2011/11/08

大化けする東アフリカの天然ガス事業

アフリカの石油・ガスの探鉱開発事業は北部と西部で盛んであり、東部は「処女地」であった。モザンビーク沖合の2鉱区で巨大ガス田が発見されたので、《探鉱が活発化し、新たな油・ガス田が発見され、更に探鉱が活発化する》 という好循環になることが期待される。

以下の記事は、韓国ガス公社に関する記事だが、本件は三井物産も関係している。

【 ニュース 】

アフリカで韓国消費1年分のガス田を確保

韓国ガス公社が出資したアフリカ・モザンビークの海上鉱区で大規模なガス田が見つかり、国内消費量のほぼ1年分の天然ガスを確保した。

ガス公社は20日、モザンビ-ク北部の海上4鉱区で大規模な天然ガス田を発見した、と発表した。 鉱区運営会社のイタリアEni社によると、今回発見された潜在資源量は15Tcf(約3億4000万トン)。 これを受け、鉱区の株式10%を保有するガス公社は約3400万トンのガスを確保できるという評価だ。

ガス公社の関係者は「これは昨年国内に供給した天然ガス量(3360万トン)とほぼ同じで、金額にすれば約20兆ウォン規模」と明らかにした。

ガス公社は07年に4鉱区の株式を取得した後、Eni社と共同で探査作業を行ってきた。 今年9月には初めて探査ボーリングに入ったが、5000メートルまで掘る過程で計212メートルのガス層を確認した。

この鉱区にはガス公社のほか、Eni社が70%、モザンビ-ク国営石油会社ENH社が10%、ポルトガルのエネルギー企業が10%出資している。 契約期間は2045年1月まで。 ガス公社は2013年1月までこの鉱区で3カ所を追加でボーリング調査する計画で、ガス発見量はさらに増える可能性がある。

2011年10月21日 中央日報日本語版 [1]


【 解説 】


1.処女地だった東アフリカ

図1のとおり、東アフリカでは掘削坑数が著しく少なく、その大部分は陸上での掘削である。まさに処女地であった。モザンビークとタンザニア沖合において巨大ガス田が発見されたことにより、探鉱活動が活発になることは間違いない。

図1:東アフリカの掘削本数[2]  (クリックで拡大)













2.探鉱の成果

表1、図2のとおり、最近、モザンビークでは33 TCF (33兆立方フィート)以上、タンザニアでは 10TCFの埋蔵量が発見されている。アフリカのガス埋蔵量は、ナイジェリア(187 TCF)、アルジェリア(159 TCF)、エジプト(78 TCF)、リビア(55 TCF)に次いで、モザンビーク(33 TCF)の順になる[3]。

なお、上記の記事でENIは15TCFの埋蔵量を発見したと発表しているが、更に掘削したところ、深部で新しい層を発見したため、22.5TCFと上方修正された[4]。22.5TCFというのは、LNG換算約2,300万トン×20年の規模である[5]。


表1:モザンビークとタンザニアの探鉱成果










図2:モザンビークの2つの鉱区














3.今後の予定

今後、追加掘削をしてガス田の埋蔵量を確認する作業がある。早いケースでは、2018年~2019年頃にLNGをインド、中国、韓国、日本向けに輸出する計画がある[6]。


【 コメント 】

モザンビークがLNGを輸出したとき、収入を管理できないならば富は「呪い」になってしまうが、その対策はとられつつある。

1.同国政府は、EITI(採取産業透明性イニシアティブ)に参加し、ナイジェリアなどの轍を踏まないようにしている。

2.石油・ガス会社においても、賄賂など不明朗な支払いをしないようにしなければならない。
(1) 米国では、2010年7月、「Dodd-Frank Wall Street Reform and Consumer Protection Act」が法律として大統領に承認された。これにより、米国市場に上場している石油・ガス・鉱物資源の会社が米国政府あるいは相手国政府に支払った全費用の詳細を国毎に公開することが義務付けられた。[7]

(2) 欧州委員会は、2011年10月、Country-by-Country Reporting (CBCR)を提案した。鉱業及び林業の会社は、企業の社会的責任(CSR)として、税金・ロイヤリティ、ボーナスなどの支払いを公開しなければならない、という提案である。[8]

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【 参考文献 】

[1] http://japanese.joins.com/article/847/144847.html
[2] http://www.afren.com/afreneax/why-east-africa.html
[3] BP統計(2011年版)http://www.bp.com/sectionbodycopy.do?categoryId=7500&contentId=7068481
[4] http://www.eni.com/en_IT/media/press-releases/2011/10/2011-10-27-eni-mamba-south-mozambique.shtml?menu2=media-archive&menu3=press-releases
[5] ダイヤモンド・ガス・オペレーションhttp://www.dgoweb.com/news/
[6] http://www.cove-energy.com/communicraft-cms-system/uploads/Presentation_UBS_Conf_-_Update_26_September.pdf
[7] http://www.revenuewatch.org/news/qa-us-financial-reform-and-transparency-oil-gas-and-mining
http://www.dir.co.jp/souken/research/report/esg/cg/10092801cg.pdf
[8] http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/11/1238&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en

その他参考文献
「最後?の処女地:東アフリカの石油・天然ガス」 by 石田 聖
http://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/0/666/200605_001a.pdf

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