2009/11/14

なぜ日本企業はアフリカへの投資に熱心でないのか?

アフリカには、1日一人当たり数ドル以下で生きている最貧国や、それを脱した国、さらに南アフリカのように先進国の仲間入りをしたといえる国があります。最貧国には「援助」が必要ですが、貧困から脱した国には、雇用を確保するため外国企業からの「投資」を求めています。「Trade, Not Aid」です。今回は、「投資」についてのエントリーです。

追記(2012/7/7): タグページの「日本企業inアフリカ」もご覧下さい。


■ニュース
2009年11月12日、「日・アフリカ交流フォーラム 第2回アフリカ貿易・投資促進シンポジウム」(主催:外務省、後援:経済産業省、日本貿易振興機構(JETRO))が開催された。

シンポジウムでは、ジブチ、マラウイ、べナン、ルワンダ、コートジボワール(アイボリーコースト、象牙海岸)、ジンバブエ、ガボンの7ヶ国からの投資促進担当者が 日本企業の「投資」を求めた。

各国の説明(30分/国)を終え、Q&A 質疑応答に次のような問題提起があった。

①ジブチの商工会議所会頭(Mr.Said Omar Moussa)
・中国、インド、韓国、欧州などがアフリカに投資しているのに、なぜ日本企業は投資しないのか?その理由を聞かせて欲しい。

②在日ルワンダ大使(Mr.Antoine Munyakazi-Jiru)
・JICAはアフリカ諸国に多くのことをしてくれている。しかし、日本の民間部門の投資はslowだ。
・マスコミはアフリカの汚職、内戦などだけを報道しているが、アフリカ諸国は改革しつつあり、確実に成果が出ている。そのなかでもルワンダは改革の優等生(best reformer)だ[1]。

③コートジボワール投資促進センター所長(Mr.Daoda Silue)
・アフリカの全ての国は、全ての国に門戸を開いている。日本が来ていないだけだ。
・アフリカはインフラが整備されていない、と思われている。だからビデオを見てもらった[2]。港湾、道路、鉄道は既にある。
・内戦していると思われているが、それはほんの一部だ。10億人がアフリカ住んでおり、巨大な市場がある。


■解説
「アフリカ貿易・投資促進シンポジウム」は、2008年5月に開催された第四回アフリカ開発会議(TICAD IV)において発表されたアフリカへの民間投資倍増支援政策の一環として、毎年行われている[3]。


■コメント
なぜ日本の企業はアフリカに投資していないのか?---4つの仮説を考え、「今後はどうなるのか?」と自問自答してみました。

<仮説-1>アフリカは対象外
企業が他国に進出する主な理由は「安い労働力」と「市場」だが、アフリカは対象外であった。
①安い労働力:日本の周辺国(韓国、中国、タイ、ベトナムなど)があったのでわざわざ、アフリカに進出する必要はなかった。
②市場:アフリカ諸国は貧しいので市場にならなかった。

※今後はどうなるか?
アジアにはまだ安い労働力を供給する国があるので、日本企業がアフリカの低廉な労働力を求めることはないかもしれない。しかし、市場としての価値はある。確かに日本製品は中国製品に比べて高い。しかし、アフリカにも金持ちはいるので、それをターゲットにすることができる。(中国の一部は大金持ちであることと同じである。)また、日本製品も売れているが、欧州企業経由で買っているので、日本企業が進出し、直接販売することができる。


<仮説-2> 「赤信号、皆で渡れば怖くない」の逆
日本企業の競争相手は日本企業なので、競争相手がアフリカに進出しなければ、自社もアフリカに進出しないでも良い、と考えていた。

※今後はどうなるか?
アフリカ要員を増員している商社がある。今後は「バスに乗り遅れてはならない」という意識で、アフリカ進出の要因になる可能性がある。


<仮説-3> "ひも付きODA"
日本企業は、リスクが小さい"ひも付きODA" には関心があったが、リスクが高い投資には熱心ではなかった。

※今後はどうなるか?
ODA案件において、外国企業との競争(特に現地調達が求められるので地元企業との競争)が激しくなると思われる。


<仮説-4> 情報不足
日本企業には、アフリカの情報がなかった。一方、欧州諸国は植民地時代の宗主国として情報が蓄積しているし、旧植民地からの移民もいる。また、近場ということで、必然的に情報が入ってくる。

※今後はどうなるか?
とにかくアフリカを訪問して、自らの目で確認することである。「ルワンダとはどんな国?」と聞かれたら、多くの人は「1994年に大虐殺があった国だ」と答えるだろう。しかし2009年の現状を答えられる人は少ないと思う。


■参考資料

[1] ルワンダの資料 (図をクリックすると拡大)












出所:Rwanda Development Board
その他、World Bank Governance Indicatorも参考になる。


[2] コートジボワールの投資促進ビデオ




[3] TICAD, 「第1回アフリカ貿易・投資促進シンポジウム(概要)」

その他:
仲山今日子アナのブログ
ガボン開発銀行総裁(Christian Bongo)の発言
注:ガボンの前大統領Omar Bongo Ondimbaは、2009年6月8日死去。現在は息子のAli Ben Bongo(Ali Bongo Ondimbaで報道される場合がある。)が大統領で選出されている。Christian Bongoは前大統領の約30人の子供の一人。

各国の投資促進組織
ジブチ      
Djibouti Chamber of Commerece
http://www.djiboutichamber.dj/ (アクセス不可)

マラウイ
Malawi Cenfederation of Chambers of Commerce & Industry          
http://www.mccci.org/

べナン          
Agence Beninoise de Promotion des Echnges Commerciaux
http://www.abepec.bj/ (仏語)

ルワンダ          
Rwanda Development Board
http://www.rwandainvest.com/

コートジボワール
Centre de Promotion des Investissements in Cote D'Ivoire  
http://www.cepici.ci/index.php (仏語) CEPICI

ジンバブエ      
Zinbabwe Investment Authority
http://www.zia.co.zw/

ガボン
Investment Promotion Agency
http://www.invest-gabon.com (アクセス不可)


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