2010/04/25

アフリカ諸国が外国に抱いている感情 (BBC世論調査)

BBC World Serviceは、2005年から毎年、世界の国 20ヶ国以上、1万から3万人を対象にして、ある国が「世界に良い影響を与えているか?」という世論調査を実施しています。2010年4月18日に第6回目の調査内容が発表されました。

アフリカ諸国に標準を当てて、2つの表を独自に作成してみました。
①2010年版のデータを使い、「特定の国が世界に及ぼす影響を肯定的に感じているのか、否定的に感じているのか、を1つの表にまとめました。人気度が分かります。
②2006年~2010年版のデータを使い、「アフリカ諸国は中国や日本をどのように見ているのか?」という推移表を作成しました。


【 ニュース 】

「中国の国際社会への影響 欧州と韓国で「悪い」が多く、日本では改善」 [1]
19日、英BBC放送(英国放送協会)と読売新聞社が世界33カ国を対象に共同で実施した世論調査の結果が発表され、中国の評価は相対的に下落傾向であることがわかった。環球網が伝えた。
世界33カ国の約3万人のうち、「中国は世界に良い影響を与えている」と評価したのは41%で、「悪い影響を与えている」の 38%を若干上回った。
欧州各国では一様に「中国は世界に悪い影響を与えている」との評価が「良い影響」を上回ったほか、アジアで「中国は悪い影響を与えている」としたのは韓国が最多で61%だった。また、日本で「中国は悪い影響を与えている」としたのは2009年調査の59%から 38%に減少した。
そのほか、今回の調査で初めて評価対象国となった韓国は、「良い影響」が32%で、「悪い影響」の30%を上回った。日本は「良い影響」が53%で、「悪い影響」は21%だった。(編集担当:畠山栄)


【 解説 】

1. BBCによる調査(6回分)の概要とデータ入手先については、下記「参考文献」を参照されたい。
なお、調査対象の国は、毎回同じではない。

2.上記のニュースの記述を表で示す。
(1)「中国は世界に良い影響を与えている」(positive influence in the world)と評価したのは41%で、「悪い影響を与えている」(negative influence in the world)の 38%を若干上回った。---→ 表1参照

(2)日本で「中国は悪い影響を与えている」としたのは2009年調査の59%から 38%に減少した。---→ 表2参照

(3)今回の調査で初めて評価対象国となった韓国は、「良い影響」が32%で、「悪い影響」の30%を上回った。---→ 表1参照


表1 (表をクリックして拡大)



表2 (表をクリックして拡大)



【 コメント 】

1. 2010年版のデータを使い、「特定の国が世界に及ぼす影響を肯定的に感じているのか、否定的に感じているのかをまとめた。(表3)

中国に関しては、
①全世界的に見ると、肯定的意見は41%、否定的意見は38%であるのに対し(表1)、
②アフリカ(エジプト、ケニア、ナイジェリア、ガーナの平均)では、肯定的意見は68%、否定的意見は17%である。(表3)

韓国の評価が、全国的にも(表1)、またアフリカに限定しても、肯定的意見よりも否定的意見のほうが大きい(表3)のには、驚いた。なお、BBCの調査はその理由にまでは言及していない。

表3 (表をクリックして拡大)


2. 2006年~2010年版のデータを使い、「アフリカ諸国は中国や日本をどのように見ているのか?」という推移表を作成した。(表4)

中国、日本の世界に対する影響について、アフリカ諸国が肯定的に見ていた割合については、2006年にはほぼ同じ割合であったが、現在では中国の方がより肯定的に見られている。しかし、否定的意見も日本より中国のほうが高い。

表4 (表をクリックして拡大)


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【 参考文献 】

1.引用文献

[1] 「中国の国際社会への影響 欧州と韓国で「悪い」が多く、日本では改善」(Searchina、2010/04/21)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0421&f=national_0421_006.shtml

「中国人57%『韓国肯定的』ドイツ人53%『否定的』」(中央日報,2010/4/20)
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=128426&servcode=A00&sectcode=A00

「World warming to US under Obama, BBC poll suggests」(BBC, 2010/4/19)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/8626041.stm


2. BBC World Service Poll(6回)の概要とデータ入手先

①発表:2005/3/5
調査期間:2004/11/15~2005/1/5
対象国:22ヶ国(内、アフリカ=1ヶ国:南ア)
対象人数:22,953人
報告書URL:
http://www.pipa.org/OnlineReports/China/China_Mar05/China_Mar05_rpt.pdf
http://www.worldpublicopinion.org/pipa/articles/views_on_countriesregions_bt/116.php?nid=&id=&pnt=116&lb=btvoc
http://www.globescan.com/news_archives/bbcpoll3.html
※中国しかわからない。

②発表:2006/2/3
調査期間:2005/10~2006/1
対象国:33ヶ国(内、アフリカ=8ヶ国:セネガル、ナイジェリア、ガーナ、DRコンゴ、ケニア、タンザニア、ジンバブエ、南ア)
対象人数:39,435人
報告書URL:
http://www.worldpublicopinion.org/pipa/articles/views_on_countriesregions_bt/168.php?lb=btvoc&pnt=168&nid=&id=
http://www.globescan.com/news_archives/bbc06-3/index.html

③発表:2007/3/6
調査期間:2006/11/3~2007/1/16
対象国:27ヶ国(内、アフリカ=3ヶ国:ケニア、ナイジェリア、エジプト)
対象人数:28,389人
報告書URL:
http://news.bbc.co.uk/2/shared/bsp/hi/pdfs/06_03_07_perceptions.pdf
http://www.worldpublicopinion.org/pipa/pdf/mar07/BBC_ViewsCountries_Mar07_pr.pdf
http://www.globescan.com/news_archives/bbccntryview/bbccntryview.pdf

④発表:2008/4/2
調査期間:2007/10/31~2008/1/25
対象国:34ヶ国(内、アフリカ=4ヶ国:エジプト、ナイジェリア、ガーナ、ケニア)
対象人数:17,457人
報告書URL:
http://news.bbc.co.uk/2/shared/bsp/hi/pdfs/02_04_08_globalview.pdf
http://www.worldpublicopinion.org/pipa/pdf/apr08/BBCEvals_Apr08_rpt.pdf
http://www.globescan.com/news_archives/bbccntryview08/BBC08-1_Country_Release_Final_v2.pdf

⑤発表:2009/2/6
調査期間:2008/11/21~2009/2/1
対象国:21ヶ国(内、アフリカ=3ヶ国:エジプト、ナイジェリア、ガーナ)
対象人数:13,575人
報告書URL:
http://news.bbc.co.uk/2/shared/bsp/hi/pdfs/06_02_09bbcworldservicepoll.pdf
http://www.worldpublicopinion.org/pipa/pdf/feb09/BBCEvals_Feb09_rpt.pdf
http://www.globescan.com/news_archives/bbccntryview09/BBC_Country_Release_09.pdf

⑥発表:2010/4/18
調査期間:2009/11/30~2010/2/16
対象国:28ヶ国(内、アフリカ=4ヶ国:エジプト、ナイジェリア、ガーナ、ケニア)
対象人数:29,977人
報告書URL:
http://news.bbc.co.uk/2/shared/bsp/hi/pdfs/160410bbcwspoll.pdf
http://www.worldpublicopinion.org/pipa/pipa/pdf/apr10/BBCViews_Apr10_rpt.pdf
http://www.globescan.com/news_archives/bbc2010_countries/BBC_2010_countries.pdf


3..表3と表4のデータ作成方法 (表をクリックして拡大)

2 件のコメント:

  1. 大変興味深い資料ありがとうございました。時間をかけて自分なりに分析してみます。また授業の資料として活用させていただければと思います。とりあえず、中国人のアフリカへの進出と投資は日本の場合とケタが違いますので、当然の結果かと思います。韓国への評価は意外ですね。

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  2. katabira no tsuji さん、コメントありがとうございました。

    中央日報(韓国系)も、韓国に対して否定的イメージが多いことに驚いているようです。参考文献[1]のせましたが、↓を参照して下さい。
    http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=128426&servcode=A00&sectcode=A00

    コメントを頂いたお陰で、面白いことがわかりました。世論調査の結果を3つの組織がネットで発表しています。(参考文献の2-⑥を参照して下さい。)
    1.http://news.bbc.co.uk/2/shared/bsp/hi/pdfs/160410bbcwspoll.pdf
    2.http://www.worldpublicopinion.org/pipa/pipa/pdf/apr10/BBCViews_Apr10_rpt.pdf
    3.http://www.globescan.com/news_archives/bbc2010_countries/BBC_2010_countries.pdf

    上記の資料1と資料2は同じものです。3/25頁には、韓国に対する世界的評価として、「肯定的評価32%、否定的評価30%」となっております。22/25頁には、韓国に対するタイの評価として、「肯定的評価23%、否定的評価58%」がグラフに入ってます。(否定的評価が非常に高いです。)

    しかし、上記資料3は、資料1と資料2とはバージョンが違います。3/28頁には、韓国に対する世界的評価として、「肯定的評価32%、否定的評価29%」となっております。注釈があり「**Average of 26 countries as South Korea was not rated by Thai respondents.」とあり、あたかもタイでは世論調査が実施されていないような書きぶりです。そして、23/28頁には、タイの評価がグラフから抜け落ちているのです! (3つの資料をダウンロードして保管しておいて下さい。)

    タイの評価を入れなくても、韓国に対する全世界的な評価が低いということは変わりありません。

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