2010/10/09

アフリカ諸国のランキング評価 ( Mo Ibraham Index )

アフリカの53ヶ国をランキング評価している「2010 Ibrahim Index of African Governance」を紹介します。次のような目的のため、使うことができると思います。
①投資を考えている会社が投資先をスクリーニングするため。
②海外青年協力隊の隊員が滞在国の相対的評価を知るため。
③政府がODAの配分を決める際に参考にするため。


【 ニュース 】

2010/10/4、Mo Ibrahim 基金(Mo Ibrahim Foundation)は、2010年版のガバナンス・インデックスを発表した。[1]


【 解説 】

1.Mo Ibraham (Mohamed Ibrahim)とはどんな人?


1946年、スーダンで生まれる。
エジプトのアレキサンドリア大学(学士)、英国のブラッドフォード大学(修士)、英国バーミンガム大学(博士)で電気技術、モーバイルコミュニケーションを学ぶ。
1998年、MSI Cellular Investments設立。後に、Celtel Internationalに名称変更。同社はアフリカ諸国に750百万ドルを投資。[2]
2005年、Celtel社を $3.4 billionで売却。(当時の為替レートで 3,740億円)
2006年、 Mo Ibrahim Foundationを設立した。
2007年、 Mo Ibrahim Prize を創設。(後述)
2008年、「the 100 most influential people in the world」(タイム誌)リストに入る。
2010年、クリントンGlobal Initiativeから『Global Citizen Awards』(受賞者5名)を授与される。
現在、英国に住んでいる。
世界で最も金持ちな黒人(9,000百万ドル、約7,400億円)    [3]


(参考)Mo Ibrahim Prizeとは?

1.受賞資格者:アフリカの国の大統領/首相を務めたこと。民主的選挙で選ばれていること、退任してから3年以内、憲法で定めた期間で退任していること。アフリカのリーダーとして評価されること。
2.賞金:5百万ドル(4億1000万円)。11年後から存命中、年間20万ドル(約1,600万円)。なお、ノーベル賞の賞金は約1億2400万円。
3.受賞者
・2007年:モザンビーク前大統領Joaquim Chissano
・2008年:ボツワナ前大統領Festus Gontebanye Mogae
・2009年:該当者なし。


2.Mo Ibraham Indexとは?

アフリカ諸国を点数とランキングで評価したランキング。これまで4回(2007年版、2008年版、2009年版、2010年版)発表されている。

大カテゴリー(①~④)、小カテゴリー、インジケーター(全部で88)、データ組み合わせて分析した上で、総合ランキングが計算される(図1)。データは、27の組織が作成したものを利用している。[4]
① Safety and Rule of Law
② Participation and Human Rights
③ Sustainable Economic Opportunity
④ Human Development


(図をクリックして拡大)
図1:評価構造

図2:総合ランキング


図3:Safety and Rule of Law ランキング


図4:Participation and Human Rights ランキング


図5:Sustainable Economic Opportunity ランキング


図6:Human Development ランキング


3.各国の状況は?

・過去3年連続してベスト10に入っているのは、モーリシャス、セイシェル、ボツワナ、カーボヴェルデ、南アフリカ、ナミビア、ガーナ、チュニジア、レソトである。
・過去3年連続してワースト3に入っているのは、ソマリア、チャド、ジンバブエである。
・前年と比較して良くなっている国は(上昇点数で大きい順)
①トーゴ:41→39位
②アンゴラ:44→43位
③ブルキナファソ:25→18位


4.各種資料のダウンロードの方法

2010 Ibrahim Index of African Governance Summary (52頁)
※この資料で概要が分かる。

ランキングと各項目の評価点数 (1頁)

各国別の印刷用レポート
検索窓に以下を設定する。
a. Enter Keyword: 国名を記入。
b. Resource Type: 「Country Pack」を選択。
c. Year Resource Created:「2010」を選択。

エクセルファイル
※図7のような表示もできる。

図7:各国のレポート(コートジボワールの例)


【 コメント 】

海外青年協力隊の隊員は、安全面を重視しなければならないので、「Safety and Rule of Law」という大カテゴリーのなかにある「Personal Safety」という小カテゴリーの評価を注目すると良いし、投資を考えている会社は「Sustainable Economic Opportunity」に注目すると良いだろう。

今回は、「2010 Ibrahim Index of African Governance」[5]を紹介したが、その他、以下のようなランキングがある。1つだけでなく、複数の評価を比べるべきである。
・World Economic Forum 作成の「Global Competitiveness Report」[6]
・世銀作成の「Worldwide Governance Indicators」[7]

アフリカは、経済・文化・宗教など多様なので、53ヶ国をアフリカ」と一纏めにできないことが、ランキングをみると分かる。いずれにしても、「百聞は一見に如かず」。現地に行くことがが大切だと考える。

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【 参考文献 】

[1] プレス発表
http://www.moibrahimfoundation.org/en/pressrelease/media-centre/press-releases/overall-governance-performance-scores-in-africa-driven-by-gains-in-economic-and-human-development-bu.html
[2] http://www.thepatrioticvanguard.com/article.php3?id_article=872
[3] http://www.washingtoninformer.com/index.php?option=com_content&view=article&id=4560:business-exchange-&catid=53:business&Itemid=162
[4] http://www.moibrahimfoundation.org/en/section/the-ibrahim-index/methodology
[5] http://www.moibrahimfoundation.org/en/section/the-ibrahim-index/scores-and-ranking
[6] 516頁:http://www3.weforum.org/docs/WEF_GlobalCompetitivenessReport_2010-11.pdf
ランキングのみ: http://www.weforum.org/documents/GCR10/Full%20rankings.pdf
[7] http://info.worldbank.org/governance/wgi/index.asp

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