①企業は、海外進出をする際に、どのようにリスクを回避するのか?
②在外公館は、どのようにリスク関連の情報収集・分析能力を高めるのか?
③政府は、海外での動乱などに巻き込まれた在外邦人をどうやってに救出するのか?
④国際社会は、どのようにテロを撲滅するのか?
⑤政府は、邦人が人質にとられた場合、身代金を支払うのか?
企業と政府は、危機管理にあたり、様々な事態を想定し、シミュレーションをしなければならないが、2つの報道から、現時点で次のような想定をすることは、非現実的ではないと思われる。
「日本人の1名はチュニジアあるいは別のところで生存しており、テロリストは身代金を要求してくる。」
報道1:1月24日時点での日本人の安否情報は、生存7名、死亡9名、安否不明1名。
報道2:1月16日、テロリスト犯人が車両2台でチュニジアに逃れた。
アルジェリアで拉致された日本市民5人を含む外国人労働者らは、イスラム過激派に連れられて国境を越え、チュニジアに入った。EFE通信によるインタビューの中でリビアの国境警備員が伝えた。
この国境警備員によれば、アルジェリア、リビア、チュニジアの国境地域では、リビアの治安部隊と武装組織との間で、オフロード車で並走しての銃撃戦が行われた。銃撃戦の後、武装集団はチュニジアに向っていった。[1]
Islamists, who kidnapped 8 foreign workers in Algeria, have escaped to Tunisia.
This is what a Libyan border guard says. He claims that he was a witness of how a group of armed people in two cars appeared from the Algerian side at a point where Algeria's, Tunisia's and Libya's borders meet. Although the border guards opened fire at them, they managed to flee to Tunisia.[2]
報道によると、アルジェリア軍は、29人の犯人を殺し、3人を逮捕している。しかし、実際に犯行に直接加わらなくとも、指示したグループが存在しているはずである。
どこの政府も、「テロリストとは交渉しない」という立場をとっている。しかし、多数の犠牲者が出たことを確認した後で、実は人質が生きている、ということになれば、その立場を貫くのはなかなかできないだろう。
2004年4月に発生した「イラク日本人人質事件」では、3人の日本人が人質になり、最終的には解放された。政府は水面下で支払ったのではないか、との噂が流れたが、政府は支払いはなかったと否定しており[3]、その真偽は不明である。
今回のアルジェリア人質事件は最後の事例ではなく、将来も類似の事件が発生するだろう。今のところ言えることは、危険地域に派遣される社員は、リスクに見合った給与を受け取るべきだし、万一の場合に備えた保険に入っておくことが、当面できることである。
[1] The Voice of Russia(2013/1/16)「アルジェリアで拘束されている日本人、チュニジアに連れ去られる」
[2] The Voice of Russia(2013/1/16) 「Kidnappers of 8 BP workers flee from Algeria to Tunisia」
[3] 共同通信(2004/04/20)「身代金一切ない-逢沢氏 イラク日本人人質事件」