス) Guardian紙作成 

[6] Climate Justiceという用語が最初に使われたのは、『Greenhouse Gangsters vs. Climate Justice』by Kenny Bruno, Joshua Karliner & China Brotsky, CorpWatch November 1st, 1999 ではないかと思われる。

[7]“From Kyoto to Copenhagen”- Address at the opening of the Global Editors' Forum アナン氏スピーチ

[8]音楽で意思表示を。地球温暖化対策を訴える「Beds Are Burning」無料配信中(Livedoorニュース、 2009/10/20)

図: 世界の二酸化炭素排出量に占める主要国の排出割合と各国の一人当たりの排出量の比較(2006年) (画像をクリックすると拡大)












出典:全国地球温暖化防止活動推進センター (http://www.jccca.org/)

続報あり:2009/12/23、COP15 コペンハーゲン協定
http://let-us-know-africa.blogspot.com/2009/12/cop15.html

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2009/11/27

東アフリカ共同体 が 「共同市場」 をつくる

■ ニュース ■

2009年11月20日、「東アフリカ共同体」(East Africa Community:EAC) に加盟しているケニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、タンザニアの各大統領は、『東アフリカ共同体共同市場の創設に係る議定書』(Protocol for the Establishment of the East African Community Common Market)[1] に調印した[2]。




■ 解説 ■

1999年11月30日、東アフリカ共同体創設のための条約(Treaty for the Establishment of the East African Community)[3] がケニア、ウガンダ、タンザニアによって調印された。2007年7月、ルワンダとブルンジがEACに加盟している。

次のような段階を経て、最終的に連邦政府体制( Political Federation)にすることを目標にしている。[4]
①Customs Union (関税同盟:2004年3月に議定書調印)
②Common Market  (共同市場:今回議定書に調印)
③Monetary Union(通貨・金融統合:2012年を予定)
④Political Federation(連邦政府体制:2015年を予定)

今回調印された議定書が批准(2010年7月1日が批准の期限)されると、域内の税金が撤廃され、物・人・労働力・サービス・資本は、原則自由に移動することができるようになる。

税金については、加盟国は、短期的には関税収入がなくなるが、長期的な利益が大きいという判断をしている。たとえば、ルワンダは年間12百万ドルの減収になると試算している。[5]

これまで、5ヶ国内で働く場合、労働ビザが発行される保証はなかったが、今後は域内で働く場合、労働ビザは迅速に発行されるようになる。

なお、加盟国以外の国からの安価な製品に対してはCommon External Tariffs が課税される。

<EAUについて>
面積(湖を含む): 182万Km2 (日本は37万Km2)
人口:   126百万人 (日本は127百万人)
GDP:    $60,000百万
平均 1人当たりGDP: $424
平均 GDP成長率: 6.8%
詳細は、統計資料『East African Community Facts & Figures - 2008』[6]を参照。

組織として、5ヶ国首脳会議(Summit)と事務局(Secretariat)以外に、行政・立法・司法機関として、大臣会議(Council of Ministers)、東アフリカ議会(East African Legislative Assembly)、東アフリカ裁判所(East African Court of Justice)がある。


■ コメント ■

・5ヶ国が共同体を形成することで、多くのメリットを享受できる。
①経済的な成長:
インフラ設備投資計画を立案することにより、資源の無駄を省き、効率的にインフラが整備される。人の移動を制約しないことにより、経済が活発化する。たとえばウガンダ、ルワンダ、ブルンジは、いわゆる内陸国ではなくなる。
②政治的な安定:
次のような簡単なロジックが考えられる。
経済が安定することで外国投資が増える。→雇用が増える→収入が増える→政治的に安定する。
治安については、小型兵器及び軽量兵器の拡散防止、東アフリカ混合部隊の創設が検討されている。[7]

・隣国(スーダン、ソマリア)が分裂する可能性がある(あるいは分裂している)ことを考えると、5ヶ国が共同体を実現していることは、画期的なことである。

・EACはホームページを開設し、合意書、共同宣言、統計資料など多くの資料が掲載されています[8]。また、外国からの投資家向けの小冊子(Guide for Investors)[9]に、EACが求めている投資内容が書かれているので、是非アクセスしてみて下さい。

・将来的には、EAC以外の経済共同体(COMESA、SADC)を刺激することが期待される。[10]


■ 参考資料 ■

[1]議定書の原文
『Protocol for the Establishment of the East African Community Common Market』


[2]ニュース記事
①「EAC states to open up labour markets as part of protocol」(Business Daily, 2009/11/27)
②「East African bloc sign common market treaty」(Kenya Broadcasting Corporation, 2009/11/20)

[3]『Treaty for the Establishment of the East African Community』(1999年11月30日付) 

[4]『EAC Development Stategy 2006-2010: Deepening and Accelerating Integration』

[5]「East Africa: At last, common market becomes reality」
(The East African (Kenya), 2009/11/23)

[6]『East African Community Facts & Figures - 2008』 

[7]「東アフリカ共同体、安全問題について討議」(CRI, 2009/10/6)

[8] EAC Documents and Publications のページ

[9] 『East African Community  Information Guide for Investors』

[10] 南部、東部アフリカの共同体

①東アフリカ共同体 
East African Community (EAC) 
拡大するにはそれぞれの図をクリック










②東南部アフリカ共同市場
Common Market for East and Southern Africa (COMESA) 










③南部アフリカ開発共同体
Southern African Development Community (SADC)










その他資料:
アフリカにおける主要地域機関の相関図(2009年9月現在)

東アフリカ5ヶ国の大統領の写真 (拡大するには写真をクリック)







 

出所: kilimanjaronewyorkconnections.com

・東アフリカ共同体と中国の関係

東アフリカ共同体、中国との関係強化を希望
2009-08-13 19:52:41

EAC・東アフリカ共同体のムワバチュ事務局長は12日、記者のインタビューを受けた際、「EAC は貿易や投資などの分野における中国とのパートナー関係を強化したい。EACは中国を真の経済協力パートナーと認める」と述べました。

東アフリカ地区に対する中国の投資問題に触れた際、ムワバチュ事務局長は、「この地区における中国の投資は主に鉱山や道路などのインフラ施設に集中している。中国はエネルギー開発で豊富な経験がある。東アフリカ地域のエネルギー投資には大きな潜在力がある。地熱や風力発電、太陽エネルギーの開発において、中国との協力強化を希望する」と述べました。

また、EACの一体化プロセスの問題について、ムワバチュ事務局長は「関係作業は順調に進められている。EACの5つの加盟国の首脳は今年11月に『EAC共同市場条約』に調印する予定だ。この共同市場は2010年に公式にスタートさせる」と述べました。(翻訳:トウエンカ)
http://japanese.cri.cn/881/2009/08/13/1s145245.htm


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2009/11/22

小池百合子議員、カダフィと面談する

----- ニュース -----

2009年11月16から19日にかけて、小池百合子衆議院議員が日本リビア友好協会の会長として、リビア・ビジネス・ミッションを率いてリビアを訪問した。11月19日には、カダフィと面会した。


<産経新聞11月20日より引用>

カダフィ大佐が小池百合子氏と会談 日本との協力強化を表明 [1]
2009.11.20 09:01

日本リビア友好協会の経済使節団を率い、リビアを訪問した小池百合子元防衛相(同協会会長)は19日、首都トリポリ市内で最高指導者カダフィ大佐と会談。関係者によるとカダフィ氏は、アフリカ開発などにおける両国の協力強化を表明した。

世界8位の原油確認埋蔵量を誇るリビアは2003年、大量破壊兵器の開発計画放棄を表明し国際社会に復帰、欧米など外資参入が進んでいる。カダフィ氏が日本の要人と公に会談するのは06年の松田岩夫科学技術担当相(当時)以来で、両国の経済関係拡大に好材料となりそうだ。

会談はテントで行われ、カダフィ氏は黒の民族衣装姿で小池氏らを歓迎。関係者によると、カダフィ氏は終始、友好的で「日本の技術力を高く評価する」と述べ、原油や天然ガス関連、太陽光発電などでの関係強化に期待を示した。(共同)




----- 解説 ----- 

1.ニュースの補足
このニュースは共同通信が提供したものであるが、大手の新聞は産経新聞だけが報じている。その他、地方新聞は北海道新聞、東京新聞など5社以上が報じている(11/22現在)。共同新聞(英文)[2] には日本語の記事に書かれていないことがあるので、以下補足する。

Koike, who also served as environment minister under Koizumi, proposed that Japan and Libya cooperate to build environmentally-friendly cities in Libya. Qaddafi responded positively to Koike's proposal, the sources said.
小池議員は、日本とリビアが共同でリビア国内に環境保全型の都市を造ることを提案し、カダフィは前向きの反応を示した。

The Japanese delegation, comprising about 30 representatives of 16 oil firms and trading houses, arrived in Libya on Monday for talks with Libyan officials.
経済ミッションは約30社で構成され、16社の石油企業と商社などが含まれていた。


2.小池百合子議員とリビアとの関係 [3]

1971年9月 関西学院大学 社会学部中退
1973年夏 リビア訪問(日本商社の通訳として)
1976年10月 カイロ大学卒業
1977年 アラビア語通訳、講師(日本アラブ協会事務局長)
1978年 リビア訪問(日本TVコーディネータ・インタビュアとして)
1979~1992年 TVキャスターなど
1992年7月 参議院議員初当選
1993年 日本アラブ協会顧問就任
2006年12月 リビア訪問(内閣総理大臣補佐官として。カダフィと面談していないと思われる。)
2009年6月 日本リビア友好協会会長就任。(2009年1月に逝去された柿澤弘治氏(元外相)の後任。)
2009年7月   『南地中海の新星リビア―高まる日本への期待』(共著、同友館 )出版 [4]
2009年11月 リビア訪問(日本リビア友好協会会長として。カダフィと面談。)


3.政府 及び 日本リビア友好協会によるリビア要人往来 [5]

2004年6月 逢沢一郎外務副大臣リビア訪問(小泉首相の親書を携えて、カダフィ指導者と会談)
2004年12月 福島啓史郎外務大臣政務官リビア訪問
2005年3月 柿澤弘治会長:エネルギーミッション
2005年4月 リビア Salf al-Islam氏 来日
2006年4月 町村信孝前外務大臣、柿澤会長:エネルギーミッション
2007年6月 柿澤会長:リビア・ビジネス開発ミッション
2009年11月 小池百合子会長:リビア・ビジネス・ミッション


----- コメント -----

1.リビアに進出できそうな業種
リビアへの投資の問題は、①リビアの官僚組織が未熟で手続きに時間がかかること、②ジョイントベンチャーを組んだ場合、マネージャークラスをリビア人にするようリビア政府が要求しているなど、必ずしも投資がやり易いということではないようだ。しかし、リビアには、石油収入があり、インフラ整備などの国造りはこれからであるので、ビジネスチャンスはいくらでもある。特に、建設業界などにとって可能性が高いと思われる。

2.日本政府の関与
(1) 課題1:日本政府のトップが訪問していない。
リビアの国際復帰後、各国は大統領・首相あるいは大臣クラスがリビアを訪問しているが、日本の首相、あるいは現職大臣は訪問していない。今回訪問した小池議員は、上記経歴のとおり、アラビア事情に最も精通している国会議員であるが、現時点では野党の一議員なので、インパクトが弱いのは否めない。

(2)課題2:日本政府にとって、リビアの魅力
少なくとも2つの理由で、リビアは魅力的である。

  ①石油埋蔵量。日本の石油上流企業や商社(エネルギー部門)は、既にリビアの鉱区を取得し進出している。試掘の結果はまだ出ていないが、リビア政府の原油取分割合が大きいため、開発に着手するためには、油価が高くなるか、大油田を発見するか、あるいはその両方の前提が必要となる。
  今後、既に石油(あるいはガス)が発見されているがまだ開発されていない鉱区、あるいは古い油田だが増産することができる鉱区が外国企業に付与されると考えられる。そのために、多数の石油会社が今回のビジネスミッションに加わっている。

   ②「リビアモデル」。リビアは大量破壊兵器(WMD)を放棄して国際社会に復帰したが、北朝鮮がリビアを見習うように、リビアに北朝鮮を説得してもらうことである[6]。ただし、リビアは核兵器を開発していただけで、保有していたわけではない。また、国連が制裁を加えていた。一方、北朝鮮は既に核を保有しているとみられ、核が北朝鮮にとって生命線になっていること、また中国が支援している----という違いがある。


(3)課題3:日本政府による民間企業への支援
日本政府は民間企業がリビアに投資して欲しいはずだが、民間企業にとっては、リビアは多数ある投資国の1つにすぎず、採算性がなければ進出しない。日本政府がリビアと経済関係を深めたいのであれば、政治的イニシアチブをとる必要があると思われる。


日本がリビアに何をオファーできるのか、また、リビアが日本に何を求めるのか、注目する必要がある。「Give and Take」。リビアは日本の常識以上のことを要求する可能性がある。例えば、英国のShell、BP、米国のExxonMobilが随意契約で鉱区を取得したが、それは両国がリビアの国際社会復帰に貢献してくれたお礼でもある。リビアは両国がリビアにしたことと同様の程度のことを日本に求める可能性がある。

ただし、2つの報道が注目に値する。
①関係者によるとカダフィ氏は、アフリカ開発などにおける両国の協力強化を表明した。
②小池議員は、日本とリビアが共同でリビア国内に環境保全型の都市を造ることを提案し、カダフィは前向きの反応を示した。

なぜならば、これは、日本だけ一方的にリビアに対し何かをするのではなく、日本とリビアが共同でビジネスをする、ということであるからである。もしそうであるならば、リビアは、おそらく運用資産約700億ドルといわれるリビアの政府系ファンドのリビア投資庁(Libya Investment Authority:LIA)を使うのではないかと考えられる。カダフィは採算性を考えずに行動すると言われているが、LIAであれば採算性を重視するということを意味するので、悪くない話である。もしLIAが相手であれば、日本政府は国際協力銀行(JBIC)の資金を使う可能性があると思われる。


----- 参考資料 -----
[1] 産経新聞 (2009/11/20)
[2] Libya's Qaddafi meets Japan's ex-defence minister, calls for better ties Nov 20, 2009 (BBC Monitoring via COMTEX)
[3] 小池百合子Official Website 2009
[4] 『南地中海の新星リビア―高まる日本への期待』(共著、同友館 )
[5] 外務省   日本リビア友好協会
[6] 官房長官発表 (2006/12/1)

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2009/11/17

南アフリカへの投資(コンドーム)

南アフリカ・ケープタウンに約1週間滞在しました。これまで私は アフリカ大陸では、北アフリカと東アフリカを訪問しましたが、南アフリカ共和国は初めてでした。

ケープタウンは先進国の都市である、という印象を受けました。
①道路を横断するため、歩行者用の信号がない横断歩道(Zebra=シマウマという)に立っていたところ、自動車は直ぐに一時停止し、手を動かして道路を渡るよう促されました。ドライバーのマナーとしては、日本や英国以上といっても過言ではないと思います。

②ケニアやタンザニアですと、日本の中古自動車が黒煙を出して走っている光景がみられたのですが、ケープタウン周辺にはそのよう車は見受けられませんでした。フェラーリやBMW製のオートバイの展示場があったのには、驚きました。

③英語が公用語ですが、英国で話されている英語に似ています。

以上のように、欧州の都市と比べて何ら遜色のない南アフリカ(ケープタウン)は、日本がアフリカへの投資、工場建設などを考えた際、アフリカ諸国への拠点になれるという優位性があるのではないか、という印象を受けました。

業種では、少なくとも2つの業種の会社が進出できるのではないかと思いました。その1つがコンドームです。(もうひとつに関しては、次回のエントリーで述べます。)なぜコンドームなのか?---貧困防止、HIV防止のため、これ以上のものはないと思うからです。

日本あるいは東南アジアで製造して輸出することも可能ですが、やはり現地サイズを、現地の人が製造したほうが、売れるのではないでしょうか。

イスラム教の国ではあまり使用しないそうですので、北アフリカではあまり売れないかもしれませんが、それ以外の地域は、市場として有望ではないでしょうか。水、食料と同じくらいの必需品です。オカモトさん、相模ゴム工業さん、そして商社の皆さん、如何ですか?Jeffery Sachs教授の援助モデル[1]が使えるかもしれません。なお、コートジボワールのゴム生産量は多いとのことです[2]。


---参考資料---

YouTubeで傑作作品を見つけました。


何十年も前の話ですが、妊娠した夫婦に「どうやって使ったのか?」との質問に、親指につけたという仕草をした、という冗談のような話を聞いたことがありますが[3]、まさか折りたたみ傘にはつけないでしょう。

統計資料を調べてみました。

サブサハラにおけるHIV/Aids感染者数のNo.1は 南アフリカの570万人。人口 5,010万人なので、9人に1人の計算になる。[4]

国連合同エイズ計画(UNAIDS)がグラフ化しています。















4人に1人の男性が女性をレイプしたことがある」というBBCの記事[5]が本当かどうか、タクシー運転手に聞いてみたところ、作り話ではない、と話していました。9人に1人がHIV感染しているという理由の1つなのでしょう。なんとも可哀そうなはなしです。


[1] Jeffery Sachs教授の援助モデル
[2] コートジボワールの投資プロモーションビデオ
[3]日本財団会長 笹川陽平ブログ
[4] HIV/Aids感染者数 統計 
[5] BBC記事 南アフリカのレイプ率

その他 参考資料
コンドームのリコール状況
南部アフリカにおける女性用コンドームの配布状況

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2009/11/14

なぜ日本企業はアフリカへの投資に熱心でないのか?

アフリカには、1日一人当たり数ドル以下で生きている最貧国や、それを脱した国、さらに南アフリカのように先進国の仲間入りをしたといえる国があります。最貧国には「援助」が必要ですが、貧困から脱した国には、雇用を確保するため外国企業からの「投資」を求めています。「Trade, Not Aid」です。今回は、「投資」についてのエントリーです。

追記(2012/7/7): タグページの「日本企業inアフリカ」もご覧下さい。


■ニュース
2009年11月12日、「日・アフリカ交流フォーラム 第2回アフリカ貿易・投資促進シンポジウム」(主催:外務省、後援:経済産業省、日本貿易振興機構(JETRO))が開催された。

シンポジウムでは、ジブチ、マラウイ、べナン、ルワンダ、コートジボワール(アイボリーコースト、象牙海岸)、ジンバブエ、ガボンの7ヶ国からの投資促進担当者が 日本企業の「投資」を求めた。

各国の説明(30分/国)を終え、Q&A 質疑応答に次のような問題提起があった。

①ジブチの商工会議所会頭(Mr.Said Omar Moussa)
・中国、インド、韓国、欧州などがアフリカに投資しているのに、なぜ日本企業は投資しないのか?その理由を聞かせて欲しい。

②在日ルワンダ大使(Mr.Antoine Munyakazi-Jiru)
・JICAはアフリカ諸国に多くのことをしてくれている。しかし、日本の民間部門の投資はslowだ。
・マスコミはアフリカの汚職、内戦などだけを報道しているが、アフリカ諸国は改革しつつあり、確実に成果が出ている。そのなかでもルワンダは改革の優等生(best reformer)だ[1]。

③コートジボワール投資促進センター所長(Mr.Daoda Silue)
・アフリカの全ての国は、全ての国に門戸を開いている。日本が来ていないだけだ。
・アフリカはインフラが整備されていない、と思われている。だからビデオを見てもらった[2]。港湾、道路、鉄道は既にある。
・内戦していると思われているが、それはほんの一部だ。10億人がアフリカ住んでおり、巨大な市場がある。


■解説
「アフリカ貿易・投資促進シンポジウム」は、2008年5月に開催された第四回アフリカ開発会議(TICAD IV)において発表されたアフリカへの民間投資倍増支援政策の一環として、毎年行われている[3]。


■コメント
なぜ日本の企業はアフリカに投資していないのか?---4つの仮説を考え、「今後はどうなるのか?」と自問自答してみました。

<仮説-1>アフリカは対象外
企業が他国に進出する主な理由は「安い労働力」と「市場」だが、アフリカは対象外であった。
①安い労働力:日本の周辺国(韓国、中国、タイ、ベトナムなど)があったのでわざわざ、アフリカに進出する必要はなかった。
②市場:アフリカ諸国は貧しいので市場にならなかった。

※今後はどうなるか?
アジアにはまだ安い労働力を供給する国があるので、日本企業がアフリカの低廉な労働力を求めることはないかもしれない。しかし、市場としての価値はある。確かに日本製品は中国製品に比べて高い。しかし、アフリカにも金持ちはいるので、それをターゲットにすることができる。(中国の一部は大金持ちであることと同じである。)また、日本製品も売れているが、欧州企業経由で買っているので、日本企業が進出し、直接販売することができる。


<仮説-2> 「赤信号、皆で渡れば怖くない」の逆
日本企業の競争相手は日本企業なので、競争相手がアフリカに進出しなければ、自社もアフリカに進出しないでも良い、と考えていた。

※今後はどうなるか?
アフリカ要員を増員している商社がある。今後は「バスに乗り遅れてはならない」という意識で、アフリカ進出の要因になる可能性がある。


<仮説-3> "ひも付きODA"
日本企業は、リスクが小さい"ひも付きODA" には関心があったが、リスクが高い投資には熱心ではなかった。

※今後はどうなるか?
ODA案件において、外国企業との競争(特に現地調達が求められるので地元企業との競争)が激しくなると思われる。


<仮説-4> 情報不足
日本企業には、アフリカの情報がなかった。一方、欧州諸国は植民地時代の宗主国として情報が蓄積しているし、旧植民地からの移民もいる。また、近場ということで、必然的に情報が入ってくる。

※今後はどうなるか?
とにかくアフリカを訪問して、自らの目で確認することである。「ルワンダとはどんな国?」と聞かれたら、多くの人は「1994年に大虐殺があった国だ」と答えるだろう。しかし2009年の現状を答えられる人は少ないと思う。


■参考資料

[1] ルワンダの資料 (図をクリックすると拡大)












出所:Rwanda Development Board
その他、World Bank Governance Indicatorも参考になる。


[2] コートジボワールの投資促進ビデオ




[3] TICAD, 「第1回アフリカ貿易・投資促進シンポジウム(概要)」

その他:
仲山今日子アナのブログ
ガボン開発銀行総裁(Christian Bongo)の発言
注:ガボンの前大統領Omar Bongo Ondimbaは、2009年6月8日死去。現在は息子のAli Ben Bongo(Ali Bongo Ondimbaで報道される場合がある。)が大統領で選出されている。Christian Bongoは前大統領の約30人の子供の一人。

各国の投資促進組織
ジブチ      
Djibouti Chamber of Commerece
http://www.djiboutichamber.dj/ (アクセス不可)

マラウイ
Malawi Cenfederation of Chambers of Commerce & Industry          
http://www.mccci.org/

べナン          
Agence Beninoise de Promotion des Echnges Commerciaux
http://www.abepec.bj/ (仏語)

ルワンダ          
Rwanda Development Board
http://www.rwandainvest.com/

コートジボワール
Centre de Promotion des Investissements in Cote D'Ivoire  
http://www.cepici.ci/index.php (仏語) CEPICI

ジンバブエ      
Zinbabwe Investment Authority
http://www.zia.co.zw/

ガボン
Investment Promotion Agency
http://www.invest-gabon.com (アクセス不可)


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2009/10/31

留守のお知らせ

ご訪問ありがとうございました、11月11日まで出張しますので、11月15日頃まで更新できません。
その頃にお待ちしております。今後ともよろしくお願いします。

最近のエントリー:
(10/31) 東アフリカ地域の情報インフラ整備

(10/30)  Dr.Jeffery Sachs と 国際援助

(10/25)  中国に在住するアフリカ人

東アフリカ地域の情報インフラ整備

食料、水、電力、教育、情報など----これらの全てを同時並行的に必要とするアフリカ。今回のエントリーでは、①地球上で光ファイバーが敷設されていなかった最後の地域だった東アフリカ地域に情報インフラが整備されたこと、また、②ルワンダの電気がない村でもインターネットにアクセスするプロジェクトが進んでいることをお伝えします。

■ニュース
1.海底光ケーブル

(1) 2009年7月12日、The East African Marine Systems (TEAMS) [1] は、UEAのフジャイラからケニアのモンバサまで海底光ファイバーケーブルを敷設した。全長4,900km。

(2) 2009年7月23日、別のケーブルシステムとして、SECOM社 [2] がインド-東アフリカ諸国-フランス・マルセイユをつなぐ海底光ファイバーケーブルを敷設した。全長17,000km、伝送効率 1,28 Terabits/秒。沿岸国(南アフリカ、モザンビーク、マダガスカル、タンザニア、ケニア、ジブチ、エジプト)まで届いているので、将来は内陸国(ウガンダ、ルワンダ他)に延長することになる。

ビデオ-1: Seacom in Africa(2009/08/26登録)

・ケニアの野生動物研究者は、象にGSPをつけて動きを監視できる。
・ルワンダの田舎の医者は、町の医者に聞きながら遠隔治療ができる。
・タンザニアの学生は、米国のMITの授業を受講できる。


図1:ケーブル配線図と距離 (図をクリック→拡大)










2.ルワンダ
(1)インターネット・バス
ビデオ-2: Internet bus for Rwanda 写真とビデオ
BBCにアクセスして、ビデオをご覧下さい。 ←----クリック)











・インターネット・バスが巡回するようになった。
・電気がない奥地でも体験できる
・1ヶ所に1週間程度滞在する。


(2) OLPC (One Laptop per Child) [3]
ビデオ-3: One Laptop Per Child (2007/10/04登録)


・価格:200ドル弱
・多少の水、埃、振動に耐えられる。テキストを読むだけなら24時間起動。


■解説

1.海底光ファイバーケーブル

アフリカ全域のケーブルは、この図のようになる。 
図2:2010年のインフラ (図をクリック→拡大)
















2.途上国向けに廉価なPCを提供するプロジェクト

・LTPC以外にも、Intelが途上国向けの安価なPCを提供している。[4]
・LTPCを持っていれば、電子化された書籍100万冊以上を無料でダウンロードすることができる。[5]


図3:アフリカの普及度















■コメント

・新しい事業を始めるにはリスクを伴うが、成功すれば大きなリターンがある。「The early bird catches a worm」を日本語に訳すと、「早起きは三文の徳(得)」と訳すのが一般的だが、毎日の生活のことだけでなく、「最初に事業を始める者が利益や名誉を得る」という意味もある。アフリカは何でも不足しているが、それは、ビジネスチャンスがあるということである。日本の会社も進出してもらいたい。


・ルワンダの子供達の笑顔は、単にPCもらったというよりは、希望、あるいは自分の可能性が広がったことに対する喜びを表現した笑顔だと思う。[6]














ビデオ-4: Skills: the right to education (2008/12/10登録)

・児童労働、児童売春、少年兵---これはフィクションではなく、現実である。


(注意)give one, get one は2台のPCを買い、1台は自分に、もう1台を発展途上国の子供に寄付するというキャンペーンである。2008年11~12月に米国内で実施されたが、現在は実施されていない。ただし、寄付は受け付けている。


■参考資料 & URL
[1] http://en.wikipedia.org/wiki/TEAMS_%28cable_system%29
[2] http://www.seacom.mu/index2.asp
[3] http://laptop.org/en/
[4] http://www.classmatepc.com/
[5] http://www.xconomy.com/boston/2009/10/24/internet-archive-opens-1-6-million-e-books-to-olpc-laptops/
[6] http://www.telegraph.co.uk/technology/6247728/One-laptop-per-child.html


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2009/10/30

Dr.Jeffery Sachs と 国際援助

今回のエントリーは、ジェフリー・サックス氏の国際援助活動について紹介します。2009年10月29日に開催された「第2回 日経GSRシンポジウム:地球の問題解決に向けた企業と国連、NGOの連携」の特別ゲストとして、竹中平蔵氏と対談されましたが、そこでの発言をまとめました。

●ジェフリー・サックス氏とは?
・コロンビア大学地球研究所長 兼 国連事務総長特別顧問。
・20代でハーバード大学のテニュアー(教授として終身的地位をもつ)になった。
・竹中氏曰く、「この30年間で最も世界を変えた経済学者」である。また、「アフリカの大統領は皆、彼に会いたがっている」とのこと。

●何をしている人?
・「Millennium Villageプロジェクト」を実施している。一言でいうと「援助のモデル村」あるいは「援助の実験村」である。(末尾のビデオ、参考資料を参照して下さい。)

●講演では何を話したの?
1.  アフリカなどの貧しい人たちは、自分達ではどうしようもない程に貧困状態から抜け出せなくなっている(trapされている)。だから我々先進国の人々が助けなければならない。しかし、その方向性を変更させる役割については、米国にはできないし、世界政府もない。

2.  企業、NGO、政府・国際機関、大学の4つが関与する必要がある。
①企業は自分が得意とする技術やノーハウを提供する(寄付する)。単にお金を寄付するのではなく、相乗効果(multiplier effect)があるものを提供する。日本にはいろいろな技術があるので、企業一社、一社が持ち寄り、貧困層に届くようにすればよい。
②NGOは企業が提供した技術などが援助として役立つかどうかを検証する。
③政府・国際機関は、NGOが検証して有効であることを確認したプロジェクトに、大規模に援助する。
④大学は、援助について分析し、提案する。

(私なりに考えて、図1のように図式化してみました。)
図1 援助モデル (図をクリックすると拡大)


3.  具体的な例を話された。
①住友化学の例
住友化学は援助の成功物語だ。同社はアフリカではタンザニアとナイジェリアで防虫剤練り込み蚊帳「オリセットネット」を生産している。現地企業に技術を無償供与し、5,000人を雇用している。
住友化学からは、Millennium Villageプロジェクトのため、「オリセットネット」を約35万張り寄付してもらい、そのマラリアに対する有効性を検証した。
私は、国連に何度も説明した結果、国連が大量購入して200万人に配布した。
②エリクソン
携帯電話を普及させるために、高さ100mの電波塔を建てた。
③GMは病院の機材(1000万ドル相当)を寄付した。
④KPMJは会計事務所です。同社はmillennium villageの経理を手伝ってくれてます。

このブログに書いたことに若干の間違いがあるかもしれません。速報ベースということでお許し下さい。なお、本日の講演会は、11月中に日経新聞が記事にするそうです。

●参考
住友化学のアフリカでのCSR

関連ブログ
黒川清オフィシャルブログ
「Jeffrey Sachs教授とMillennium Village」(2007/03/13)

Wanaki Jiji
「未来への提言 経済学者 ジェフリー・サックス ~貧困のない世界を目指して~ 」(1)  (2)

ビデオ (全てお勧めですが、最初のビデオにはアンジェリーナ・ジョリーがでてます。)
Angelina Jolie & Jeffrey Sachs- Part 1 Part2 (登録2006/09/06)

GOOD: The UN Millennium Declaration (登録2007/06/12)

Millennium Village Ruhiira, Uganda  (登録2008/05/23)


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