2009/12/28

国際機関へ拠出金を考える

熱帯林の持続可能な管理のために貢献している「国際熱帯木材機関」(ITTO)という国際機関がある。日本など先進国8ヶ国はITTOがつくる基金に2012年までの3年間で約53億円を拠出することにした。
このエントリでは、①ITTOの説明、及び ②日本政府が国際機関への拠出額について紹介します。


【 ニュース 】
東京新聞より [1]

地球温暖化の一因とされる熱帯林の破壊を食い止めようと、日米欧の8カ国は年明けから、東南アジアや南米、アフリカで行われる違法伐採対策や監視技術向上事業を資金面で共同支援する。

途上国の森林保全対策は温暖化対策の次期枠組み交渉でも主要議題となっており、先進国の取り組みが重要との認識で8カ国が一致。国際熱帯木材機関(ITTO、本部横浜市)が新設した基金へ計約11億円を拠出してスタートし、支援総額は2012年までの約3年間で計53億円程度とする計画だ。

資金提供の対象は、熱帯林を抱える国や地方政府、非政府組織が行う事業。具体的には(1)衛星を使った森林伐採の監視力向上(2)生活のための過剰伐採を抑制する住民支援(3)違法伐採された木材を国際市場から排除する取り組み―などを想定している。

参加8カ国は日本、米国、英国、ノルウェー、オランダ、スイス、スウェーデン、フィンランド。日本は基金へ1億円弱を拠出する。

ITTOは、熱帯林の持続可能な管理に途上国と先進国が協力して取り組むための国際機関。(共同)


【 解説 】

「国際熱帯木材機関」(ITTO:International Tropical Timber Organization)とは、
(1)「1983年国際熱帯木材協定」に基づき1986年に設立され、横浜に本部を有する国際機関である。
(2) 熱帯林の持続可能な経営を促進し、合法的な伐採が行われた森林からの熱帯木材の国際貿易を発展させるため、木材生産国と木材消費国との間の国際協力を促進。
(4) 加盟国は、生産国33か国、消費国27か国の計60か国及び欧州共同体である。全世界の熱帯林の約80%、熱帯木材貿易総量の約90%をカバーしている。[2]

2006年時点での職員数は、32名(17ヶ国)。その約半数が日本人。[3]


【 コメント 】

記事には、「日本は基金へ1億円弱を拠出する」とあるが、平成19年度のITTOへの拠出金は5.5億円あるので、これ以外の拠出金があると考えられる。

平成19年度に、日本政府は2,425億円を国際機関へ拠出している[4]。 内訳は図のとおりで、200以上の支出項目がある。読者の皆さん、ご自身で「事業仕訳」をしてみて下さい。それにしても判断材料となる説明資料が少ないので、透明性に問題がある。

















 COP15においてコペンハーゲン協定(コペンハーゲン合意)において先進国は巨額の資金を負担することになったが、本件のような拠出金はカウントされるのだろうか?(本件は過去のエントリー「COP15 コペンハーゲン協定」において問題提起した。)


【 参考資料 】

[1] 「8カ国が熱帯林保全へ共同支援 温暖化対策で日米欧」 (東京新聞, 2009/12/27) 
[2] 外務省の説明 国際熱帯木材機関(ITTO)
[3] ITTO上級調査研究補佐官 青木千里氏による説明
[4] 国際機関への拠出金(平成19年度)

その他

・国際熱帯木材機関(ITTO) のHP
・国際熱帯木材機関(ITTO)2008年年次報告書
・エマヌエル・ゼ・メカ ( Emmanuel Ze Meka ) ITTO事務局長演説(横浜市会インターネット中継,2007/12/20) (約30分、日本語通訳付き)












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