2012/06/04

在外公館(アフリカ)のHP評価 (3回目)

アフリカには54ヶ国あるが、32の国に日本大使館が設置されており、全ての大使館がホームページ(HP)を作っている。このブログでは、2010年1月と同年12月に各HPを定性的に評価したが[1]、今回は「サイト解析」ができるソフトウエアを使って定量的に評価してみた。結果を言うと、32のHPの半数以上に落第点をつけざるを得ない。

調べてみたところ、総務省は在外公館の行政評価を実施していた。今回のブログでは、①最初にそれを紹介し、②次に、私の評価方法と評価結果を説明し、③最後に、コメントを述べる。日本の在外公館のHPが良くなることを期待する。


1.総務省による行政評価 及び 外務省の対応

総務省の「在外公館に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」は、2009年から2012年にかけて実施された。2010年5月、「在外公館に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」を発表しているが、調査の1項目である広報文化業務 については以下の勧告がなされた。[2]

在外公館が管轄する国・地域の治安状況、通信等各種のインフラの整備状況等の違いを踏まえつつ、次の措置を講ずること。
○在外公館における広報文化業務の実施体制及び実施状況を的確に把握・分析し、他の在外公館に比べ実績が乏しい在外公館に対しては、必要な指導を強化すること。
○在外公館に対し、「在外公館ホームページの運営の手引き」に即したホームページ運営をするよう徹底すること。また、当該手引に新設在外公館におけるホームページの開設までの目安となる期間を定めホームページの早期開設を推進すること。さらに、在外公館におけるホームページの運営状況を定期的にフォローアップし、効果的な取組事例や要改善事項を取りまとめ、在外公館に情報提供・指示すること。

一方、外務省は、総務省の勧告を受けて、諸対策を講じた。2012年3月には以下のような報告を総務省に報告している。(下記は抜粋)

・在外公館におけるホームページの開設については、平成23年3月末までに、全211公館がホームページを開設。
・各在外公館に対しては、平成23年4月に「在外公館ホームページ(運営状況等フォローアップ:第2回自己評価)」を発出し、ホームページ運営体制の改善、定期的な更新、リンク切れの対処を求めたほか、在外公館における効果的な取組事例も周知。
・第1回自己評価結果と第2回自己評価結果を比較すると、ミニマムコンテンツの記載達成率90%以上の公館が、日本語版では81公館から96公館、現地語版では105公館から127公館に増加。


2.評価方法と評価結果

(1)評価方法

「Website Explorer」というソフト "サイト解析ツール"を使って、HPに収納されているファイルの「総サイズ」(メガバイト)を計測した[3]。

(2)評価結果

各大使館のHPの「総サイズ」は図のとおりである。(一部の大使館の棒グラフを赤色で表示している理由は、後述する。)

図:在外公館(アフリカ)のホームページの総サイズ(2012/5/31現在)



3.コメント

(1) 望ましいHP

HPが評価されるかどうかは、リピーターを獲得できるかどうかで決まる。下記の日本大使館は独自のレポートやエッセーなどを定期的に提供していることを評価する。(図の赤色の棒グラフ参照)

a. 政治経済情報

日本の新聞などはアフリカ関連の記事が少ないので、大使館が発信する政治・経済ニュースを期待したい。なお、過去のレポートは少なくとも数年間はアーカイブとして読めるように公開して頂きたい。

b. 大使のエッセー

また、事実関係だけでなく、大使の意見も読みたい。例えば、在タンザニア大使(岡田眞樹氏)、在ザンビア大使(江川明夫氏)がエッセーを書いている。今は離任したが、在コートジボワール大使(岡村善文氏)はブログを書いて情報発信していた。[4]

c. 在留邦人のエッセー

日本にいる読者にとっては在留邦人のエッセーも読み応えがある。在アンゴラ大使館の「アンゴラ奮闘記」、在ケニア大使館の「活躍する日本人紹介」及び「ケニアこぼれ話」など、情報発信しようという意思が感じられる。


南アフリカ:月刊南ア・ニュース、Fact Sheet、他
エジプト:Information Bulletin - JAPAN
マラウイ:ニューズレター(英文)
タンザニア:大使レター
エチオピア:ニュースレター(年4回)
アンゴラ:アンゴラ経済月報 アンゴラ奮闘記(在留邦人記)
ザンビア:ザンビア便り(大使)
ボツワナ:「ボツワナ情報」「ボツワナでの生活」
ケニア:「『ケニアの現場から』~活躍する日本人」「ケニアこぼれ話」「JOCVの広場」
ルワンダ:ルワンダ月報
モザンビーク:モザンビーク月例報告
リビア:リビアに関する報道


(2) 特に評価したい大使館

今回の評価では、特に3つの大使館を評価したい。在南アフリカ大使館と在エジプト大使館は、情報の量が飛びぬけており、HPを担当された歴代の担当者に敬意を表したい。

もう1つは、、わずか半年で目覚しく改善した在ジンバブエ大使館である。半年前までは、1年以上更新していない悲惨な内容だった。しかし、新しい大使(福田米蔵氏)が赴任してから、上位に食い込んでいる。HPを良くするもの悪くするのも、大使のやる気次第であることがわかる。

形式的にHPを作成しているだけの大使館(図の下部にある大使館)は改善し、外務省においては在外公館のHPに期待するミニマムコンテンツのレベルを上げて適切に監督して頂きたい。


【 参考文献 】

[1] 過去の評価
1回目(2010/1/10)在外公館(アフリカ)のWeb Page評価

2回目(2010/12/31)在外公館(アフリカ)のHP評価(2回目)


[2] 総務省と外務省
2009/4~2010/5: 総務省による外務省の調査
2010/5/7: 総務省による外務省への勧告 --- その1
2010/12/10: 外務省からの総務省への回答(1回目)
2012/2/16: 外務省からの総務省への回答(2回目)
2012/3/13: 総務省による2回目のフォローアップ---その2

(その1)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000064691.pdf
http://www.soumu.go.jp/main_content/000064692.pdf
http://www.soumu.go.jp/main_content/000064693.pdf
http://www.soumu.go.jp/main_content/000064694.pdf
(その2)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/55495.html
http://www.soumu.go.jp/main_content/000150378.pdf

[3] Website Explorerについて
1.ダウンロード先は http://www.umechando.com/webex/index.html
2.料金は、「個人での非商用利用に限り無償」とのこと。
3.具体的な設定方法
(1)ソフトを起動して、[アクション] → [詳細設定] → [フィルタ] → [スタートページのみ解析] する。このようにしないと、リンク先のファイルの大きさまで計測してしまう。
(2)最上部のURLに設定する。

4.注意点
(1)今回のような分析は、32のHPの相対的な大きさがわかった。しかし次のような問題点があることを指摘したい。
・重い画像ファイルがあるとHPの総サイズが見かけ上、大きくなる。(在ベナン及び在チュニジア大使館のHP)
・古いHPにはそれなりにファイル数が多いので、新しいHPが古いHPと競うのはあまり意味がない。
(2)各HPの大きさの年毎の推移を計測するために適している。

[4] コートジボワール日誌 by 岡村善文氏

(参考)大使館のHP(図の順番)
南アフリカ 
エジプト  
マラウイ  
ブルキナファソ 
ジンバブエ 
タンザニア 
ベナン 
チュニジア
エチオピア
セネガル
アンゴラ
ザンビア
モロッコ
スーダン
ボツワナ
ウガンダ
アルジェリア
コンゴ民主共和国
ケニア
ルワンダ
モザンビーク
コートジボワール
ガボン
リビア
ナイジェリア
ガーナ
マリ
ギニア
ジブチ
カメルーン
モーリタニア
マダガスカル