2009/12/15

カダフィ大佐と明治大学学生とのサテライト対話集会

2009年12月15日、リビアのリーダーのカダフィ大佐は、明治大学の学生と国際回線を結んだ「サテライト対話集会」において、約1時間にわたり、日本について語った。約500~600人の集会の模様は、リビア国営放送で生放送された。

このエントリーでは、記事録を紹介しますが、テープ起こししたものではなく、その場でのメモを校正しました。一部聞き取れなかった部分がありますし、間違ってメモしていた可能性もありますが、速報ベースということで、ご了解下さい。 以下、同時通訳者の日本語をできる限り再現しています。











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=== カダフィ大佐の講義 ===

アフリカ諸国は苦しみの中に生きている。環境破壊も苦しみの一つ。空気も河も汚れている。外国の会社はアフリカのことを「生贄」(いけにえ)であると思っている。外国は、「アフリカの石油を守りたい」と言いながら、同時に軍隊を送っている。

中国は、スムーズに入って来ているが、アフリカの人々を追い出そうとしている。中国やインドはアフリカに移民することを考えている。

日本は、アフリカに移民することも、選挙に口を出すことも考えていない。中国とも米国とも違う。アフリカ大陸にソフトに入ることができる。

私は、日本人と話すことを避けていた。話すと、日本人を困らせることがわかっていたので、会話自体を避けていた。ジャーナリストにもあまり会わなかった。日本を友人だと思っているので、話さなかった。しかし、本日はこのような形でサテライトでの講義に招待されたので話す。

日本は世界レベルでの「パワー」になれるが、問題が1つある。日本は、自由意志を持っている国とは考えられない。第二次世界大戦の時に、原爆を投下され、苦しめられた。米国の言いなりになる国になった。5万人の米兵が駐屯している。数年前まで日本は米国の植民地のような存在だった。ドイツも共通点がある。

このことは、日本のような偉大な国家にとっては屈辱である。軍隊を持つ権利があるのに持っていない。実際に軍隊が存在していても「軍隊」と言わず「自衛隊」と呼んでいる。それは耐えられない屈辱だ。日本は米国とも中国とも競争できるはず。偉大な国民だと思う。

不思議なことに、原爆を落とした米国の影響が続いている。それなのに、なぜ米国と友人になり得るのか。親、祖父母が殺されているのに、なぜ友人になれるのか、不思議だ。

米国との関係は押しつけられたものだ。近隣諸国と同盟することが普通なのだが、距離が離れている日本と米国が同盟関係になるのは、不思議である。

最近、「日本は独立すべきだ」という本が出版されていると聞く。(※聞き取れず。)米国は直ちに撤退すべきである。私は軍縮を応援する。(※聞き取れず。)

米国は日本に原爆を投下した。日本も核兵器を持つべきだ。技術を持っていても、またどれだけ想像力があっても、役にたてていない。日本は資源を輸入しているが、想像力を持っている文明だ。しかし、米国から独立した自由な意志を持たないと役にたたない。国連における日本の態度は、米国と同じである。日本には独自の立場や意見があるはずなのに、米国に追従している。国連で米国がどこかと対立する立場をとると、日本もそれに従う。その結果、日本も対立的な立場をとってしまう。資源がない日本の利益を考えると、日本がなぜ米国を応援するかがわからない。日本は日本の利益を捨ててまで米国に追従していると思う。

これから世界は、地域的に統合する。欧州、アフリカ、中東、ロシア、中国、東南アジア、オセアニア、北米、南米という大きな地域連合になる。ただし、日本は孤立している。朝鮮半島の方向性もはっきりしない。日本は中国にもロシアにも所属しない。日本の「場所」がどこにあるべきかを考えてほしい。日本は米国の言いなりにならないでほしい。


(※以下、Q&A。明治大学の学生が質問し、カダフィ大佐が答えた。)

Q:アフリカには天然資源があるのに、貧困国が多い。資源が有効に使われない理由は?
A:今のアフリカは最悪。(歴史を振り返ると)奴隷時代、植民地時代、外国企業による支配---このように変化していった。現在、環境は悪くなっている。日本がアフリカに貢献するのは、日本が米国から独立した時だ。

Q:オバマはアフガンに増兵したが、賛成するか?
A:オバマは、2011年に米兵を撤退させることを決めた。増兵しても意味がない。結局増員するから。言い分は撤退の1つのステップとして人数を増やす。だれかの助言だろす。安全に撤退でするためには、攻撃することが必要。戦略的なこと。オバマは白人の大統領とは違う。イラクとの戦争は間違いだったと発言している。

オバマが日本に対し、「原爆を落としたのは間違った」と謝罪することを期待している。(※以下不明)

Q:『緑の書』を読んだが、教育について補足説明してほしい。(※質問を聞き取れず。)
A:(※カダフィは、「緑の書」の教育の章をそのまま数分間朗読した。)
カリキュラムを押しつけることは反対だ。若者は自由な選択肢が与えられるべきで、完全な自由があるべきだ。

Q:小池百合子議員がアラビア語でコメント。(※アラビア語の部分は理解でなかったが、流暢に話していた。発言の最後に、日本語で、「日本に来て頂きたい」と発言されたと説明していた。)
A:小池さんの役割を高く評価している。日本に招待されたら、喜んで訪問したい。

Q:パレスチナとイスラエルの問題は解決していない。なぜ解決できないのか。
A:イスラエルは、米国に保護されている。国際的な法律で考えると違法に建国された国。最初から承認すべきでなかった。イスラエルは米国の1つの州になっている。米国はイスラエルを干渉する時もあるが、イスラエルは米国をコントロールしている。(※部分的に聞き取れず。)

イスラエルには大量破壊兵器があるのに、米国は調べようとしない。日本は、被爆国として、軍縮をまとめるべき。イスラエルとパレスチナは、1つの国をつくって、多民族、多宗教国家となり、選挙をすべき。イスラエルとパレスチナを合わせた造語「イスラチーナ」という本を出版したが[1]、答えはそこに書いてある。


※1分間で数十万円の費用がかかるというサテライト対話集会を閉会するにあたり、司会をされていた明治大学軍縮平和研究所所長の福田邦夫教授が、「研究所にカダフィ・チェアをつくりたいので協力をお願いしたい」と依頼した。カダフィ大佐は、うっすらと笑みをうかべ、 「ご提案ありがとう。その提案を応援する。大学の友達だと思って下さい。喜んで教員の一人になります。」と発言し、右手で胸を何度も押さえ、満足げな様子だった。


=== コメント ===

私はカダフィ大佐を見るのは初めてだったが、次の印象を受けた。
・話す時、ほとんど口を開けない。腹話術師のような話し方だった。
・非常に低い声。彼のような低い声を聞いたのは初めてである。
・ほとんど笑顔を見せない。

カダフィ大佐は、日本は米国の属国である、と考えていたと推測される。しかし、誰か知らないが、この対話を企画してくれたおかげで、彼は日本に注目したようだ。企画した人、good job! この機会を逃さずに、彼を日本に招待すべきである。小池百合子議員のさらなるご尽力に期待したい。

今後リビア人留学生が明治大学で学ぶ可能性があるが、日本の文化、日本人の考え方、日本と諸外国との関係などを、正しく学んで帰国してもらいたい。

追加のコメント(2009年12月17日, 23時35分記入)

このイベントに関与された方から以下の情報を頂きました。(読者からのコメント欄参照。)

・本イベントの企画発起人および組織最高責任者は福田邦夫教授。
・組織は明治大学軍縮平和研究所、同大学商学部福田ゼミおよび同大学商学研究科福田研究室(約30名)。
・小池議員はこのイベントの組織には関与されていない。

なお、参加人数は約730名とのこと。


=== 参考資料 ===

[1] 同時通訳は 「イスラチーナ」と発言していたが、ISRATINE という。これは、カダフィ大佐は、『A Proposal by Muammaral-QadhafiI,  ISRATINE  The White Book』 という本を出している。原文はネットで公開されている。


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3 件のコメント:

  1. 明治大学の組織に関与した者(貼付けてあるポスター作成者)ですが、企画発起人および組織最高責任者は福田邦夫教授によるもので、組織は明治大学軍縮平和研究所,同大学商学部福田ゼミおよび同大学商学研究科福田研究室です(約30名)。ちなみに、小池議員はこのイベントの組織には関与してません。

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  2. このブログの管理者です。

    カダフィのホームページにて、スピーチの内容(英訳の文章と朗読)が掲載されてます。

    The Address of Brother Leader to the Students and Faculty of Meiji University, Japan

    http://www.algathafi.org/html-english/index.htm

    http://www.algathafi.org/html-english/cat_1_10.htm

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  3. 福田教授がカダフィを語る
    http://www.fukuda.vc/event/366/

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