2010/01/07

リビア Energy Cities 建設計画

リビアで、新しい都市(Energy Cities)を2つ建設することが決定しました。都市建設に関して全て需要(物とサービス)が発生します。たとえば、事務所、住宅、病院、学校、水処理施設、石油化学プラント、道路、電力設備、通信設備などです。ビジネスチャンスです。


【 ニュース 】

1.2009年10月、リビアの経済社会開発基金(Economic and Social Development Fund)は2つの都市を建設 することを最終決定したと発表した。[1]

地中海沿岸に建設される都市は、Ras Lanuf とal Brega と呼ばれる。事業期間は 2010年~2024年、総事業費は548億ドル(5兆円)である。(図1, 表1&2) 。[2]

2.2009年12月、積水化学工業はリビアに進出すると発表した[3]。日本の製造業として初めてのケースである。(写真1)

図1:地図




【 解説 】

1.Energy Citiesについて [4]

2007年7月、リビア経済社会開発基金(ESDF)は、米国のFluor Corporationに対し、マスタープランを描くよう要請した。
2008年2月、ESDFは、Gulf Finance House (ドバイの投資銀行でロンドン証券取引所に上場)との間でEnergy City Libya開発のMOUを締結し、資金調達の目途をつけた。
2009年7月、マスタープランの最終計画が承認された。
2009年10月、2都市の開発が正式に公表された。
新しい都市ができることにより、約12万人の人口を吸収でき、32,000の雇用が確保できる。2つの都市の間(Al Egaila)にはリゾートタウンを建設する。


2.積水化学工業のリビア進出について
樹脂製の水道管を生産・販売するため、事業会社「リビア エスロン」を現地メーカーと合弁で設立する。資本金は1,200万ドル(約11億7600万円)で、積水化学工業が60%、現地メーカー(リビア・アフリカ投資ファンド傘下の国営企業)が40%出資する。生産能力は年産6,000トン。従業員は約100人。2010年に生産を始め、2013年度に30億円の売上を目指す。[5]




【 コメント 】

リビアには経済が「離陸」するための条件が整っている。これは25年前のアラブ首長国連邦の首都アブダビと同じ状況である。
・ 巨額の石油収入がある。
・ インフラ設備を必要としている。
・ 人口が多くない。
・ 強力なリーダーがいる。

ただし、ビジネスチャンスにはリスクがつきものであり、リビアも例外ではない。
・法律や裁判制度が未整備である。
・統治者の考え次第で、投資環境が変化する可能性がある。
・失業率が高いため、リビア人を雇用することが求められる。ジョイントベンチャーを組む場合は、マネージャー職をリビア人にすることが求められている。

リビアに進出する際は、頭の切り替えが必要である。先進国においては、外国企業は地元企業と差別されることなく経済活動ができる。しかし、リビアにおいては、「リビアは江戸時代の領主であり、外国企業は庭師である」と覚悟しておいたほうが無難である。基本的には、外国企業はコントラクターであり、大きな利益を得ることはできないのである。

既に前例がある。リビアには外国の石油会社が進出しているが、油価が高騰した時期に、リビアは石油会社の取り分を制限した。要するに、リビアの立場で考えると、「自分の領土から産出された石油は基本的にはリビアのものであり、油価の高騰による恩恵はリビアが受け取る。」という認識なのである。

リビアが求めているのは、基本的には、外国の技術移転と雇用であるので、それを提供できるのであれば、薄利かもしれないが長期にわたりビジネスができるはずである。

日本とリビアとの関係については、石油開発会社を除き、日本企業はほとんどリビアに関心がなかったし、リビアも日本のことは眼中になかった。しかし、昨年12月にカダフィは明治大学の学生とサテライト対話をしたが、カダフィは日本に目を向けたと思われるし、サテライト対話がリビアで放映されたことで、一般国民も日本を身近に感じたと考えられる。日本企業のリビアへの投資環境は上向いていると考えられる。

7大総合商社の内、リビアに事務所を構えているのは、三菱商事、三井物産、丸紅、双日の4社であるが、積水化学工業に続いて日本企業が誘致されることを期待する。

The early bird catches the worm !


【 参考資料 】

[1]「Libya to Launch Mega-Billion Energy Cities」(Petroleum Africa、2009/10/20)
http://petroleumafrica.com/read_article.php?NID=8500
[2] Energy Cities Master Plan の説明用HP
http://www.energycitiesmasterplan.com/
[3]同社プレスリリース(2009/12/17)
http://www.sekisui.co.jp/news/2009/1196641_2241.html
[4]「Libya to Launch Mega-Billion Energy Cities」(Petroleum Africa、2009/10/20)
http://petroleumafrica.com/read_article.php?NID=8500
[5] 日経産業新聞、化学工業日報、日刊工業新聞より


過去のリビアに関するエントリー:
①小池百合子議員、カダフィと面談する
http://let-us-know-africa.blogspot.com/2009/11/blog-post_22.html
②カダフィ大佐と明治大学学生とのサテライト対話集会
http://let-us-know-africa.blogspot.com/2009/12/blog-post_15.html


ビデオ
Energy Cities Master Plan の説明用HPに入り、左側にある Project Video をクリック
http://www.energycitiesmasterplan.com/














その他のビデオ

New Construction Projects Libya - Part 1
http://www.youtube.com/watch?v=0ZA5ml5NB7I

New Construction Projects Libya - Part 2
http://www.youtube.com/watch?v=bu8cq-ydP4Y&feature=related

New Construction Projects Libya - Part 3
http://www.youtube.com/watch?v=Yh3KhNetDmo

New Construction Projects Libya - Part 4
http://www.youtube.com/watch?v=ikX2Xq72DII&feature=related



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3 件のコメント:

  1. 大変興味深いブログです。
    ありがとうございます。
    私は日本の有力な大学から卒業した元留学生でした。現在チュニジアで日本の企業、政府機関を相手にコンサルを行っています。
    こちらのブログでは、なぜチュニジアの情報がほとんどありません。
    ぜひこの国についての情報が増やしていただきたい。
    宜しくお願いします。
    チュニジアからのアフマドより

    返信削除
  2. アフマドさん、
    チュニジアから、それも日本語のコメントを頂けるとは、驚きました。チュニジアのニュースも積極的に取り上げるようにしますので、これからもよろしくお願いします。

    返信削除
  3. Miya さん、
    コメントありがとうございました。
    チュニジアについての情報を出来るだけこれからも伝えていきたいと思っております。また、チュニジア向け市場調査やビジネスパートナーを探している日本の業者を支援及び現地からのサポートも行いたいと思っております。宜しくお願いします。
    アフマドより

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