2010/02/28

自動車リサイクル業者がアフリカに進出する

日本から多数の中古車がアフリカに輸出されていますが、現地でメンテナンスをしないと、いずれゴミの山を作ってしまいます。新車を製造するのは「動脈産業」ですが、それだけでは、いずれ限界がきます。資源は無限ではないからです。使える部品を有効利用する「静脈産業」が必要です。

会宝産業(金沢市)は、中古乗用車部品の輸出のコンテナ数が年間550本に上る日本一の企業ですが、2010年にケニアでリサイクル専用工場を稼動させ、中古車リサイクル事業を本格化させようとしています。

「海外の多くの国々では、日本の中古車はまさに宝物。それを日本では、潰してスクラップにしてしまっているんですよ。もったいないと思いましたよ」 (会宝産業 近藤典彦社長)

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【 ニュース 】

アフリカ、中東に合弁会社 会宝産業 [1]

自動車解体、部品販売の会宝産業(金沢市)は今年、アフリカや中東など海外8カ国で合弁会社を新たに設立する。既に営業しているタイ、ケニアを含め、海外の合弁会社を10カ国体制とする。自動車リサイクルの営業拠点と位置付け、中古車の部品を販売する。

近藤典彦社長によると、新設する合弁会社は南アフリカ共和国やガーナ、タンザニア、ヨルダンなどが候補地で、米国やロシアにも設立する計画だという。現在、同社の役員をアフリカに派遣し、現地の取引先との交渉を進めている。

同社は海外61カ国の取引先とネットワークをつくっており、合弁会社は中古車の部品販売のほか、現地で同社の自動車リサイクル事業のノウハウを伝える拠点とする。社員が現地に常駐することも検討しているという。

同社の2009年12月期の売上高は15億3千万円。同社は合弁会社の増設によって販路を拡大し、10年12月期の売上高は17億7500万円を目指す考えだ。近藤社長は「自動車リサイクルという環境に役立つビジネスを海外に広げることは社会貢献にもなる」と話している。


【 解説 】

1.会宝産業とはどんな会社?

(1)会社概要
設立: 1969年
資本金: 5,700万円
売上高: 2009年12月期 1,530百万円 [2]
社員数: 60名
URL: http://www.kaiho.co.jp/jp/
事業内容:使用済自動車の引取・解体・破砕前処理、中古車・中古部品の輸出販売など

図をクリックして拡大


















(2)海外ネットワーク

取引国:61ヶ国
海外の合弁会社:
合弁会社の役割は、中古車の部品販売の拠点、及び 自動車リサイクル事業のノウハウを伝える拠点。
①営業開始(2ヶ国):タイ(2008年7月)、ケニア(2009年5月)
②2010年:モンゴル、英国、南アフリカ、ガーナ、タンザニア、ヨルダン、米国、ロシアの8ヶ国を予定。


(3)同社の「強み」
・在庫システムのノウハウを持っている。[3]
・業界をまとめて、国内外において技術士を育成している。[4]


2.ケニアとの関係は?

2009年2月:近藤社長がケニアを初めて訪問。アフリカに自動車リサイクル工場を作ることをケニア政府高官に提案。(この時の話は末尾の参考2&3参照。)
2009年5月:ケニアに合弁企業「マイジ・カイホウ(ナイロビ)」を設立。ケニアの中古車販売会社と会宝産業との折半出資。同社は技術者を派遣し、リサイクル技術を指導している。[5]
2010年:リサイクル専用工場を稼動して中古車リサイクル事業を本格化する予定。


写真















【 コメント 】

アフリカに進出した日本企業/事業家で有名なのは、住友化学工業(タンザニアとナイジェリアで蚊帳を製造)[9]、柏田雄一氏(ウガンダでヤマトシャツを製造する「フェニックス・ロジスティクス」)[10]、佐藤芳之氏(ケニア・ナッツ社)[11]である。

数年後には、会宝産業は、発展途上国で単純労働者を雇用する会社ではなく、専門技師を育成する会社として、そのビジネスモデルが内外に紹介されるであろう。



【 参考文献 】

参考1:会宝お客様通信(2008/5/1) [6]

「解体業というマイナスのイメージを取り払い、業界全体が認められるようにしたい」ということ。「トヨタを代表とする日本の自動車産業は世界的に評価されている。この自動車製造業を動脈にたとえれば、我々は自動車をリサイクルする静脈産業である。廃車はゴミと見られてしまうが、希少金属を含有する有益な資源である。都市鉱山と呼ばれるように、自然の資源に比べてはるかに高い含有率と聞く。有効に活用すれば宝の山だ。環境問題が叫ばれるなか、資源は循環させなければならない。静脈産業を築くために、業界全体で協力し合っていく」

「業界全体の底上げで重要なのは、解体に関するノウハウの共有である。自動車メーカーには組み立てマニュアルはあっても、解体するための手順書なんてない。これは我々のような中古部品販売業者が長年培ってきたノウハウである。一定の品質水準に達した部品だけを市場で流通させるにはノウハウの共有が不可欠だ。解体作業のマニュアル化に取り組み、同業者と連携して「自動車リサイクル技能者」制度を作った」

「IREC(インターナショナル・リサイクル教育センター)という研修施設も設け、海外の取引先からも受け入れている。私自身も講師の一人として教鞭をとって授業を行っている。中国などから、延べ16 人の研修生を受け入れてきた。2 月には各国の大使などを招いて2回目となる「国際リサイクル会議」を開いた。こうした取り組みを通じて、意識改革や業界全体の底上げを図る」


参考2:会宝お客様通信(2009/3/1) [7]

ケニア当局は1月に中古部品の輸入禁止を発表しました。即日実施としたのですが、その影響の大きさからか、暫定的に延長となっています。私は絶好の機会と考え、「なぜ、輸入禁止の措置を取るのか」と、聞きました。「ケニアには現在、毎月約25億円の新品・中古部品が輸入されている。中古部品の中にはゴミと思われるようなものも多々混じっている。先進国の不用品の捨て場所になっているのではないか」との答え。
アフリカに自動車リサイクル工場を作ろう、静脈産業はそこまでしてはじめて産業としての地位を確立する、というのが私の持論、直ちにそのことを訴えました。「その考えは納得できる、すぐにでもプランを持ってきて欲しい」と驚くような返答を得ました。


参考3: 「NPO金沢マチナカ大学」のブログ引用 [8]

ケニアでは日本や海外から多くの中古車を輸入しているそうです。その中古車に粗悪品が混ざっていてすぐ使えなくなり、廃車がどんどん増えているそうです。中古車の輸入禁止に踏み切ろうとしていたケニア政府を近藤社長は思いとどまらせたうえ、まったくあたらしい提案をしました。
輸入する中古車にリサイクル税を課しましょうと勧めたのです。たとえばケニアでは日本から毎年4万台の中古車が輸入されます。それに1台1万円の税金を徴収すればぜんぶで4億円の資金が生まれる。4億円あれば廃車を処理する工場をつくることができる。工場をつくれば雇用が生まれる。
人びとは経済的に自立し、町からは廃車が消える。廃車を資源へと生き返らせる循環型社会が実現できるのです。
このアイデアをケニア政府は歓迎し、ぜひ近藤社長から大統領に話してほしいと頼まれたそうです。


[1] 北國新聞 (2010/2/23)
http://www.hokkoku.co.jp/subpage/K20100223302.htm
[2] 売上と利益の推移
http://www.kaiho.co.jp/jp/profile/results.html
[3]「インターネットで国際リサイクルネットワークを構築」(テレコム・フォーラム、2007/12)
http://www.jtua.or.jp/telecomforum/PDF/0712/200712senrya02.pdf

[4]2003年9月、RUMアライアンス(ReUseMoterizationAlliance)を設立し、代表理事に就任。自動車リサイクル技能士制度を創設するなど、環境・自動車リサイクル推進の啓蒙活動を行っている。国際リサイクル教育センター(IREC)を2設立し、2007年8月より研修を開始した。
URL:http://www.rum-alliance.com/
プロモーションビデオ:http://www.rum-alliance.com/profile/video/
近藤典彦社長の発言:末尾参考1参照

[5] 技術者のブログ http://www.kaiho.co.jp/jp/blog-staff/kenya/
[6]会宝お客様通信(2008/5/1)
http://www.kaiho.co.jp/jp/kaiho/pdf/kaihonews0805.pdf
[7]会宝お客様通信(2009/3/1)
http://www.kaiho.co.jp/jp/kaiho/pdf/kaihonews0903.pdf
[8]タテマチ大学ブログ
2009/9/13: 会社の社員トイレを毎日1人で掃除する社長
2009/9/13: 人生がちょっと変わった気がします
http://www.tatemachidaigaku.jp/blog/2009/09/post_77.html
http://www.tatemachidaigaku.jp/blog/2009/09/post_79.html

[9] http://www.sumitomo-chem.co.jp/csr/africa/
[10] http://www.aots.or.jp/jp/kikanshi/pdf/303_05.pdf
[11] http://www.path.ne.jp/t-gaigo/kaiho114/1.pdf



その他 参考文献

「リスクこそ大きな利益を生み出す! クルマのリサイクルで年30%成長」 (日経ビジネス On Line、2007/6/1)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20070531/126062/?P=1&ST=spc_smb

「【隠れた世界企業】58カ国に中古エンジン売る」 (日経ビジネス On Line、2009/6/12)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090609/197117/?P=1

自らITを活用 独自の道を切り開く中小企業 (IT Leaders、2009/6/24)
http://it.impressbm.co.jp/e/2009/06/24/891

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2010/02/22

リビア vs. スイス

今回のエントリーは、リビアのビジネスリスクと外国(スイス)との関係についてです。

リビアのカダフィ大佐について良いイメージをもっている日本人は少数派ですが、今回取り上げるニュース記事を読めば、ますます「カダフィは危険人物で、予測不可能。リビアはリスクが高い国だ」と思ってしまうでしょう。

しかし、私は、リビアはいずれアブダビのようになるので日本企業は早めに進出すべきである、と考えておりますので、ニュース記事について説明します。

本件は、国際関係において、
①「ボタンのかけ違い」があった場合は、すぐに修正しなければならない、
②相手国のプライドを傷つけないようにしなければならない、
ということが判る事例です。これは国際問題だけでなく、人間関係にもあてはまりますね。


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【 ニュース 】

リビア、欧州市民向けビザ発給を停止 スイスとの関係悪化で [1]

【カイロ=安部健太郎】ロイター通信は15日、リビアが欧州の大半の国の市民へのビザ(入国査証)発給を停止したと報じた。トリポリ国際空港当局者の話として伝えた。リビアの政府系紙アルワタンは、リビアと緊張関係が続くスイスが、最高指導者カダフィ大佐一家を含む188人のリビア人入国を禁じていることへの対抗措置だと報じた。
ビザ発給再開のめどや、対象国の詳細は不明。在リビア日本大使館によると、日本人へのビザ発給は停止していない。
スイスは欧州諸国の大半で市民や旅行者が旅券(パスポート)審査なく移動できる「シェンゲン協定」に加盟。スイスによる入国拒否対象者は連動して他のシェンゲン協定加盟国へも入国できなくなるため、リビアの対抗措置の範囲が広がったとみられる。



【 解説 】

問題の発端はカダフィの五男のハニバル(Hannibal)夫妻[2]がスイスのホテルで自分の使用人に暴力をふるったという容疑で、身重の妻も一緒に警察に2日間留置されたこと。(その後の経緯は末尾参照[5]。)

リビアの主張は、①Hannibal氏は外交官パスポートを所持しているので、不逮捕特権がある。②警察で取られたHannibal氏の写真が新聞に掲載されたことは、プライバシーの侵害である。③問題の解決のため、リビア・スイス合同委員会を設けると約束したのにも関わらず、スイスは約束を反故にした。④スイスがリビアの幹部をブラックリストに載せて、スイスの入国を制限しているので、相互主義の観点から、リビアもスイス(及びスイスが加盟しているシュンゲン条約の加盟国)に対し、リビアへの入国を制限する。

リビアは、Hannibal夫妻が逮捕された直後に、スイスに対する原油の輸出を禁止し、スイスの銀行から預金をおろし、飛行機の運航を取りやめ、スイス人2名をビザの不備があることで逮捕して、一時は居場所も分からなくしていた。

スイスの主張は、①Hannibalは実質的な外交官ではない。②スイスの大統領[3]がトリポリに出向いて謝罪したのにも関わらず、軽微な罪で捕まえていたスイス人を返さない。


【 コメント 】

・本件は「売り言葉に買い言葉」のレベルの対立であるが、お互いにプライドを傷つけ合っているように思える。現在交渉中であるので、どのように解決されるかは不明であるが、原点に戻り、ボタンの掛け違いを直さないとおさまりがつかないと思われる。

・特にリビアに関しては、日本の政治家とマスコミは、事実関係をきちんと押さえてから、批判なり評価をすべきである。万一、不用意な発言をした場合、リビアに進出している日本の会社(石油会社など)に迷惑がかかる可能性があるので注意すべきである。ここでは詳しくは述べないが、カナダの政治家が不用意な発言をしたため、リビアで生産中のPetro-Canada社が生産量を半減させられたことがある。[4]



【 参考資料 】

[1] リビア、欧州市民向けビザ発給を停止 スイスとの関係悪化で (日経、2010/2/16) http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20100216ATGM1503C16022010.html

[2] カダフィの息子達

長男:Muhammad Gaddafi: オリンピック委員会。通信会社。政治には無関心。 (母親が、次男以降の息子の母親とは違う。)
次男:Saif al-Islam Gaddafi:国際復帰に尽力。カダフィの後継者の最右翼とみなされている。
三男:Al-Saadi Gaddafi:サッカーに熱心
四男:Mutasim-Billah Gaddafi:軍人。national security adviser
五男:Hannibal Gaddafi:欧州諸国で暴力事件等を起こしている。
六男:Saif Al Arab
七男:Khamis:警察官
(参考)http://en.wikipedia.org/wiki/Muammar_al-Gaddafi
※注;カダフィのスペルはいくつかある。

<写真>


[3]スイスの大統領
スイスの連邦大統領は国家元首ではない。毎年12月初めに連邦議会において、連邦参事会のなかから1名が連邦大統領として選任される。任期は毎年1月1日から12月31日までである。2009年にリビアを訪問して謝罪したメルツ大統領は、2009年に任期切れになっている。仄聞するに、リビア訪問は彼の独断であったようだ。

[4] Libya curbs Petro-Canada production in apparent retaliatory move (The Oil Daily, 2009/10/2)
http://www.allbusiness.com/company-activities-management/company-structures/13233739-1.html

[5]経緯

2008/7/15:ガダフィ大佐の息子ハニバル・ガダフィ氏と妊娠中の夫人がジュネーブで逮捕される。容疑は使用人に対する障害、恐喝など。
7/17:逮捕後2日で夫婦は釈放される。
7/19:リビアは、リビアに滞在していたスイス人2名を逮捕。容疑は入国・滞在規範違反。
Max Goeldi(スイス資本が入っているエンジニアリング会社ABBのディレクター)及び
Rachid Hamdani(スイスの建設会社社員)
7/22:スイス外相は、電話でリビア政府に抗議。
7/23:リビアは、スイスへの石油輸出を停止すると脅す。
7/25:スイスは、2国間の関係の「たいへんな非常事態」と発表。
7/26:リビアは、スイス政府に対し、謝罪と事件についての事情説明を要求。
7/28:スイス、リビア両政府の直接交渉が行われる。
7/29:2人のスイス人の保釈金が支払われ解放されたが、帰国は許可されなかった。(注:中東諸国では「出国ビザ」が必要な国があるが、リビアもその1つ。)
8/13:ハニバル氏の使用人2人の弁護士は、告訴を取り下げないと発表。
9/2:使用人2人が告訴を取り下げる。
9/3:ジュネーブ州の検事総長は、ハニバル氏の不起訴を決定。
9/4:スイスの新聞紙「La Tribune de Geneve」はハニバルが警察で撮影された写真を掲載。(注:警察が新聞社にリークしたと考えられる。)


2009/7/8-10:G8(イタリア)開催時に、カダフィは「スイスを分解して、イタリア、ドイツ、フランスに分け与えろ」と発言。
8/20:スイス大統領(ハンス・ルドルフ・メルツ氏Swiss President Hans-Rudolf Merz)がトリポリを訪問し、謝罪。
8/25:スイス連邦大臣専用機がスイス人2人を連れ戻すため、リビアに飛んだ。
8/27:同機は2人を乗せないままスイスに戻った。
8/30:ハニバル夫妻逮捕事件の合法性を問う裁判の裁判官として、スイスは英国人エリザベス・ヴィルムシュースト氏を任命。
9/2:リビア側はパンナム機爆発事件のリビア側弁護士サアド・ガーバー氏を任命した。
9/24:国連総会でメルツ大統領、ガダフィ大佐と会見。
10/18:スイスは6人の派遣団をトリポリに送るが、拘束者2人は帰国せず。
11/?:軟禁中のスイス2人は、スイス大使館に保護される。
12/1:リビアの下級裁判所で、「Goeldi氏とHamdani氏の両名は、16ヶ月収監される。」との判決。両者は上告した。

2010/1/31:Hamdani氏は無罪判決。
2/31:Goeldi氏は1,000 dinars ($800)の罰金判決。
2/7:リビアの検察は上告しなかったので、Hamdani氏の無罪決定。
2/11:(理由は不明だが)Goeldi氏は、16ヶ月の収監が4ヶ月に短縮された。
2/?:スイスがカダフィを含むリビアの要人188人の入国を拒否するブラックリストを作成した、と報道された。
2/15:リビアは、スイスが加盟しているシェンゲン協定加盟国国民のリビアへの入国を拒否すると発表。
2/18:リビアとスイスが交渉@マドリッド
2/19:交渉@ベルリン

連邦外務省( EDA/DFAE )の発表によれば、スイスのカルミ・レ外相は「2009年秋にリビアに軟禁状態にあるスイス人2人が首都トリポリから姿を消し、その後行方がわからないまま、ようやく11月にスイス大使館に保護されたことに対し、リビア側からの説明が一切なかったこと」 が、リビア人へのビザ制限を行った理由であるとリビア側に対し説明したという。[6]

スイスが提示した条件:リビアが2名のスイス人を釈放すれば、ブラックリストを破棄する。
リビアが提示した条件:スイスは、Hannibal Gaddafiが警察の管理下にあった時の写真がメディアにリークされたことに関する捜査を開始すること。


[6]スイスとリビア、スペインの仲介で対話 (SwissInfo, 2010/2/18)
http://www.swissinfo.ch/jpn/detail/index.html?cid=8330914

その他資料

カダフィ大佐の後継者はSaif al-Islam氏に決定
http://let-us-know-africa.blogspot.com/2009/10/saif-al-islam.html


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2010/02/18

自己中心的に考えるとODA戦略が見えてくる

今回のエントリーは、ケニアの観光業とODAを関連付けて 書いてみました。


【 ニュース 】

①2010年2月8日の新聞報道によると[1]、
2007年にケニアを訪問した人は180万人であり、1,000百万ドルの経済効果があった。2007年12月の大統領選挙の混乱から、2008年の訪問者数は減少したが(下図)、2009年には2007年と同じレベルに戻っており、2012年には200万人を超えると期待されている。

②2010年2月14日の新聞報道によると[2]、
東アフリカ共同体の加盟国であるウガンダ、ケニア、タンザニア、ブルンジ、ルワンダの5ヶ国はツアーガイドの連盟(East African Tourist Guides Association)を設立し、ツアー会社やサファリガイドの規定を簡略化し、旅行者への対応を向上させ、ガイドを訓練するようにする。


【 解説 】

ケニアはサファリ・ツアーが有名だが、観光業は農業、工業に次ぐ国内第3の産業であり、GDPの10%を稼ぎ出している。2003年~2008年の目的別入国者数の推移(下図)を見れば分かるように、政治的混乱があった2008年を除いて、順調に増加してきたし、また上記のニュースによれば2012年には200万人に達すると予想されている。





【 コメント 】

援助の主体は、国際機関、国、企業、NGO/個人だが、国による援助について、自問自答してみた。

問:日本国は、なぜ貧困国を援助するのか?
答:地球村の一員として、困っている国を援助するのは、当然の責任だ。「もし世界が100人の村だったら」[3] を読めば自明だ。
問:具体的にどの分野を対象にして援助したらよいか?
答:相手のニーズに応じて援助すれば良い。
問:でも、相手国は、全てのことに問題があるし、日本の財政は厳しい。具体的にどうするの?
答:・・・・


答えに窮したので、発想を変えてみた。


問:日本国は、なぜ貧困国を援助するのか?
答:地球村の一員として、困っている国を援助するのは、当然の責任だ。「世界が100人の村だったら」を読めば自明だ。でも、もう1つ目的がある。それは日本のためにするんだ。日本の企業が儲けて、日本人が楽しむようにするんだ。アフリカには資源があるし、土地もある。それに動物もいるし、日本にはない景色もある。
問:援助はもっと崇高な観点からしなくちゃ。
答:それはそうだけど、相手国の雇用がふえて、貧困から抜け出せたら、それで良いと思うよ。


ケニアを例にとって考えてみよう。観光業に焦点を当て、日本人が快適にサファリを楽しめる環境を作るようにする。具体的には、
①道路を整備する。(4年前はボロボロでした。)
②ミニバスを増やす。(企業の出番。)
③ドライバー(ガイドでもある)の質を良くするため、職業訓練学校に援助する。
④ホテルのサービスを良くする。(日本に訓練生を招く。)
その他、沢山することがあるでしょう。

その結果、多くの日本人がサファリを楽しむことができる。多くの人が行くと、安くなる。ケニアにとっても、インフラが整備され、外貨収入があり、雇用が生まれる。お互い利益があるwin-winの関係だ。

ケニア観光を享受している欧米諸国も参加させて、費用を分担すればよい。


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【 参考資料 】

[1] 「Kenya: Tourism Sees Brighter 2010」 (2010/2/8)
http://allafrica.com/stories/201002081529.html
[2] 「East African tourist guides to form body」 (2010/2/14)
http://www.newvision.co.ug/D/8/220/710062
[3] もし世界が100人の村だったら
http://www.oasisjapan.org/main/modules/pico/index.php?content_id=4

2010/02/13

ルワンダ --- アフリカで最も成功している国

丹羽宇一郎氏(伊藤忠商事会長)は2008年8月、「経営者はまずはアフリカに行け」と発言されました[1]。ルワンダを旅程に入れてみるのも一案です。比較的安全で、既に欧米の会社が進出しつつあります。

試験的に アンケートを末尾に設けました。


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【 ニュース 】

ルワンダにおいて、
①2009年中に、11,000人の雇用機会を生み出した。[2]
②2009年12月、全ての地雷が除去されたことが宣言された。[3]
③2010年1月、廃棄した小銃の数が30,000丁に達した。[4]


【 解説 】

1.ルワンダに投資しているのはどんな企業か?[2]

ルワンダ開発局(Rwanda Development Board:RDB)の発表によれば、2009年に同国に進出したのは109社であり、内、58社は既に活動を開始している。主な企業は、
・CoutourGlobal(米国): Kivu湖の溶解ガス開発と発電[5]
・Tigo(ルクセンブルグ):携帯電話
・SAG(ドイツ):送電線建設
・Bakhresa(タンザニア):穀物


2.地雷除去の内容は?[3]
地雷は1990年から1994年に埋めらた。Mines Awareness Trust が除去を助言し、過去3年間で9,000個の地雷が180人の兵士により除去された。最終確認のため、地雷探知犬が130万平方kmを探査し、対人地雷禁止条約(オタワ条約)に基づき、世界で最初に地雷が全て除去された国として、宣言された。
ルワンダの人口の80%は農家であり、農作業の時に爆発する恐怖がなくなった。


3.銃の廃棄の現状は?[4]
国民が自宅に保有している銃を差し出させ、それを軍が廃棄している。一日250丁のペースで廃棄し、2010年1月11日に 30,000丁に達した。Mines Advisory Group (MAG)という団体が支援している。



【 コメント 】

1.ルワンダが成功した理由

ルワンダでは1994年の大虐殺事件から立ち直り、現在では「アフリカで最も成功している国」として評価されている。Paul Kagame(ポール・カガメ)大統領(1957年生まれ、2000年より現職)のリーダシップによるものと考えられる。特に、大虐殺の問題に対しては、虐殺に関与した者は村人の前で告白することで許される--という「Gacaca」と呼ばれる方法で和解をする方法を採用した。[6]


2.将来性がある理由

・具体的な国家目標を設定している。(表1参照)[7]
・勤勉であり[8]、自らが道路を掃除をする国民である。[9]
・上記ニュースの欄で紹介したように、安全になってきた。
・東アフリカ共同体の一員であり、将来的にはEUのように、人と物の移動が自由になり、いずれ通貨も統一される予定である。[10]

表1:国家目標 (表をクリックし拡大)















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【 参考資料 】

[1]丹羽宇一郎 伊藤忠商事会長
「経営者はまずはアフリカに行け! そして教育レベル上げる援助を」(2008/8/21)
http://diamond.jp/series/africa/10001/
[2]「Rwanda: 2009 Investments to Create 11,000 Jobs」(2010/2/5)
http://allafrica.com/stories/printable/201002050045.html
[3]「Rwanda -  first landmine-free country」(2009/12/2)
http://www.ngonewsafrica.org/2009/12/rwanda-first-landmine-free-country.html
[4]「RWANDA: 30,000 small arms destroyed in soldiers 'success story'」(2010/1/18)
http://www.reliefweb.int/rw/rwb.nsf/db900sid/AZHU-7ZTR2D?OpenDocument
[5]「ルワンダ:アフリカの小国のユニークな挑戦」by 石田聖 (2009/5/10)
http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=0905_out_g_rw_methane_kivulake.pdf&id=2932
[6]「Zakaria: Africa's biggest success story」(2009/7/17)
http://edition.cnn.com/2009/WORLD/africa/07/17/zakaria.rwanda/index.html
「ウガンダ←イギリス→日本便り:Gacaca裁判」(2009/8/29)
http://yukauganda.blog36.fc2.com/blog-entry-291.html

YouTube 
その1 http://www.youtube.com/user/collmetcalfe#p/a/u/2/X8I6zZKohCA
その2 http://www.youtube.com/user/collmetcalfe#p/a/u/1/F-nHw-WMEqI
その3 http://www.youtube.com/user/collmetcalfe#p/a/u/0/T8Ps6t5CTgE

[7] RWANDA VISION 2020
http://www.rwandainvest.com/IMG/pdf/Vision-2020.pdf
[8] 在日ルワンダ大使館
http://www.rwandaembassy-japan.org/jp/modules/tinyd/index.php?id=40&tmid=59

ルワンダには、古くからの農業生産文化によって培われた上質な労働力があります。ルワンダは国土面積が小さい上に、丘の国です。経済も地下資源に依存できなかったため、人々は昔から男も女も土地を耕すこと、つまり働くことが当たり前でした。それを象徴するものが丘の上まで耕された段々畑であり、谷に広がる水田です。この光景を一目見れば、ルワンダ人が協調性、計画性、私有の区別、清潔感、といった産業の発展に必要な要素を兼ね備えていることが理解できると思います。
日本は戦後、世界に類を見ない発展を遂げましたが、これを支えたものは日本人の勤勉さと高度な教育システムでしょう。同じような性質がルワンダ人にはあると自負します。

[9] エコ・ファシリテーターの協働日記  by 三戸優理(2007/08/25)
http://blog.mitoyuri.com/?search=%C1%DD%BD%FC
[10] 東アフリカ共同体 が 「共同市場」 をつくる
http://let-us-know-africa.blogspot.com/2009/11/blog-post_27.html


<その他参考資料>
写真
http://yokoso-rwanda.com/

Investing in Rwanda: An Overview November 2009
http://www.rwandainvest.com/IMG/pdf/Investing_in_Rwanda_overview_November_2009.pdf


<在ルワンダの日本人>
ルダシングワ真美(吉田真美) さん(ルワンダとブルンジで義肢製作所を開設)
Mulindi Japan One Love Project
http://www.onelove-project.info/index.html
ルワンダ・ブルンジ日記
http://oneloverwanda.blog105.fc2.com/
三戸俊和さん(国連開発計画所属)
http://wellbean.jp/rwandacoffee.htm
三戸優理さん(環境プランナー)
http://blog.mitoyuri.com/

<在日本ルワンダ人>
ルワンダの教育を考える会
http://www.rwanda-npo.org/index.php

2010/02/07

ODAの裏には政治あり

TVドラマの水戸黄門のお決まりのシーンは、印籠をかざされた悪人たちがひれ伏すところでしょう。議論をする際にも反論を押さえつけるような葵の御紋があります。たとえば、国家に関する議論では「エネルギー安全保障」「資源確保」「食料安全保障」「食の安全保障」「環境」等があり、ODAの議論では「日本の存在感」です。

一部の政治家、外務省の役人、外交官、援助に係わっているNGOの人々は、ODAの金額が減少傾向にあることを危惧しており、増額をすべきとする理由の1つに、「日本の存在感」が低下すると主張します。外務省のホームページ内で、「日本の存在感」という言葉は、約900回使われています。[1] 

しかし、思考を停止させるようなこの大義名分を、一度は疑ってみることが必要ではないでしょうか。

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【 ニュース 】

岡田外相の発言 [2]

ODA見直しで作業部会=外相

岡田克也外相は2日の閣議後会見で、高コストで効果が薄いとの批判がある政府開発援助(ODA)の見直しに向け、タスクフォース(作業部会)を省内に設置すると発表した。今年夏までに改善策を取りまとめ、2011年度予算概算要求に反映させる方針。
改善策は、(1)国民の理解促進 (2)資金調達の革新 (3)民間企業や非政府組織(NGO)との連携 (4)援助の効率化 (5)国際協力機構(JICA)改革-を軸に検討する。岡田氏は「世界に、日本の国益に役立っているかという視点で見直す」と述べた。(2010/02/02-20:38)



【 解説 】

1.外務大臣会見記録(2010/2/2) [3]

以下は抜粋。
・国際協力に関する理念・基本方針、国民の理解・支持の促進、多様な関係者との連携、援助の効果的・効率的な実施、JICAという5つの論点で行いたいと思います。ODAについては、国民の共感が十分には得られていないと考えております。そのために、国民の理解と支持を得るための見直しを行いたいと考えています。そのことによって、ODAをより戦略的かつ効果的に実施していきたいと考えているものであります。

・アンケート調査などをみると、6割、7割の人が「ODAは必要だ」とか、あるいは「増やすべきだ」ということですが、我々の実感からすると7割、8割ぐらいの人が「こんな日本が厳しい時になぜODAを増やすのか」と、「ばらまきではないか」という意見はよく聞かれるところであります。そういう中で、現実に日本が行うODAがいかに世界の役に立っているか、特に日々の生活にも苦しい人のために、あるいは日本の国益のために役立っているかということをきちんと伝えること、伝える前提としてまず、様々なご批判の中には耳を傾けなければいけない点も多いわけですから、そういう点について、より効率化という視点で見直していくということです。


2.ODAに関する意識調査 (2009/4) [4]

9問あるが、第1問は図のとおり。そもそも世の中の3分の1は、ODA(政府開発援助)という言葉を知らない。

図1:意識調査 第1問、第5問
 

【 コメント 】

1.ODA(政府開発援助=Official Development Assistance)の基礎
まず図2~4によりODAの概略を押さえる。

<全ての図はクリックで拡大。>

・日本は1993年~2000年にかけて、世界NO.1であったが、現在は、米国、ドイツ、英国、フランスに次いでNo.5になった(図3)。米国が急上昇しているのは、イラク支援が要因であると思われる。
・日本は対中国援助の割合が大きかったが、経済発展をしている中国には「卒業」してもらい、2008年3月対中円借款を終了している。(本件については後述。)
・援助が増えた国、減った国がある。

図2:ODAの形態別分類
















図3:DAC諸国のODA額の推移

















図4:ODA実績(支出額純額ベース)
















2.私は、最貧国を助けるためには援助は絶対的に必要であると思う。しかし、次の理由から、「日本の存在感」という用語に違和感を感じている。

(1)いろいろ調べてみたが、「日本の存在感」が低下したというが、具体例、統計が示されていたのは次の2点つだけであった[5]。 これが大きな理由になるのだろうか。費用対効果を正当化するのであろうか。
具体例
・国際機関の幹部数が、ピーク時の14人から9人に。(図5)
・UNDP(国連開発計画)、UNICEF(国連児童基金) の執行理事会での事実上の「常任」の地位も喪失。(2007年からの15年間のうち3年間は執行理事国になれない。)

図5:
















(2)仮定の話だが、全ての援助国が同じ割合でODAの金額を減らしたならば、順位は変わらないが、その場合は、「日本の存在感」云々ということはそれほど声高には言われないだろう。要するに、「金額」より「順位」、「日本の存在感」より「外交官の存在感」を重視しているのではないのか。そもそもODAが減った主な理由は、ASEAN向け、中国向けのODAが減ったことが原因であり、彼らが経済的に「離陸」したことを喜ぶべきである。そして、今、憂うべきことは、最貧国が多いアフリカ諸国などを援助することであって、ODAの金額自体ではないはずである。


3.対中援助は実は終わっていない。

まず、中国向けのODAの推移を見てみる。(図6)


















1996年~2000年度にかけて急激に増加しているが、橋本龍太郎氏(総理大臣:1996年1月~1998年7月)の影響があったと推測される。

2001年度以降に減少に転じたが、中国が経済的に離陸したことと、小泉純一郎氏(総理大臣:2001年4月~2006年9月)の影響があった。2004年には、小泉総理は「もう卒業の時期を迎えているんじゃないか。順調に経済発展を遂げ、早くODAからの卒業生になることを期待している。」と発言している[6]。徐々に減らし、2008年に終了させている[7]。

ところが、ここで、気をつけなければならないことは、アジア開銀を経由した中国への援助が依然続いていることである[8]。日本と同率の出資国であるアメリカは、「同開銀は本来の目的である貧困削減に重点を戻すべきで、中国のように市場で資金を十二分に調達できる諸国には援助すべきでない、という考えからの反対だという。」 [9]


今後、中国との関係を深めたい日本の政治家達は、中国への資金供与をしようとすると考えられる。
①民主党のマニフェストに「アジア・太平洋地域の域内協力体制を確立し、東アジア共同体の構築を目指します。」と書いてある。[10]
②2009年12月、民主党の小沢一郎幹事長が団長になり、国会議員140人を含む約600人が中国を訪問している。


恐らく、次のような大義名分を使って主張すると思われる。
・日本経済は中国の経済成長に密接に関係している。中国が経済成長するためには、エネルギー消費量(特に石炭火力発電所)が増え、環境問題(CO2)が発生するので、その省エネ対策などに費用がかかる。
・日本は中国の農産物や食料に依存している。食の安全を確保するために、費用がかかる。


中国が経済成長するのは大いに結構なことであるが、私は日本のODA資金を使った中国向け資金供与については、その是非をよく議論すべきであると思う。
・中国は自らのために経済を発展させているのであり、日本のためではない。その経済発展に係る投資は、中国が貿易で稼いだ金、あるいは、市場から調達した金を使えばよい。
・日本のODAは、中国とは比較にならないほど貧困の状態にある諸国に有効に使うべきであると考える。


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【 参考資料 】

[1] 検索方法は、ブラウザのURLの窓に 
"日本の存在感" site:www.mofa.go.jp    を入れる。

[2] 「ODA見直しで作業部会=外相」(時事通信、2010/2/2)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&rel=j7&k=2010020200929
[3] 外務大臣会見記録
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/gaisho/g_1002.html#1
[4] ODAに関する意識調査
http://www.mofa.go.jp/MOFAJ/press/pr/chosa/yoron/chosa_oda.html
[5] 政府開発援助(ODA)について
http://www.mofa.go.jp/Mofaj/Gaiko/oda/seisaku/yushikisya/1/pdfs/1_haifu.pdf
ODA案件の形成と実施上の問題
http://www.mofa.go.jp/mofaJ/gaiko/oda/seisaku/yushikisya/4/pdfs/4_shiryo05.pdf
[6] 「対中国ODA(政府開発援助)見直し論議」(岩城成幸、国立国会図書館、2005/2/18) http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/0468.pdf

[7] 「対中円借款、740億円決定 中川農相は異論」 (読売新聞、2006/6/6)
政府は6日午前、政府開発援助(ODA)の重要案件を協議する海外経済協力会議(議長・小泉首相)を開き、2005年度中の閣議決定を見送って “凍結”していた中国向け円借款の実施を決めた。新規供与額は、前年度比約120億円減の740億円程度。中川農相は「なぜ中国に援助を再開するのか分からない」と異論を唱えた。政府は与党の了解を得た上で、9日にも閣議決定する。
会議では、08年の北京五輪までに対中円借款の新規供与を終了することも再確認した。05年度分の供与額は、「いきなり大幅に減らすと、中国側の反発も大きい。08年度にゼロにするため、徐々に減らすのがいい」(外務省幹部)との判断で決定した。04年度分は859億円だった。
小泉首相は6日昼、対中円借款の決定について「総合的に判断した。いつも対中関係は重視している」と記者団に語った。中川農相は同日の記者会見で、「中国に対し、また援助するのか。正直言って分からない」と不満を表明した。
支援事業は、植林、下水道施設の整備、大気汚染防止など環境、エネルギー分野に重点を置く。

[8]アジア開発銀行年次報告書(2005~2008年)
※ダウンロードするのに時間がかかります。
2005年年次報告書(56/190頁)
http://www.adb.org/Documents/Translations/Japanese/ADB-AnnualReport2005-JP.pdf
2006年年次報告書(62/210頁)
http://www.adb.org/Documents/Translations/Japanese/ADB-AR2006-jp.pdf
2007年年次報告書(47/210頁)
http://www.adb.org/Documents/Translations/Japanese/AnnualReport/2007/ADB-AR2007-jp.pdf
2008年年次報告書(52/228頁)
http://www.adb.org/Documents/Translations/Japanese/AnnualReport/2008/ADB-AR2008-jp.pdf 
[9] 「ワシントン・古森義久 対中援助、アジア開銀の怪」(産経新聞、2008/6/28)
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/624207/
[10]  民主党 政権政策 Manifesto
http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/pdf/manifesto_2009.pdf

2010/02/02

HIV対策としての包茎手術

「包茎手術をすればHIVに感染するリスクが低くなる。」--- 本当だと思いますか?

英語では「male circumcision」 と言いますが、「割礼」は宗教的・社会的儀式なので、ここでは「包茎手術」という用語を使います。


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【 ニュース 】

BBCの番組 This Week in Africa (2010/1/30)は、ジンバブエで包茎手術が推進されていることを報じた。政府とNGOのPopulation Services Internationalが包茎手術キャンペーンを昨年4月から実施していており、既に約3,000人が手術を受けている。8年間で男子人口の80%(3百万人)に手術をする。同国では割礼をする習慣はない。[1]



【 解説 】

1。この説は正しいか?

世界保健機関(WHO)は、「包茎手術を施した男性は、そうでない男性に比べて、異性間の性行為でHIVが感染するリスクは60%に軽減される。」と発表している。2007年に、世界保健機関と国連エイズ合同計画(UNAIDS)は、包茎手術をHIV予防対策の1つに加えることを提唱した。[2]

2。リスクが低くなる理由は?

色々な説があるようだ。
①包皮を切除することで、表皮が粗くなり、感染症に対する抵抗力が強まるのではないか。[3]
②包皮を切除することで、嫌気性菌(anaerobic bacteria)を減らし、好気性菌(aerobic bacteria)増やすことになるからでないか。[4]

3。いつ頃から言われていたのか?

1987年頃に、Dr. William Cameron(カナダManitoba大学)がケニアでの調査を発表している。[5]

4。アフリカ諸国の政策は?

WHO/UNAIDSは、アフリカ東部と南部諸国での実施状況をモニタしている。各国の割礼・包茎手術普及率(Male Circumcision Prevalence)は以下のとおり。[6]

ボツワナ:          11.2%
ケニア:             85%
レソト:              48%
マラウイ:          21%
モザンビーク:    56%
ナミビア:          21%
ルワンダ:         12%
南アフリカ:    35%
スワジランド:     8%
タンザニア:       70%
ウガンダ:         25%
ザンビア:         13.1%
ジンバブエ:       10%



【 コメント 】

包茎手術をしたとしても、HIVにかかるリスクはあるのだが・・・・。

南アフリカにおける性に関する考え方に関するアンケートが発表されたので、関心がある方はアクセスしてみて下さい[7]。














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【 参考資料 】

[1] http://downloads.bbc.co.uk/podcasts/worldservice/twia/twia_20100129-1936a.mp3
[2] Male circumcision for HIV prevention
http://www.who.int/hiv/topics/malecircumcision/en/index.html
New Data on Male Circumcision and HIV Prevention:Policy and Programme Implications (2007/3)
http://data.unaids.org/pub/Report/2007/mc_recommendations_en.pdf
[3]Circumcision Dubbed Remedy against HIV (2006/8/17)
http://www.novinite.com/view_news.php?id=68214
[4]Circumcision associated with significant changes in bacteria (2010/1/5)
http://www.tgen.org/news/index.cfm?pageid=57&newsid=1735
[5]Circumcision Protects Against AIDS (2004/3/26)
http://www.cbsnews.com/stories/2004/03/26/health/main609019.shtml
[6] Progress in male circumcision scale-up: country implementation update (WHO/UNAIDS,2009/12)
http://www.who.int/hiv/pub/malecircumcision/mc_update_2009.pdf
[7]Key facts of the National Communication Survey on HIV/AIDS, 2009 (2010/1)
http://www.info.gov.za/issues/hiv/survey_2009.htm
HIV/AIDS Communication Programmes are Getting the Message Across: National Survey Finds
http://www.jhhesa.org/index_home.html


その他参考資料
http://www.info.gov.za/issues/hiv/survey_2009.htm
http://www.consultancyafrica.com/index.php?option=com_content&view=article&id=197&Itemid=102

Male circumcision:Global trends and determinants of prevalence, safety and acceptability (2007年)
http://whqlibdoc.who.int/publications/2007/9789241596169_eng.pdf