2011/06/01

アフリカへの投資: 562社はどうみているのか

このブログの記事の中で、アフリカへの投資に関する記事が多く読まれています。日本企業もアフリカに注目しており、ゆっくりですが、着実に投資を進めております。(「日本企業 in アフリカ」のタグ頁参照。)

ところで、日本企業の競争相手は、アフリカをどのようにみているのでしょうか? 今回の記事は、外国企業(562社)がアフリカ市場をどうみているのかがわかるアンケート結果を紹介します。


【 ニュース 】

アフリカ投資の魅力増大、BRICSとの関係も深化 (CNN、2011/5/25)[1]

     ケープタウン(CNN) 投資先としてのアフリカの魅力は高まっているとする調査結果を大手会計事務所アーンスト・アンド・ヤングが発表し、世界にその魅力を理解してもらう必要があると訴えている。
     同社は南アフリカのケープタウンで開かれた世界経済フォーラムの会合で、アフリカ諸国を含む世界の企業約500社を対象に、事業環境としてのアフリカ大陸の魅力を語った。
     調査の結果、アフリカを魅力的な投資先とみなしているのは主にアフリカ諸国や新興国で、それに比べると先進国の関心は低い傾向があることが分かった。同社によると、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカのBRICS諸国とアフリカとの関係が深まっているという。
     同社アフリカ法人のシータ最高経営責任者(CEO)によると、世界全体への投資に占める外国からアフリカへの直接投資の割合は約4.5%、金額にすると1000億ドル相当にとどまっており、アフリカはもっと効果的にその魅力をアピールする必要があるという。
     シータ氏は、アフリカの魅力として10億もの人口、豊富な天然資源、世界の食料安全保障につながる農業分野などを挙げる一方、50を超える国で多様な言語が話され、国によって規制もまちまちな実態が投資の障壁になっていると指摘。「アフリカにとって真に必要なのは、共通の経済市場と大陸としての単一のビジョンだ」と訴えた。


【 解説 】

上記のニュースで述べられているアフリカへの外国直接投資に関する調査書は、アーンスト・アンド・ヤング(Ernst & Young)が、2011年5月3日に発表したものであり、『It's time for Africa : Ernst & Young's 2011 Africa attractiveness survey』というものであり、同社のホームページでダウンロードできる[2] 。以下、一部だが内容を紹介する。

アンケートに答えた562社
・国籍は、38ヶ国で、欧州(59%)、北米(18%)、アジア(18%)、その他(5%)。
・アフリカに進出している割合は、62%。
・事業部門は、産業・自動車・エネルギー部門(36%)、サービス部門(25%)、消費部門(25%)、その他。
・アンケートに答えたのは、主に財務部門の責任者。


1.過去3年間でアフリカは投資しやすくなったと思うか?

アンケートに回答した会社の68%が投資環境が改善したと考えている。アフリカや発展途上国の会社は、それ以上の評価をしている。一方、北米や欧州の会社は低く評価している。

(全ての図は クリックで拡大)

2.今後3年間でアフリカは投資しやすくなると思うか?

アンケートに回答した会社の75%が投資環境が改善すると考えている。悪化すると考えている会社は10%以下である。


3.今後2年間で投資の対象となる事業分野は?

鉱物資源の探鉱、石油ガスの探鉱・開発が上位を占めるが、観光、消費財がその次に位置する。


4.既にアフリカに進出した会社の今後の事業展開は?

「更に投資する」と「事業を継続する」と応えた会社の合計が62%を占める。


5.アフリカでの事業で障害となることは?

投資環境で問題なのは、政治環境が不安定であり、腐敗、治安が悪いことである。

6.外国直接投資の件数が多い国は?

2003年から2010年までの新規の外国直接投資の件数をみると、南ア、エジプト、モロッコ、アルジェリア、チュニジア、ナイジェリアなどが人気である。

7.アフリカは他の地域と比べて魅力的か?

旧ソ連諸国とアフリカを比べた場合、60%がアフリカの方が魅力だと答えた。中央アフリカや南米と比べると、それぞれ 52%、南米 49%がアフリカが魅力であるとみている。アジア、北米、西欧、中東、オセアニア、東欧と比べた場合は、アフリカの魅力は低い。

【 コメント 】

1.アフリカの人口は大きく増加するので、市場として魅力的である。(下図は、国の人口ではなく、都市の人口である。)

2.低所得層の市場なので、安価でかつ良質な商品を提供できなければ、韓国や中国、東南アジアなどの企業と競争できない。

①日本で売れ残った商品を輸出するのも一案であろう。
②デジカメやPCなどのパンフレットを見ればわかるように、日本の企業はあまりにも多くのアクセサリーを作り、頻繁にモデルチェンジをしている。新しいモデルを欲しがる消費者にとってはうれしいことだが、アフリカ向けには、安価な基本モデルが適していると思う。

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【 参考文献 】

[1] 日本語記事 CNN、2011/5/25
英語記事(ビデオあり)
[2] Ernst & Youngプレス発表、2011/5/3

その他の資料

井の中の巨大な蛙 新興国で存在感(日経ビジネスオンライン、2011/5/30)

World Economic Forum on Africa, Background Facts and Figures
PowerPoint資料(図8はここからとった。)
39頁資料

World Economic Forumで、世銀が発表した資料「The Africa Competitiveness Report 2011」の140ページ以降に、経済に焦点をあてたアフリカ35ヶ国のカントリーレポートが記載されている。

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