2010/04/29

アフリカ進出日本企業と在留邦人数

このエントリーの目的は、アフリカに進出する日本企業のリストを作成することです。新聞などで新しい情報を見つけた時にリストに加えます。既に進出している企業については、判っている範囲で記入しましたが、詳細は、『海外進出企業総覧【国別編】』をご覧下さい[1]。

また、リストには、『海外在留邦人数調査統計』平成21年度(2008年10月1日現在)を使い、国別に、進出企業数 及び 国別の在留邦人(民間企業関係者と政府関係職員)を記入しました[2]。

その統計から、以下のとおり3つの項目を拾ってみました。

1. 日本企業が20社以上の国(6ヶ国)

南ア(184社)、エジプト(45社以上)、ケニア(29社)、アルジェリア(28社)、タンザニア(21社)、モロッコ(20社)

2. 民間企業関係者(本人)100人以上の国(4ヶ国)

アルジェリア(777人)、南ア(254人)、マダガスカル(137人)、エジプト(124人)

3. 政府関係職員(本人)100人以上の国(7ヶ国)

ケニア(165人)、ガーナ(164人)、エジプト(141人)、ザンビア(131人)、ウガンダ(117人)、セネガル(115人)、マラウイ(114人)


【 コメント 】

・アフリカ大陸では南アの環境は抜群に良いので、在留邦人・企業数が多い。
・アルジェリアでは東西高速道路建設工事があるため、民間企業関係者が多い。
・想定外だったのは、マダガスカルに民間企業関係者多いこと。
・政府関係職員が多い国には、青年海外協力隊の隊員が多いのだろうか。

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このエントリーは、右側の  国情報  にリンクさせます。末尾に、図(商社のアフリカ進出状況)を貼り付けておきました。

作成:2010年4月29日
更新:2010年8月27日

青年海外協力隊 国別派遣人数(派遣中・帰国・累計)
http://www.jica.go.jp/volunteer/outline/publication/results/jocv/#a01

当該頁の最下部に「年度別派遣者数の推移」があるのでご参照下さい。



| | | | | | | | 商社



アルジェリア
企業数:28社
民間企業関係者(本人):777人
政府関係職員(本人):15人

三菱商事
伊藤忠商事
三井物産
住友商事
丸紅
豊田通商
双日
日揮

アンゴラ
企業数:8社
民間企業関係者(本人):63人
政府関係職員(本人):14人

住友商事
双日

ウガンダ
企業数:12社
民間企業関係者(本人):16人
政府関係職員(本人):117人

タカシエンタープライズ

エジプト
企業数:45社以上
民間企業関係者(本人):124人
政府関係職員(本人):141人

三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅、豊田商事、双日、太知
YKK
ユニ・チャーム
日産
住友電装

http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp1-20091224-578977.html

資生堂
住友電装
H.I.S.

エチオピア
企業数:0社
民間企業関係者(本人):28人
政府関係職員(本人):93人

三菱商事
伊藤忠商事
丸紅

エリトリア
企業数:0社
民間企業関係者(本人):11人
政府関係職員(本人):6人


ガーナ
企業数:5社
民間企業関係者(本人):15人
政府関係職員(本人):164人

伊藤忠商事
丸紅(出張所)
日立建機
西澤

カーボヴェルデ
企業数:2社
民間企業関係者(本人):3人
政府関係職員(本人):0人


ガボン
企業数:2社
民間企業関係者(本人):2人
政府関係職員(本人):35人


カメルーン
企業数:3社
民間企業関係者(本人):4人
政府関係職員(本人):32人

伊藤忠商事


ガンビア
企業数:0社
民間企業関係者(本人):0人
政府関係職員(本人):0人


ギニア
企業数:3社
民間企業関係者(本人):11人
政府関係職員(本人):14人


ギニアビサウ
企業数:0社
民間企業関係者(本人):0人
政府関係職員(本人):2人


ケニア
企業数:29社
民間企業関係者(本人):87人
政府関係職員(本人):165人

三菱商事
伊藤忠商事
住友商事
丸紅
豊田商事
太知
YKK
日清食品
会宝産業
道祖神
コマツ
日産
NEC

アイスリーデザイン
http://www.atpress.ne.jp/view/13716

コートジボワール
企業数:4社
民間企業関係者(本人):0人
政府関係職員(本人):11人

三菱商事

コモロ
企業数:4社
民間企業関係者(本人):0人
政府関係職員(本人):11人


コンゴ共和国
企業数:0社
民間企業関係者(本人):0人
政府関係職員(本人):0人


コンゴ民主共和国
企業数:0社
民間企業関係者(本人):4人
政府関係職員(本人):16人


サントメ・プリンシペ
企業数:0社
民間企業関係者(本人):0人
政府関係職員(本人):0人


ザンビア
企業数:2社
民間企業関係者(本人):5人
政府関係職員(本人):131人

丸紅

シエラレオネ
企業数:0社
民間企業関係者(本人):2人
政府関係職員(本人):10人


ジブチ
企業数:1社
民間企業関係者(本人):7人
政府関係職員(本人):13人


ジンバブエ
企業数:1社
民間企業関係者(本人):1人
政府関係職員(本人):21人

日産

スーダン
企業数:0社
民間企業関係者(本人):27人
政府関係職員(本人):53人
太知

スワジランド
企業数:2社
民間企業関係者(本人):1人
政府関係職員(本人):1人

YKK

セーシェル
企業数:0社
民間企業関係者(本人):2人
政府関係職員(本人):0人


赤道ギニア
企業数:1社
民間企業関係者(本人):0人
政府関係職員(本人):0人


セネガル
企業数:5社
民間企業関係者(本人):7人
政府関係職員(本人):115人

三菱商事

ソマリア
企業数:0社
民間企業関係者(本人):0人
政府関係職員(本人):0人


タンザニア
企業数:21社
民間企業関係者(本人):54人
政府関係職員(本人):73人

三菱商事
住友化学
西澤

チャド
企業数:0社
民間企業関係者(本人):0人
政府関係職員(本人):2人


中央アフリカ
企業数:2社
民間企業関係者(本人):4人
政府関係職員(本人):1人


チュニジア
企業数:12社
民間企業関係者(本人):27人
政府関係職員(本人):67人

三菱商事
伊藤忠商事
豊田通商
YKK
住友電装

トーゴ
企業数:1社
民間企業関係者(本人):0人
政府関係職員(本人):0人


ナイジェリア
企業数:11社
民間企業関係者(本人):26人
政府関係職員(本人):31人

三菱商事
伊藤忠商事
丸紅
双日
太知
西澤

パナソニック
http://www.sankei-kansai.com/2009/05/20/20090520-010021.php

ホンダ

http://www.honda.co.jp/group/Nigeria/
http://www.nikken-times.co.jp/stock/20100108.0/158207.html

味の素
http://www.tiw.jp/investment/nishimura/post_92/

ヤマハ発動機
http://www.jica.go.jp/publication/jocvnews/0817_18/04.html

住友化学

ナミビア
企業数:2社
民間企業関係者(本人):0人
政府関係職員(本人):38人


ニジェール
企業数:0社
民間企業関係者(本人):2人
政府関係職員(本人):10人


ブルキナファソ
企業数:1社
民間企業関係者(本人):0人
政府関係職員(本人):10人


ブルンジ
企業数:0社
民間企業関係者(本人):0人
政府関係職員(本人):2人


ベナン
企業数:3社
民間企業関係者(本人):13人
政府関係職員(本人):3人


ボツワナ
企業数:0社
民間企業関係者(本人):30人
政府関係職員(本人):1人


マダガスカル
企業数:12社
民間企業関係者(本人):137人
政府関係職員(本人):49人

伊藤忠商事
住友商事(ニッケル鉱山)


マラウイ
企業数:1社
民間企業関係者(本人):2人
政府関係職員(本人):114人

西澤

マリ
企業数:4社
民間企業関係者(本人):7人
政府関係職員(本人):10人


南アフリカ
企業数:184社
民間企業関係者(本人):254人
政府関係職員(本人):74人

三菱商事
伊藤忠商事
三井物産
住友商事
丸紅
豊田通商
双日
太知
YKK
トヨタ自動車、デンソー、トヨタ紡績、豊田合成
日立
東芝
三菱重工業
三井住友銀行
日産ディーゼル
日産
日立建機
住友電装
公文
道祖神
花王(GOLDWELL GmbH)
阪和興業


モザンビーク
企業数:2社
民間企業関係者(本人):25人
政府関係職員(本人):61人

三菱商事(アルミ精錬)
西澤

モーリシャス
企業数:2社
民間企業関係者(本人):2人
政府関係職員(本人):0人

日産

モーリタニア
企業数:2社
民間企業関係者(本人):7人
政府関係職員(本人):0人


モロッコ
企業数:20社
民間企業関係者(本人):44人
政府関係職員(本人):71人

三菱商事
伊藤忠商事
住友商事
双日
YKK
マキタ
http://www.makita.co.jp/company/abroad.html

住友電装

資生堂

阪急阪神交通社ホールディングス

リビア
企業数:16社
民間企業関係者(本人):60人
政府関係職員(本人):11人

三菱商事
三井物産
伊藤忠商事
住友商事
丸紅
双日
太知

積水化学工業
http://www.sekisui.co.jp/news/2009/1196641_2241.html

大成建設
国際石油開発、新日本石油開発、石油資源開発、三井石油開発


リベリア
企業数:0社
民間企業関係者(本人):3人
政府関係職員(本人):2人


ルワンダ
企業数:0社
民間企業関係者(本人):1人
政府関係職員(本人):26人


レソト
企業数:0社
民間企業関係者(本人):0人
政府関係職員(本人):2人




商社

三菱商事
①アフリカ http://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/network/africa/

三井物産
①アフリカ http://www.mitsui.co.jp/company/foreign/index.html#s02_10_05
②中東 http://www.mitsui.co.jp/company/foreign/index.html#s02_10_06

伊藤忠商事
①アフリカ http://www.itochu.co.jp/ja/about/network/africa/
②中東 http://www.itochu.co.jp/ja/about/network/middle_east/

住友商事
①アフリカ http://www.sumitomocorp.co.jp/company/point/africa.html
②中東 http://www.sumitomocorp.co.jp/company/point/mneast.html

丸紅
①アフリカ http://www.marubeni.co.jp/company/offices/003870.html
②中東 http://www.marubeni.co.jp/company/offices/003869.html

豊田通商
①アフリカ http://www.toyota-tsusho.com/corporate/branch/africa.cfm

双日
①中東・アフリカ http://www.sojitz.com/jp/corporate/network/base/base.asp?area_e=Middle%20East%20%26%20Africa

図をクリックで拡大
-----------------

[1] 『海外進出企業総覧【国別編】』
http://www.toyokeizai.net/shop/magazine/dbs_kaigaishin_country/detail/BI/1893a25b4bab4f30be631b518bee1583/

[2]『海外在留邦人数調査統計』平成21年度(2008年10月1日現在)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/tokei/hojin/index.html

2010/04/25

アフリカ諸国が外国に抱いている感情 (BBC世論調査)

BBC World Serviceは、2005年から毎年、世界の国 20ヶ国以上、1万から3万人を対象にして、ある国が「世界に良い影響を与えているか?」という世論調査を実施しています。2010年4月18日に第6回目の調査内容が発表されました。

アフリカ諸国に標準を当てて、2つの表を独自に作成してみました。
①2010年版のデータを使い、「特定の国が世界に及ぼす影響を肯定的に感じているのか、否定的に感じているのか、を1つの表にまとめました。人気度が分かります。
②2006年~2010年版のデータを使い、「アフリカ諸国は中国や日本をどのように見ているのか?」という推移表を作成しました。


【 ニュース 】

「中国の国際社会への影響 欧州と韓国で「悪い」が多く、日本では改善」 [1]
19日、英BBC放送(英国放送協会)と読売新聞社が世界33カ国を対象に共同で実施した世論調査の結果が発表され、中国の評価は相対的に下落傾向であることがわかった。環球網が伝えた。
世界33カ国の約3万人のうち、「中国は世界に良い影響を与えている」と評価したのは41%で、「悪い影響を与えている」の 38%を若干上回った。
欧州各国では一様に「中国は世界に悪い影響を与えている」との評価が「良い影響」を上回ったほか、アジアで「中国は悪い影響を与えている」としたのは韓国が最多で61%だった。また、日本で「中国は悪い影響を与えている」としたのは2009年調査の59%から 38%に減少した。
そのほか、今回の調査で初めて評価対象国となった韓国は、「良い影響」が32%で、「悪い影響」の30%を上回った。日本は「良い影響」が53%で、「悪い影響」は21%だった。(編集担当:畠山栄)


【 解説 】

1. BBCによる調査(6回分)の概要とデータ入手先については、下記「参考文献」を参照されたい。
なお、調査対象の国は、毎回同じではない。

2.上記のニュースの記述を表で示す。
(1)「中国は世界に良い影響を与えている」(positive influence in the world)と評価したのは41%で、「悪い影響を与えている」(negative influence in the world)の 38%を若干上回った。---→ 表1参照

(2)日本で「中国は悪い影響を与えている」としたのは2009年調査の59%から 38%に減少した。---→ 表2参照

(3)今回の調査で初めて評価対象国となった韓国は、「良い影響」が32%で、「悪い影響」の30%を上回った。---→ 表1参照


表1 (表をクリックして拡大)



表2 (表をクリックして拡大)



【 コメント 】

1. 2010年版のデータを使い、「特定の国が世界に及ぼす影響を肯定的に感じているのか、否定的に感じているのかをまとめた。(表3)

中国に関しては、
①全世界的に見ると、肯定的意見は41%、否定的意見は38%であるのに対し(表1)、
②アフリカ(エジプト、ケニア、ナイジェリア、ガーナの平均)では、肯定的意見は68%、否定的意見は17%である。(表3)

韓国の評価が、全国的にも(表1)、またアフリカに限定しても、肯定的意見よりも否定的意見のほうが大きい(表3)のには、驚いた。なお、BBCの調査はその理由にまでは言及していない。

表3 (表をクリックして拡大)


2. 2006年~2010年版のデータを使い、「アフリカ諸国は中国や日本をどのように見ているのか?」という推移表を作成した。(表4)

中国、日本の世界に対する影響について、アフリカ諸国が肯定的に見ていた割合については、2006年にはほぼ同じ割合であったが、現在では中国の方がより肯定的に見られている。しかし、否定的意見も日本より中国のほうが高い。

表4 (表をクリックして拡大)


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【 参考文献 】

1.引用文献

[1] 「中国の国際社会への影響 欧州と韓国で「悪い」が多く、日本では改善」(Searchina、2010/04/21)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0421&f=national_0421_006.shtml

「中国人57%『韓国肯定的』ドイツ人53%『否定的』」(中央日報,2010/4/20)
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=128426&servcode=A00&sectcode=A00

「World warming to US under Obama, BBC poll suggests」(BBC, 2010/4/19)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/8626041.stm


2. BBC World Service Poll(6回)の概要とデータ入手先

①発表:2005/3/5
調査期間:2004/11/15~2005/1/5
対象国:22ヶ国(内、アフリカ=1ヶ国:南ア)
対象人数:22,953人
報告書URL:
http://www.pipa.org/OnlineReports/China/China_Mar05/China_Mar05_rpt.pdf
http://www.worldpublicopinion.org/pipa/articles/views_on_countriesregions_bt/116.php?nid=&id=&pnt=116&lb=btvoc
http://www.globescan.com/news_archives/bbcpoll3.html
※中国しかわからない。

②発表:2006/2/3
調査期間:2005/10~2006/1
対象国:33ヶ国(内、アフリカ=8ヶ国:セネガル、ナイジェリア、ガーナ、DRコンゴ、ケニア、タンザニア、ジンバブエ、南ア)
対象人数:39,435人
報告書URL:
http://www.worldpublicopinion.org/pipa/articles/views_on_countriesregions_bt/168.php?lb=btvoc&pnt=168&nid=&id=
http://www.globescan.com/news_archives/bbc06-3/index.html

③発表:2007/3/6
調査期間:2006/11/3~2007/1/16
対象国:27ヶ国(内、アフリカ=3ヶ国:ケニア、ナイジェリア、エジプト)
対象人数:28,389人
報告書URL:
http://news.bbc.co.uk/2/shared/bsp/hi/pdfs/06_03_07_perceptions.pdf
http://www.worldpublicopinion.org/pipa/pdf/mar07/BBC_ViewsCountries_Mar07_pr.pdf
http://www.globescan.com/news_archives/bbccntryview/bbccntryview.pdf

④発表:2008/4/2
調査期間:2007/10/31~2008/1/25
対象国:34ヶ国(内、アフリカ=4ヶ国:エジプト、ナイジェリア、ガーナ、ケニア)
対象人数:17,457人
報告書URL:
http://news.bbc.co.uk/2/shared/bsp/hi/pdfs/02_04_08_globalview.pdf
http://www.worldpublicopinion.org/pipa/pdf/apr08/BBCEvals_Apr08_rpt.pdf
http://www.globescan.com/news_archives/bbccntryview08/BBC08-1_Country_Release_Final_v2.pdf

⑤発表:2009/2/6
調査期間:2008/11/21~2009/2/1
対象国:21ヶ国(内、アフリカ=3ヶ国:エジプト、ナイジェリア、ガーナ)
対象人数:13,575人
報告書URL:
http://news.bbc.co.uk/2/shared/bsp/hi/pdfs/06_02_09bbcworldservicepoll.pdf
http://www.worldpublicopinion.org/pipa/pdf/feb09/BBCEvals_Feb09_rpt.pdf
http://www.globescan.com/news_archives/bbccntryview09/BBC_Country_Release_09.pdf

⑥発表:2010/4/18
調査期間:2009/11/30~2010/2/16
対象国:28ヶ国(内、アフリカ=4ヶ国:エジプト、ナイジェリア、ガーナ、ケニア)
対象人数:29,977人
報告書URL:
http://news.bbc.co.uk/2/shared/bsp/hi/pdfs/160410bbcwspoll.pdf
http://www.worldpublicopinion.org/pipa/pipa/pdf/apr10/BBCViews_Apr10_rpt.pdf
http://www.globescan.com/news_archives/bbc2010_countries/BBC_2010_countries.pdf


3..表3と表4のデータ作成方法 (表をクリックして拡大)

2010/04/18

空飛ぶトイレ ( BOP:トイレビジネスの可能性 )

世界の人口の17%は野外で排泄し、11%は不衛生なトイレを使っている生活をしています[1]。下の写真は、ケニアの首都ナイロビ近郊のスラムものですが、排泄物を黒色のビニール袋に入れて、自分の家から遠くへ投げ捨てているので、「空飛ぶトイレ」(flying toilet)と呼ばれています。臭気、汚染、下痢などの問題を引き起こしています。今回のエントリーでは、汚物を処理する新製品を紹介します。

写真(ケニアのKibera スラム)
写真をクリックして拡大

【 ニュース 】

New York Times等は PeePoo bagの記事を掲載した[2]。概要は以下のとおり。

・スエーデン建築家 (Anders Wilhelmson)が、排泄物を入れる袋を開発した。
・袋の名前をPeePooという。(幼児言葉で、Peeは小便、Pooは大便という。)
・使い方は、小さな缶などにPeePooを入れ、その中に座って用を足す。(図1)
・PeePooに汚物を入れて封をすれば、24時間は臭わない。
・PeePooは生分解性(bio-degradableな)プラスチックでできており、袋の内側にコーディングされている尿素が、2~3週間かけて糞尿のなかのある悪い菌を殺し、糞尿を肥料に変化させる。
・ケニアのスラムの50家族で1ヶ月試験利用したところ、好評であった。
(a) 278人を対象にして、28日間使ってた。合計3,354袋が消費された。
(b) 90%の人達は、清潔で利用するのが簡単であると感じた。
(c) 85%の人達は、毎日使いたいと考えた。
・PeePooを集めて、畑で使うため、集配のための雇用も生まれる。
・PeePooは無料配布するか、あるいは、これまでのポリエチレン袋と同じ値段で販売することを検討している。。


【 解説 】
1.PeePooの使い方

図1:
図をクリックして拡大


2.市場規模
世界の人口は68億人。その1%が 1日1回、1袋1円のPeePooを使ったとして、1日6,800万円の売り上げになる。その百分の一でもものすごい金額になる。


【 コメント 】

・開発者はスラムの現状をなんとかしようとして、開発しようとしたそうだ。アフリカが何を求めているのか、実際に訪問することが重要である、ということがよく分かる事例である。

・PeePooは、援助品として提供されるのか、あるいは売られる場合でも安価であるが、ビジネス(BOP:base/bottom of pyramid)の絶好の商品となるだろう。

・日本には「バイオ・トイレ」のような製品があるが[3]、レベルダウンして、低廉な商品を開発できるのではないか。

・「世界の人口の28%はトイレがないか、あっても不衛生な生活をしている」のが現実である。日本には世界に誇れる温水洗浄便座(ウオッシュレット等)があり、家庭への普及率は69%(2009年3月内閣府発表[4])に達している。安くない商品だが、それを購入できる日本人は裕福であり、日本は衛生面な国だということを、改めて認識した。



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【 参考文献 】

(1) 引用文献

[1] 「Progress on Sanitation and Drinking-water: 2010 Update」 (WHO & UNISEF,2010)
http://www.wssinfo.org/download?id_document=1289
「WATER FOR LIFE MAKING IT HAPPEN」 (WHO & UNICEF, 2005) 上記の古いバージョン。
http://www.who.int/water_sanitation_health/waterforlife.pdf

図2:世界のトイレの整備状況 
(図をクリックして拡大)

[2] PeePooに関する最近の報道
「For Pennies, a Disposable Toilet That Could Help Grow Crops」(New York Times, 2010/3/1)
http://www.nytimes.com/2010/03/02/science/02bag.html

「Kibera tries new bag to solve 'flying toilet' problem」(BBC,2010/3/30)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/africa/8594972.stm

「Forget flying toilets, it's all fertiliser」(Standard Media, 2010/4/10)
http://www.standardmedia.co.ke/InsidePage.php?id=2000007384&cid=4&ttl=Forget%20flying%20toilets

[3] http://eco.nikkeibp.co.jp/style/eco/person/070824_seiwa-denko01/index.html
http://www.seiwa-denko.co.jp/
http://www.wrappon.com/tokara/index.html

[4] http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/shouhi.html  「普及率(3月調査)」を参照


(2) 組織

PeePooのホームページ (ビデオもある)
http://www.peepoople.com/

開発者Anders Wilhelmson氏のホームページ
http://www.wilhelmson.se/

WHO / UNICEF Joint Monitoring Programme (JMP) for Water Supply and Sanitation
http://www.wssinfo.org/country/introduction.html

International Year of Sanitation 2008 国連国際衛生年(2008)
http://esa.un.org/iys

(3)その他の資料

PeePooの利用の試験的利用の結果報告書
「Urban slum dwellers in Kenya and Bangladesh benefit from using Peepoo bags which are self-sanitising and biodegradable」(8頁)
http://www2.gtz.de/Dokumente/oe44/ecosan/en-benefit-from-using-peepoo-bags-Kenya-Bangladesh-2009.pdf

「Results of a medium-scale trial of single-use, self-sanitising toilet bags in poor urban settlements in Bangladesh」(German Technical Cooperation, 2009) (92頁)
http://www.gtz.de/en/dokumente/gtz2010-peepoo-bags-bangladesh-trial.pdf

「IMPACT ASSESSMENT REPORT 0N THE PEEPOO BAG, SILANGA VILLAGE, KIBERA, NAIROBI-KENYA」(Thomas H. M. Ondieki & Maurice Mbegera,JEAN AFRICA CONSULTANTS, 2009/1) (100頁)
http://www2.gtz.de/Dokumente/oe44/ecosan/en-peepoo-bags-assessment-Kibera-2009.pdf

「26億人がトイレを待つ」 (JANJAN、2007/08/24)
http://www.news.janjan.jp/world/0708/0708221164/1.php

アフリカのトイレ事情 ★必見
マリ、ニジェール、スーダン  http://www.toilet.or.jp/wts/bookinfo.html
ザンビア、ケニア、ウガンダ  http://www.toilet.or.jp/wts/bookinfo.html?start=3


「Kenya DownTown」(実際にKiberaというスラムの中を歩いた「★FABULOUS★」さんのブログ、2008/04/28)
http://ameblo.jp/miyabi-loves-safari/entry-10089856479.html

The Women of Kibera (ビデオ、アフリカ第二のスラム, Kiberaに住む女性の苦労を解説)

2010/04/15

象の保護 ~ 象牙を有効利用するための提案 ~

ケニアでサファリをしたことがあります。刻々と変化する温度と乾ききった空気を感じ、風の音を聞きながら草原に生息する野生の動物達を見るのは、とても贅沢な経験でした。

テレビの映像では、そこら中に動物がいるように見えますが、実際は違います。特にBIG 5(ライオン、象、水牛、豹、サイ)を探すには、数時間かかることがあります。初めて象の群を見つけた時は感動ものでした。その大きさに圧倒され、群れのなかで子象が守られている姿を見ると、ほのぼのとした気持ちになりました。

写真:著者撮影




しかし、密猟者は象牙をとるために多くの象を殺しています。絶滅のおそれのある野生動植物を保護するための国際会議(ワシントン条約締約国際会議)が、2010年3月13~25日、カタールで開催されました。日本の新聞は「黒マグロ」について多くの紙面を割きましたが、「象」も議題になりましたので、このブログで取り上げます。

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【 ニュース 】

象牙在庫の輸出解禁案否決 ワシントン条約締約国会議 [1]

(CNN)ドーハで開催中のワシントン条約締約国会議は22日、タンザニアとザンビアが提出していた象牙の合法的在庫の輸出解禁案を否決した。ゾウの保護を求めている活動家らはこれを歓迎している。

会議は1989年、ゾウの生息数が密漁で劇的に減少した実態を受け、象牙の輸出入を禁止した。97年と2002年にボツワナとナミビア、南アフリカ、ジンバブエは、アフリカ南部の生息数が健全であるとの事実を踏まえ、日本への在庫輸出が限定的に解禁された。5年後には今後の在庫輸出について、9年間の猶予期間が設けられた。

タンザニアは90トン、ザンビアは21トンの象牙在庫を保有。両国は自国のゾウ生息数が増加に転じたとして、在庫輸出による収益金をゾウの保護計画に充てる案を会議に提出した。

しかしゾウが生息するアフリカ23カ国の1つであるケニアの専門家らは、前回の輸出解禁後にゾウの密猟が増加したとして、全面禁輸を主張。密猟されたゾウから採取した象牙は合法的な在庫分に偽装できるため、象牙の違法取引が利益を生むビジネスになっていると指摘した。



【 解説 】

1.これまでの経緯は末尾参照。

2.象の密猟の例

(1)ケニアの例 [2]
1963年: 167,000頭
1989年:  16,000頭← 年間約6,000頭が殺され、25年で10%になった。
1996年:  26,000頭
2009年:  32,000頭← 20年でやっと2倍になった。

(2)コンゴ民主共和国のヴィルンガ国立公園の例 [3]

1960年代: 2,889頭
2006年: 400頭
2008年: 200頭


【 コメント 】

1.現状分析

現状では、次のような方策で密猟をなくす努力をしている。
①需要:象牙を買わないようにする、あるいは象牙の利用をタブーとするようなキャンペーンをはっている。[4]
②供給:たとえ密猟しても、輸出できないようしている。






2。現状の問題
象牙の価格を上昇させてしまい、それが密猟を誘因していると考えられる。

①需要は減らない。
・中国の経済発展により、高価な象牙細工を購入できる購買層が増えている。
・象牙加工業者は次のように宣伝する。「象牙は古来より魔除けや繁栄の象徴として呼ばれ、象牙の品を持つことは健康長寿、財政到来、夫婦和合、家内繁栄の最高の吉運につながるものをされています。縁起のよさ、材質に必要な全ての条件を持っており、印材の中の大吉相印材となっています。」[5]

東洋にはこのような考えを持っている人が少なからず存在するので、西洋の環境運動家が「象牙を保有するな」という考えを広めようとしても、それは現実的ではないと思う。

②供給を減らすので、価格が上昇する。その結果、密猟が「魅力的なビジネス」になる。


3。代替案

密猟を「魅力のないビジネス」にしてしまうことである。要するに、①密猟をして捕まった時のリスクを大きくして(すなわち罰則を強化する)、また、②象牙の価格を下落させて、リターンを小さくすることである。そうすれば、密猟は「high risk, low return」になる。

①密猟のリスクを高める方法
・捕まえるために、レンジャーを増員する。
・罰則を強化する。
・費用については後述。

②密猟のリターンを低める方法
・象牙を市場に供給して、価格を下げる。具体的には、自然死した象の象牙を、政府の管理下におく。(象の平均寿命は60年として、たとえばケニアでは年間200~300頭が自然死すると推測する。)
・国内で象牙クラフト産業を育て、国内で象牙製品を制作して、観光客に販売する。(必要であれば、非加工象牙を輸出できるようにする。日本の税関に申告すれば、象牙製品を持ち込みできるように法改正する必要がある。)
・収入は密猟規制に使う。


4。まとめ
・象はサファリに欠かせない「資源」なので密猟防止を強化する。
・自然死した象の象牙を、有効利用(雇用創出、外貨獲得)する。その収入は密猟防止のために使う。


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【 参考文献 】

(引用文献)
[1] http://www.cnn.co.jp/science/CNN201003230006.html
[2]
http://www.kws.org/research/projects/elephant_programme.html
http://www.meshanet.org/bigfive.html
[3]
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=73614975&expand
[4]
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=73614975&expand
http://www.cop10.com/species-forest/000034.html  ← ビデオ日本語字幕付き




[5] http://inkan.hankodo.com/Archive/Details_Material_01
[6] http://www.jtef.jp/view_citescop15.html



(参考資料)

ワシントン条約事務局
http://www.cites.org

ワシントン条約の説明:
NHK http://www.nhk.or.jp/bsdebate/0411/data3.html
外務省 http://www.mofa.go.jp/mofaj/Gaiko/kankyo/jyoyaku/wasntn.html
経済産業省 http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/boekikanri/cites/index.html

野生生物の取引をモニタリングする世界最大のNGO
http://www.traffic.org/
http://www.trafficj.org/ (日本)

African Elephant Status Report 2007
http://www.african-elephant.org/aed/pdfs/aesr2007-20.pdf

象牙その他のゾウ標本の違法取引の監視に関する概要 -ゾウ取引情報システム(ETIS)-
http://www.trafficj.org/publication/Cop14Doc.53.2_ETISj.pdf

密輸象牙の行く先は日本 - 日本における象牙の国内取引管理に対する提言(要約) - by 坂元雅行
http://www.jwcs.org/data/ivory_1-1.pdf


(経緯)

1970~80年代:個体数急減
20世紀初頭、1000万頭がいたといわれるアフリカゾウ。象牙を目的とした狩猟により、48万頭あまりにまで激減した。

1989年:第7回ワシントン条約締約国会議において、象牙の国際取引は実質的に禁止。全てのゾウの個体群はワシントン条約の附属書Ⅰに掲載され、ゾウ製品の商業目的による国際取引は世界的に禁止された。

1997年:第10回ワシントン条約締約国会議において、南部アフリカ3カ国(ボツワナ、ナミビア、ジンバブエ)の個体群が附属書IからIIに戻された。3ヶ国では象が増加傾向にある。2年後(1999年)に日本に一度だけ売ることが許可された。

1997年:ETIS(ゾウ取引情報システム:Elephant Trade Information System)設立。目的は、ゾウ製品の違法な取引を追跡するための、広範囲に及ぶ国際的なモニタリングシステム。ETIS は、象牙取引の条件付き再開が、ゾウの個体群に悪影響を与えるかどうかをモニターするために設けられたものである。

ETIS レポートは、押収される象牙の量は、1989 年から1994 年にかけてはめざましく減少し、その後1998年までは横這いであったにもかかわらず、それ以降はずっと増加しつつあることを示している。また、その主要な原因は、1998 年以降、中国における象牙需要が急激に高まっているためと分析している。

1999年:3カ国の在庫象牙約50トンが、日本に向けて試験的に輸出された。

2000年:第11回ワシントン条約締約国会議において、南アのアフリカゾウ附属書 II への移行提案採択された。

2002年:第12回ワシントン条約締約国会議において、ボツワナ、ナミビア、南アのアフリカゾウの象牙の在庫の1回限りの輸出の条件付承認。ジンバブエとザンビアによる輸出は認められなかった。

2004年以降:象牙の不法取引は、急激に増加している。

2007年:南アフリカなど4カ国が、9年間、新たに象牙取引再開を提案しないという条件で一回限りの輸出が認められた。

2008年:ワシントン条約の常任委員会は先月(2008/7)、中国に対する一時的な象牙の売買を認めた。南アフリカの4カ国(ボツワナ、ナミビア、南アフリカ共和国、ジンバブエ)の政府が貯蔵する108トンの象牙の競売への参加を許可した。なお、この競売には日本も参加を認められている。

2009年11月:タンザニアとザンビアは、ワシントン条約附属書ⅠおよびⅡの修正を求める提案を行った。

2010年:第15回ワシントン条約締約国会議 [6]
1.タンザニアとザンビアによる提案
タンザニアとザンビアは自然死した象の象牙を保有しており、1回限りで中国と日本に輸出し、代金を象の保護に充てる案を提出した。しかし、「密猟が助長される」と懸念され、否決された。

2.ケニアガーナなど8カ国などによる提案
象牙取引は、現在9年間禁止されているが、それを20年間凍結すよう提案した。しかし、「前回議論を尽くして9年と決めたばかりだ」などと反対が大勢を占め、自ら提案を取り下げた。