2010/07/11

ゾマホン氏:日本とベナンの架け橋

「アフリカ滞在者のリンク集」に追加するためブログを検索していたら、西アフリカのベナン(Benin)に「たけし日本語学校」があることを知りました。その学校を設立したゾマホン(Zomahoun)さんはテレビで紹介されていますので、ご存じの方も多いと思います。今回のエントリーでは、彼と支援者の活動に関する情報を集めましたので、紹介します。

少人数で大きな成果をあげており、学ぶことが多いです。

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【 ニュース 】

・ゾマホン氏が設立したアフリカ唯一の日本語学校(たけし日本語学校)には、約130人が学んでおり、同校で学んだベニン人の延べ22人が、日本の大学や専門学校に入学している。また、北海道の花畑農場で研修を受けるため、来日中である(2010年2月現在)。
・ソマホン氏は、「たけし日本語学校」以外に、2000年以降 6つの小学校を建設し、ベナンの教育に貢献している。


【 解説 】

1.ゾマホン氏のプロフィール [1]

国籍:ベナン共和国
生年月  1964年6月
1987年     ベナン国立大学 卒業、中国・北京語文化大学 留学
1993年     中国・北京語文化大学(修士学位) 卒業
1994年     日本語学校 入学
1996年     日本語学校 卒業、上智大学大学院に研究生として入学
1998年    高円寺のラーメン屋でスカウトされ、TBS系列ビートたけし司会の「たけし×世界バトル2 ここがヘンだよ日本人」という 2時間スペシャルの特番に出演する。
1999年     上智大学大学院博士過程後期試験合格
1999年  「ゾマホンの本」発刊 (図1)
2000年  「ゾマホン、大いに泣く」発刊 (図1)
2000年      たけし小学校 開校(コロボロル村)←---印税で建設(図2)
2001年     明治小学校 開校(キカ村)
2001年     江戸小学校 開校(チチャク村)
2003年     たけし日本語学校 開校(コトヌー市)
~2008年 3校の小学校を建設

図1


図2



2.ゾマホン氏の文章

ゾマホン氏は2009年9月から11月にかけて「「人生甘くないよ」[2] という文章を書いているが、彼の考え方や人柄が分かるので、一部を抜粋する。

奴隷政策は4世紀の間続きました。しかし奴隷政策の後は300年間の植民地政策がありました。合計で700年間の搾取政策。・・・考えてみてください、日本が700年間搾取政策をされていたら、今の日本はあったでしょうか。

現在のアフリカの歴史は欧米諸国の利益と都合に基づいて書かれているということです。・・・日本で伝わっているアフリカの情報の80パーセント以上は間違った情報だからです。“偏見が差別を生む”だから本当のアフリカを知ってもらいたいと思いました。

アフリカ大陸から紛争を無くすには、アフリカ諸国に武器を売ってはいけない。

ODA(政府開発援助)をバンバン出すよりも、民間企業の投資を促進して欲しい。

中国のアフリカ投資を批判するよりも、どうすれば、日本の民間企業がアフリカ諸国に投資しやすくなるかを考えなければいけない

私自身は、留学生としての精神を忘れないように、現在も6畳風呂なしのアパートで生活しています。私が豊かな生活をしていれば、新しく来日する留学生にもしめしがつきません。私は留学生とはそういう立場だと思っています。


3.ビデオ

ゾマホン氏関連のビデオを7本集めました。合計1時間以上の長さになるので、各ビデオに要点のみ書いておきます。時間がない方は、5番目ビデオ(Benin Fin)だけでもご覧下さい。北野たけし氏、所ジョージ氏、田中義剛氏の「援助」に対する姿勢が分かります。

田中義剛氏:
たけしさんから「1回1回の支援じゃなくて、長く根付くものを作ってくれ」と言われている。たけしさんが最初のスタートでこういう日本語の教育をはじめた、ということは日本の技術を教えたら理解できるベナン人が何人か出来たということ。その人たちを具体的に日本に呼んで農業指導なり商品開発する指導をして発展していけばいいと思う。そのためにキーワードは「農業」と「農業を指導する人」でしょうね。この考えを引き継ぐ人を育てれば続くんじゃないかな。

所ジョージ氏:
北野さんが(ベナンへの援助を)やってて、北野さんの中でも、多分ね、自分でここまではやってあげるっていう限界があると思う。何もかもアフリカを助けてあげるなんて気持ちは北野さんにはさらさらなくて、僕も全部を投じてゾマホンの国をなんとかしてあげたいなんて気持ちはさらさらなくて、あとはこれを見ていただいたみなさんとか他の芸能界の方がすごい気持ちはないけど「俺の余裕の中で、ここまでだったらやってあげるよ」っていうのが広がってくれればもっとあの子たちは盛り上がるかな。

北野たけし氏:
病院とかあとは水の問題を解決しなきゃいけないし、トイレとか全部それなりにやっていかなきゃいけないんで、それがちゃんとできればいいんだけども、この世界不況で外国に構っている場合かって言われれば、それまでなんだよね、大変だけど。



【 コメント 】

2003年以降、12人の日本語教師が「たけし日本語学校」として赴任している。(歴代の教師のリストは末尾参照。)ベナンの生徒さんへの貢献されたい方々だと思うが、金銭的な報酬はほとんどゼロに等しい。青年海外協力隊員として派遣するか、あるいは企業の大口寄付などできないものだろうか。過去のエントリーで指摘したが、中国は「孔子学院」を多数アフリカ諸国に開校している。
なお、「たけし日本語学校」の教師の待遇は、
・住居完備(一人一部屋、エアコン付、インターネット環境あり)
・給与は、現地の平均的な月給。日本円で約7,500円程度が支給される。
・日本~ベナン間の往復航空券一部支給(任期満了者)


ベナン町のいたる所にゴミが散乱していた。自分の家、村を掃除できなければ、国造りはできないだろう。また、病気のもとである。JICA/青年海外協力隊の皆さん、清掃事業を実施する意義は大きいと思うが、如何だろうか。


【 参考文献 】

[1] ゾマホン氏のプロフィール
http://www.zomahoun.com/zomahoun/profile/
http://www.zomahoun.com/lunch/pdf/lunch.pdf
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BE%E3%83%9E%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%B3

[2] ソフトブレーン「宋メール」2009/9/4~2009/11/13
第1回 ゾマホンについて
http://www.softbrain.co.jp/mailmaga/back130.html#c2
第2回 ベナン共和国とは・・・アフリカの歴史とは・・
http://www.softbrain.co.jp/mailmaga/back131.html#c2
第3回 日本のマスコミについて思う
http://www.softbrain.co.jp/mailmaga/back132.html#c2
第4回 日本とアフリカの関係について
http://www.softbrain.co.jp/mailmaga/back133.html#c2
第5回 日本の若者たちへ
http://www.softbrain.co.jp/mailmaga/back134.html#c2
最終回 日本とアフリカの未来
http://www.softbrain.co.jp/mailmaga/back135.html#c2



ゾマホン波瀾万丈伝 1(3分25秒)

・小学校時代は、片道10Kmを歩いて通学し、昼食を買えないので、水を飲んでいた。学校が終わってから農作業し、夜は街灯の光で勉強した。



ゾマホン波瀾万丈伝 2 (10分9秒)

・日本に対する疑問「刀を差して歩いているのに、経済発展している。」
・日本人が保証人となってくれたので、来日できた。
・日本はゴミひとつない日本、平和な国。
・勉強と仕事で、平均睡眠時間3時間。
・プレス工場正午から深夜2時まで働く。プレス機で左手人差し指切断。
・「かなりヘンだよ日本人」に、出演。一躍お茶の間の人気者になる。
・「ゾマホンの本」という自伝が30万部売れ、印税収入2000万円を自分のために使わず、ベナンに小学校を作る。
・2000年4月小学校ができた。
・国民栄誉賞受賞、現在、ベナン大統領特別顧問。
・6畳一間、生活費家賃を入れて月8万円。残りはベナンの教育援助と、薬を送る。学校を沢山作りたい---それが私の夢。



Benin part 1 (10分52秒)

・花畑農場の田中義剛氏がベナンを訪問。



Benin part 2 (10分31秒)


・未だフランスの植民地は続いている。
・農産物以外はほとんど外国から輸入している。ベナンでは加工工場がないので、原材料を安く売り、加工品を高く買う。悪循環になっている。



Benin part 3 (10分9秒)
http://www.dailymotion.com/video/x919yr_benin-part3_shortfilms

・所ジョージ氏がスクールバス3台を贈る。



Benin Fin (7分26秒1)

・「花畑牧場ベナン支社」完成。
・「たけし日本語学校」で学ぶベナン人2人が花畑牧場で研修すること決定。
・北野たけし氏、田中義剛氏、所ジョージ氏のコメント



たけし日本語学校 ベナン人卒業生大集合 (10分43秒)

・「たけし日本語学校」第1期生のインタビュー
    日本の印象:町がきれい。
    将来の夢:日本で働いて、祖国に学校を作ること。
・卒業生4名集合



歴代日本語教師
http://www.zomahoun.com/ife/teacher/successive/

日本語学校設立に尽力した男    山道昌幸
2003年10月~2004年10月    小国秀宜
2004年7月~2005年7月    木下亜紀、石田泰久
2005年7月~2006年7月    大島清美、小橋めぐみ
2006年7月~2007年7月    成田友香里、野村秀美 ①
2007年7月~2008年7月    成田友香里
2008年7月~2009年7月    鬼頭直美、山下 仁
2009年7月~2010年7月    山下 仁②、藤波大吾③
2010年6月~            市川④、藤波大吾

①2006年10月からのブログ
http://www.zomahoun.com/ife/columns/teacher/
② beninのブログ
http://blog.livedoor.jp/benin/
③ 日本語教師の窓
http://www.zomahoun.com/ife/columns/teacher/
④ 日本語で夢をかなえるプロジェクト
http://blog.goo.ne.jp/nihongodeyumewokanaeruproject

3 件のコメント:

  1. 『アフリカの貧しい国ゾマホンの母国ベナンを救えビートたけしのお願い(仮)』
    1月23日(日)14:00~15:25 (テレビ朝日系)
    http://dogatch.jp/blog/news/ex/10221211982.html

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  2. 皆様の善なるお気持ちが痛いほど伝わってきます。
    その崇高な理念がテレビの電波を通じて一人でも多くの視聴者の内なる魂を触発して、良心の発露を促すことを大いに期待しています。
    皆様の尊敬に値するご尽力とその試みが大きなインパクトとなってシンクロニシティが生じるよう衷心より祈念します。
    また、私どもも微力ではありますが社会貢献活動を続けていますので勇気百倍、皆様の活力がメンバー全員の躯体に傾注されたように感じます。
    どうもありがとうございます。

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  3. "たけし大使"ベナンに病院作る (2011.1.18、サンスポ)
    http://www.sanspo.com/geino/news/110118/gnj1101180503006-n1.htm

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