2010/08/24

英国のエネルギー外交

このブログの「ご挨拶」のところにも書きましたが、日本の政治家が日本企業のビジネスを支援することは重要です。

2010年5月に就任した英国のキャメロン首相は、最近、英国企業を支援すると宣言しました。ドイツ、フランス、中国、韓国などに負けないぞ、という意思表示です。

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【 ニュース 】

英国のエネルギー・気候変動省Charles Hendry大臣は、Daily Telegraph紙のインタビューに答え、次のように発言した。[1]

・英国の石油会社がロシアなどの鉱区を取得する際の調印式に、政治家である首相、エネルギー大臣が同席することは重要なことだ。
・産油国と長期契約を結ぶこと(=英国の石油会社が権益を取得すること)により、エネルギー供給の安定性を確保し、価格変動の影響を和らげることができる。
・ドイツの会社が契約に調印する際は、メルケル首相が立ち会い、フランスの場合はサルコジ大統領が立ち会っている。英国の場合、これまで大使が立ち会っていたが、それでは政治的な意味合いが弱い。
・最近、在外公館の大使を召集し会議を開いたが、その際、政府は次のように訓辞した。(石油・ガスの)安定供給を確保をするため、また産油国の発展を支援するため、各国に派遣されている大使は、英国の石油会社が契約できるよう積極的に支援すること。


同じ記事の中で、CBI(英国産業連盟)のRichard Lambert理事長は、次のようにコメントしている。
・Hendry大臣の発言は、エネルギー産業を支援するという「強いメッセージ」である。
・フランス政府、米国政府も同じように自国の産業を支援している。
・ただし、政治が商売に結びつく時は、「透明性と高潔さ」(transparency and integrity)が重要である。


【 解説 】

この記事には、具体的な国としてはロシアのことが書かれているが、英国政府は大使全員に指令を出していることから、全世界でのビジネスチャンスを狙っている。アフリカでは、本腰を入れて石油資源、鉱物資源などの確保に動いてくると考えられる。

英国では本年5月の総選挙で労働党(ブレア→ブラウン)から、保守党(キャメロン)に政権交代した。ブレア元首相はエネルギー産業と防衛産業の売り込みに努力してきたが、今回の記事をみると、保守党もその路線を踏襲することが明らかになった。

石油・ガスに関して言うと、英国は、原油とガスの純輸出国であったが、今日では、純輸入国に転じている。昨今の原油価格の変動率は大きく、経済活動に大きな影響を及ぼすので、英国企業による「自主開発原油」比率を高めることで、市場で調達する原油量を減らそうとしている。

英国の石油会社BPは、米国メキシコ湾で油濁事故を起こしており、財務が悪化している。政府としても、テコ入れをするということなのであろう。


【 コメント 】

英国産業連盟の理事長の発言---「政治が商売に結びつく時、「透明性と高潔さ」(transparency and integrity)が重要である。」    さすが、英国紳士の発言である。

しかし、見方を変えれば、それは英国が犯した間違いから学んだことかもしれない。サッチャー時代に英国の軍事産業がサウジアラビアの王族へ賄賂を払ったことに対し、英国の捜査当局が捜査していたところ、ブレア元首相が捜査を打ち切らせたという事件があったことを思い出した。[2]

【 参考文献 】

[1] Ministers to help UK energy firms win deals abroad (The Daily Telegraph, 2010/8/22)

[2] 'Secrecy needed' in Saudi deals (BBC, 2008/3/3)

2 件のコメント:

  1. いつも情報がコンパクトにわかりやすく解説されていて、大変参考になります!
    にほんブログ村で3位になっていますね、すごいです!!おめでとうございます!(^^)!
    これからも楽しみにしています♪
    Sao

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  2. Saoさん、お久しぶりです。コメントありがとうございます。これからもアクセスよろしくお願いします。

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